FC2ブログ
新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 48歳
獣医学博士

獣医麻酔外科学会 評議員
獣医腫瘍学会
獣医皮膚科学会

妻、子供、犬4頭、猫2頭、フェレット1匹
と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   

 

 

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

4歳の多発性内分泌疾患を伴った、Mシュナウザーの粘液嚢腫の外科手術
 Mシュナウザーは、脂質代謝の異常の多い犬種として有名です。
7歳以上のシニアの子は、血液検査にて中性脂肪などの
脂質代謝の異常の子が多く来院されます。
 症状などがなく、飼い主様も元気だと思っています。
この子のように、若齢で肝臓の数値が高くなっている場合は要注意です。

この子は、多飲多尿などの症状とともに
ALP,GGTの胆管由来の生化学検査にも異常が認められました。
同時に、内分泌検査を行い、副腎機能亢進症(クッシング)、糖尿病にも罹患していました。
内科療法にて症状が改善し、元気に過ごしていましたが、
朝から、嘔吐して元気食欲がないと来院されました。
すぐに検査を行い、肝数値の上昇と、黄疸を認めました。
肝数値の上昇と黄疸の原因は、胆嚢粘液嚢腫が原因でした。

 胆嚢粘液嚢腫は、Mシュナウザー、シェルティー、Tプードル
などに多く認められる疾患です。
粘液嚢腫とは、粘液の分泌により内腔が拡張し、胆嚢壁が伸展した状態を示します。
ある報告では、クッシングの犬に、粘液嚢腫の発生頻度が約29倍高い。
しかし、クッシングのある犬の粘液嚢腫の手術には
血栓形成、最近観戦、治癒遅延などが発生しやすくなっている。

 飼い主様も、手術のことは理解していただき
すぐに手術を行いました。
 以前に胆嚢炎を起こしており、その際の炎症で胆嚢が横隔膜に癒着していました。
手術内容は、胆嚢切除、横隔膜との癒着、肝臓の政権を行います。

 手術は正中切開で行います。

 PC100843_convert_20190106082307.jpg

 PC090841_convert_20190106082148.jpg

胆嚢と肝臓を剥離、横隔膜との癒着を剥がし、
癒着した部位の再縫合を行います。
総胆管と、十二指腸の通りを確認し、カテーテルを留置後
お腹を閉じました。
 
 PC110852_convert_20190106082346.jpg

 PC110853_convert_20190106082403.jpg

 切除した胆嚢は、病理にて粘液嚢腫、
生検した肝臓は、胆管肝炎でした。
 手術後から、黄疸は改善し食欲も改善しました。
手術から3日後、退院となりました。
肝数値も良くなり、炎症も改善しました。
 手術から5日後にシャンプーを行い
10日後に抜糸を行いました。

 当初、飼い主様も内分泌疾患を持っていることから
心労もありましたが、手術の際も、立ち会っていただき
無事、終わった時には、どっと疲れが出たようでした。

 今は、元気に過ごしています。
Mシュナウザーが7歳くらいになれば、
元気でも、超音波検査を受けておくことをお勧めします。
肝臓は、沈黙の臓器なので注意が必要です。 

元気に、病院で吠えれるようになり
一安心です。
プードルの再骨折にチタンプレートを用いた整復術
 1歳未満のプードルは、すごく元気で、なぜか
高いところからジャンプする子が多くいます。
その際、前足の橈尺骨の骨折をします。
 この子は、年齢が2歳の元気な子で
落ちた後、キャンと鳴いて、足を着けなくなったと来院されました。

 レントゲンでは、橈尺骨の骨折でした。
骨折の程度からプレートを用いました。
術後は順調に改善し、スクリューを徐々に外し
骨折の治癒を確認し、プレートも除去しました。

 プレート除去後、同じ足を挙げて着けないと
飼い主さんが来院されました。

 レントゲンを撮ると、前回折れた場所とは
異なる場所が折れていました。

 1414-1_181227_UP_EXM_0001_CV26629502_convert_20190105173531.jpg

プレート法は、骨折線が消失してから、徐々に
スクリューを取り除き、2〜3ヶ月後にプレートも取り除きます。
 
 プレートやスクリューの素材には、ステンレスと、チタンがあります。
素材により良し悪しがあります。
ステンレスは、安く、種類も豊富で、犬猫の骨折に一般的に用いられる素材です。
チタンは、高いですが、組織親和性があり、骨折が治癒した後、除去が必要ありません。

 今回は、プレートを除去することを避けるため、
チタン製のスクリューとプレートを使用しました。
 
 手術法は変わらず、骨折線のトリミング、ベンディング、海綿骨移植を行いました。
多血小板療法(PRP)は実施しませんでした。

 PC270892_convert_20190105174149.jpg

PC270893_convert_20190105174043.jpg

 プレートはTプレートで、前回、骨折し
手術で開けたスクリューホールを使用せず、
前回より長いプレートを装着しました。
 
 術後は、翌日に帰宅しました。
帰宅後は、可能な限り、安静にしていただきますが、
徐々に、いつもの生活に戻っていきます。

 チタンプレートを毎回、使用したいのですが、
材料がかなり高価で、手術費用も上昇することから
飼い主様と費用の面などのお話をして、手術法、材料なども
決定していければ良いと思います。

