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新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 48歳
獣医学博士

獣医麻酔外科学会 評議員
獣医腫瘍学会
獣医皮膚科学会

妻、子供、犬4頭、猫2頭、フェレット1匹
と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   

 

 

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犬の緑内障治療としての眼球内シリコンボール挿入術
 犬の緑内障は中高齢の犬に発症する目の病気です。
診断は、目が大きくなった、白目が赤い、物にぶつかるなどの症状があります。
飼い主様が見つけれない場合、トリマーさんから目が赤くないですか?と
聞かれ、気づく飼い主様もいらっしゃいます。

 この子も、トリマーさんから、指摘されました。
緑内障の診断は、眼圧測定を行います。
最近では、多くの病院で眼圧計があり、簡単に測定ができます。
 正常眼圧は20mmHg以下とされ、30mmHg以上では緑内障を強疑います。

 治療は、原因と視覚(見えてるか)により変わってきます。
 原因には、
・原発性
・続発性

 治療には、視覚がある場合は内科的治療になります。
内科的治療の多くは
1,プロスタグランジン誘導体(PG)点眼薬
2,炭酸脱水酵素阻害薬(CAI)点眼薬
3,βブロッカー点眼薬
4,副交換神経作動性縮瞳薬点眼

 点眼薬でコントロールできない場合は
1,緑内障チューブシャント
2,毛様体レーザー光凝固術
3,眼球摘出術
4,強膜内シリコンボール移植術
5,硝子体ゲンタマイシン注入術

 当院では、2,4,5のどれかを選択しています。
1、3はあまり行っていません。
1, 国内で発売されていない製品を使用するため
  チューブシャント術は眼科専門医での手術をお勧めしています。
3,腫瘍などの摘出が必要でない限り、原発性の緑内障では行っておりません。

 今回は、飼い主様と相談の上、4のシリコンボールを移植しています。
シリコンボールは白目と黒目の間を切開し、目の中になる組織
水晶体などを取り除き、何も無くなった目の中にシリコンで出来た
ボールを挿入します。
挿入後は、切開した部分を縫合し終了します。
 術後は、痛みなどもなくなり、カラーなどもつけず生活できます。
眼球自体は、少し白濁したり、黒くなったりします。
 術後の目はこのような状態です。

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 緑内障のシリコンボールは、目の形も変わらず
手術も簡単ですが、念のため、術後の状態をご説明しています。
手術法には長所と短所があります。
すべての手術法の説明をお聞きになり、
担当獣医師と治療法を決定してください。

 緑内障は獣医師とよく相談し、
治療法を選択すれば怖い病気ではありません。
内科療法、外科療法、何が良いのか
愛犬の気持ちも汲んで、治療にあたってもらえると幸いです。
 
気づかずに大きくなる膀胱結石(シュナウザー、シーズーに好発する)
 おしっこに血が混ざることを主訴に来院される中高齢の犬がいます。
血尿の多くが、膀胱炎ですが、中には膀胱結石を患っている子もいます。
 不思議なことに、膀胱結石を患っているにもかかわらず
症状として出さない子がいます。
特に、排尿を外でしている子は飼い主さまも
症状に気づかないことが多くあります。

 この子は、数日目から血尿で近くの病院に行かれ
腎結石の疑いで、当院に来院されました。

 エコー検査にて、膀胱結石を認めました。
膀胱結石は8個あり、かなり大きくなっていました。
Mシュナウザーとシーズーは膀胱結石が多く、
さらに、ストルバイト結石の場合、痛みを伴わないので、
発見が遅くなる傾向にあります。

 飼い主さまは、膀胱結石が大きく、多数あること、
現在、膀胱炎を併発し泌尿であることから手術を希望されました。
手術は簡単で、約40分で終了します。
術後も、2日で退院となります。

 開腹後、膀胱を確認すると、膀胱炎が重症で
膀胱の外側にも炎症が波及していました。

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 こちらが、摘出した結石です。
かなり大きく、飼い主さまもびっくりされていました。

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 結石は、『リン酸アンモニウムマグネシウム』 ストルバイトともよばれる結石でした。
早期発見であれば、食事療法で手術をせずに済むこともあります。
今回は、結石の個数が多く、大きくなっていた、
膀胱炎も重度であることから飼い主様の意向で手術になりました。
 
 手術時間は四十分ほどで、すぐに終わりました。
手術、4時間後に面会をしていただきました。
入院中は、フォーリーカテーテルを膀胱に入れておきます。
 2日後には、カテーテルを抜いて、自然排尿が可能になります。
多くの子が、1〜2日の入院で退院となります。
 この子は、膀胱炎も重症だったので、術後は
抗生剤、抗炎症剤、止血剤で経過を見ました。
 
 結石は、検査センターに解析をお願いし、
食事療法をお勧めしました。
術後は、定期的に尿検査を行います。
食事療法、膀胱炎のコントロールにて再発はほとんどありませんが
尿検査を1年くらいしていない子で、再発を認めた子もいました。

 再発する血尿、残尿感のある子は
可能限り、膀胱のエコー検査をお勧めしています。

 ストルバイトはシュナウザー、シーズーに多く
犬種により結石の傾向は異なります。
雌犬で大きな結石になる傾向が高いため、
飲み水の量の減る、秋から冬にかけて、
血尿を見たら、一度エコー検査をしてみてはいかがでしょうか?

 ストルバイトは、食事療法で治ることが多いため、
早期の発見で、手術をせずに済みます。
今の療法食はかなり、進化していますので、
7歳以上になれば、一度、健康診断に尿検査をしてみては
いかがでしょうか?
Mダックスが食欲と元気が急に落ちる脾臓腫瘍(脾臓破裂)
 食欲旺盛なダックスやゴールデンが急に食欲がなくなり
元気がないと、来院されると私たちはドキドキします。
 
 飼い主さんは、少しはご飯を食べる、いつもより少し元気がないと
まだまだ、不安にはなっていないことが多くあります。

 この子は、2日前から食欲はあるけど食べつきが悪い
元気も少しないと来院されました。

 診察を行うと、心臓病があり、お腹が張っていました。
飼い主さまに、状況を説明し検査をさせていただきました。

 検査の結果、重度の貧血、炎症、腹部に腫瘍を認めました。
精密検査として、超音波検査を行い脾臓の腫瘍と腹腔内出血があり
脾臓の腫瘍が破裂し、緊急の手術を行う必要性があることを説明しました。

 飼い主さまは、大したことがないと思い、来院されていたのが
重病で、すぐに手術をしないと死ぬかもしれないという話に動揺されていました。
 飼い主様のご家族に連絡を取っていただき、
ご家族に結果、診断、治療方針をご説明しました。
ご家族から手術の同意を得られたので、そのまま入院をしていただき、
すぐに緊急手術となりました。

 手術前に心臓の治療も同時に行い、緊急手術を行いました。
回復と同時に、破裂した脾臓から出血があり、お腹の中は血の海でした。
念のため、出血した血液を約80ml回収しました。

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 脾臓は、このように全体に腫瘍を多数認め、
大きな腫瘤は自潰し、出血の原因になっていました。
大きな血管を3箇所留めて、出血を抑制し
脾臓を切除後、お腹の中を洗浄しました。
 手術後は、すぐに回復し、20分で飼い主様と面会されました。
翌日には立って、飼い主様をお迎えできるようになっていました。
 退院は、2日後でご家族と一緒に帰宅されました。
退院後からは、良いウンチをした、元気になった、食欲も戻ったと
かなり喜ばれています。

 病理検査の結果は、「血管肉腫」でした。
血管肉腫は犬の脾臓の腫瘍の約23.5%をしめる悪性腫瘍です。

血管肉腫の好発犬種
1、ゴルデンレトリバー
2、Mダックス
3、Lレトリバー
4、Mシュナウザー
5、Wコーギー     

 治療は、外科的に切除するのが望ましく、
手術が難しい場合は、
1、ドキソルビシン単独
2、ドキソルビシン+シクロフォスファミド
3、VACプロトコル(ドキソルビシン+シクロフォスファミド+ビンクリスチン)
4、ドキソルビシン+ダカルバジン
 上記外には
メトロノミック療法
分子標的療法

 当院では、これらに、カルボプラチン、マシチニブを用いた治療法を
提案しています。

 治療法には、金額、副作用、通院、入院といった
様々な要因が関わってくるので、担当獣医師と飼い主様とで
よく話し合い、治療に専念していただいております。

 
犬と猫の吐かすことのできない異物の治療法
 食べてはいけないものを飲んだ、食べたと
来院される方は多くいらっしゃいます。
 この子は、プラスチック製のおもちゃを嚙み砕き
食べてしまい。近くの病院に行かれましたが、
催吐処置は難しいと判断され、紹介で来院されました。

 レントゲンでは、胃の中と腸に異物がありました。
確かに、胃の中におもちゃのような陰影とガスが溜まっていました。

 飼い主様には、吐かせて出すことが難しいことをお伝えしました。
飼い主さまは心配されており、すぐに治療して欲しいということでした。
処置までの間に数回、嘔吐していましたが、やはり異物は出てきませんでした。
すぐに、麻酔の準備をし、内視鏡にて異物を取り除きました。
 異物は、複数個あり、胃、食道を傷つけないよう慎重に回収しました。

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緑色のものが、異物のおもちゃのかけらです。
回収後、麻酔から覚醒し、退院となりました。

 異物を食べた時、治療法としては、
1、何もせず便と一緒に出てくるまで待つ
2、吐かせる(催吐剤を使用)
3、内視鏡で回収
4、手術で取り出す

 このような選択肢の中から、異物の大きさ、形状などから
治療法を決めています。
一番大切なのは、飼い主様の意向と不安を取り除くことです。
多くのが飼い主様が、「しまった」「私たちの責任」などと考えます。
 治療法がいくつかありますし、催吐薬にもいくつかあります。
担当獣医師とご相談の上、決めてください。
病院にいらしていただき、飼い主様もご安心してください。


コーヒー豆の誤飲と毒性
 夜、緊急で見て欲しいと電話がありました。
内容は、コーヒー豆を包んだチョコを数個食べたというものでした。
数個なので、問題ないですと、お伝えしましたが、
心配なので、診て欲しいということでした。

 早速、来院していただき
催吐処置を施しました。
 処置後、程なく3回嘔吐しました。
内容物には、溶けたチョコレート、溶けていないコーヒー豆
合計16個でした。
飼い主さまは、5〜6個かな〜と。。。

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 黒いのがコーヒー豆でした。
この前にも、5粒嘔吐しています。

 無事に、すべてコーヒー豆を嘔吐したので、
胃酸抑制剤、スクラルファートを投与し
安心した飼い主さまと、元気が無くなったワンちゃんと
無事、帰宅となりました。

 チョコレートは、ビタータイプ、量が多くなければ
大きな問題にはなりません。
しかし、コーヒー豆は、どうなんでしょうか?

 海外の論文も含め
検索しましたが、明らかに、コーヒーが犬に悪いという論文は
見つかりませんでした。
 きっと、コーヒーに含まれるカフェインが体に悪いということから
犬には良くないと言われているのだと思います。

カフェインについて、下記のような論文がありました。
Effects of cocaine and caffeine alone and in combination on cardiovascular performance:
an experimental hemodynamic and coronary flow reserve study in a canine model.
Int J Cardiol. 2004 Nov;97(2):225-32.

 この論文による、5mg/kg では大きな異常は認めないとあります。
カフェインの5mgはコーヒー豆、何粒かは不明です。

こちらは、コカインとコーヒーを一緒に投与すると
体が楽になるという犬を使った論文ですが・・・。

 このように、犬は意図して食べる場合、取られると思い飲んでしまう場合が
多く、気をつける必要があります。
 食べてはいけないものを食べた場合、
飲んだもの、量、時間を記載し、動物病院へ相談することをお勧めします。
ご自身で、塩を飲ます、指を入れるなどの荒療治はお控えくださいね。



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