 今回のような、2歳以上の小型犬の骨折は、
チタンを使用した方が良いのかもしません。
飼い主様も、かなり落ち込んでいましたが、
再手術が必要ないこと、チタンの親和性などのお話から
安心されて、年を越されました。

 無事、終わってよかったです。
多発性と考えられたウェスティーの肝臓がんの外科手術
 犬の肝臓癌は、血液検査では見つかりにくい腫瘍です。

この子は、複数の肝臓癌で手術を行わないほうが良いと
言われていた症例です。
念のため、血液検査、レントゲン、超音波検査などを行いました。
さらに、ソナゾイド造影超音波検査も実施しました。
病理検査とソナゾイドの結果から、1つは肝臓癌、
もう一つは過形成と診断しました。
 
過形成は、今の所、悪いものではないので経過観察,
肝臓癌は根治が望めるため、外科的な治療を行うこととなりました。
肝臓の外側左葉の完全切除による根治術です。

 肝臓癌は、腫瘍の大きさも大事ですが、
発生部位が重要と言われています。
特に、右の葉にできた肝臓癌は切除が難しく
手術の難易度が上がると言われています。

 手術は、左側の肝臓を全て取り除き、同時に
過形成の生検も行いました。
 手術は、全身麻酔で行い、電気メス、超音波メス、半導体レーザー
ヘモクリップなどを使い、1時間半で終了しました。

PC200877_convert_20190106081825.jpg

手術の3日後、無事退院となりました。

切除された肝臓は、マージンも取れており
肝臓癌でした。
さらに、同時に生検した腫瘤は、過形成でした。

 手術後は、翌日から水も飲め、徐々に元気になりました。
術後10日で抜糸を行い、その2日後にはシャンプーも
行えるくらい元気になりました。

 飼い主様は診断が出た当初、不安と、心配と絶望を感じ
ネットでの情報からさらに不安が募っていました。
多発性では、外科的治療も難しいことが多く、心配だったと思います。

 肝臓癌は超音波検査を正確に行えれば
見つけることは難しくなく、診断もソナゾイド造影超音波検査や
針生検で確定診断がつきます。
 手術に関しても事前にCTなどの画像があれば
さらに安全な手術が可能です。

 下記は博士論文から(犬の肝細胞癌の診断と治療に関する研究、飯田ら:日大)
左肝区域が 28 頭(39%)
中央肝区域が 19 頭(27%)
右肝区域が 25 頭(35%)
切除した肝葉は一葉のみとなった症例が 44 頭(62%)
二葉以上切除した症例が 22 頭(31%)
切 除不可だった症例が 5 頭(7%)であった。
術後生存期間の中央値は、外科的切除を行った症例では 770 日間 であったのに対し、
切除不可だった症例では 116 日間であった。また、術後に再発した症例は 7 頭(11%)

 上記の通り、肝臓癌は、手術により根治が可能で
術後、転移も少ないため、抗がん剤などの治療も必要ないことが多いため
事前に、しっかりとして検査を行い、万全の手術を行えば
一緒に楽しい時間を過ごすことが可能です。

 この子の飼い主様も、不安と恐怖で
辛かったと思います。
今は、一緒に正月を過ごせて安心されています。
犬の緑内障治療としての眼球内シリコンボール挿入術
 犬の緑内障は中高齢の犬に発症する目の病気です。
診断は、目が大きくなった、白目が赤い、物にぶつかるなどの症状があります。
飼い主様が見つけれない場合、トリマーさんから目が赤くないですか?と
聞かれ、気づく飼い主様もいらっしゃいます。

 この子も、トリマーさんから、指摘されました。
緑内障の診断は、眼圧測定を行います。
最近では、多くの病院で眼圧計があり、簡単に測定ができます。
 正常眼圧は20mmHg以下とされ、30mmHg以上では緑内障を強疑います。

 治療は、原因と視覚(見えてるか)により変わってきます。
 原因には、
・原発性
・続発性

 治療には、視覚がある場合は内科的治療になります。
内科的治療の多くは
1,プロスタグランジン誘導体(PG)点眼薬
2,炭酸脱水酵素阻害薬(CAI)点眼薬
3,βブロッカー点眼薬
4,副交換神経作動性縮瞳薬点眼

 点眼薬でコントロールできない場合は
1,緑内障チューブシャント
2,毛様体レーザー光凝固術
3,眼球摘出術
4,強膜内シリコンボール移植術
5,硝子体ゲンタマイシン注入術

 当院では、2,4,5のどれかを選択しています。
1、3はあまり行っていません。
1, 国内で発売されていない製品を使用するため
  チューブシャント術は眼科専門医での手術をお勧めしています。
3,腫瘍などの摘出が必要でない限り、原発性の緑内障では行っておりません。

 今回は、飼い主様と相談の上、4のシリコンボールを移植しています。
シリコンボールは白目と黒目の間を切開し、目の中になる組織
水晶体などを取り除き、何も無くなった目の中にシリコンで出来た
ボールを挿入します。
挿入後は、切開した部分を縫合し終了します。
 術後は、痛みなどもなくなり、カラーなどもつけず生活できます。
眼球自体は、少し白濁したり、黒くなったりします。
 術後の目はこのような状態です。

PC020835_convert_20181210175616.jpg

 緑内障のシリコンボールは、目の形も変わらず
手術も簡単ですが、念のため、術後の状態をご説明しています。
手術法には長所と短所があります。
すべての手術法の説明をお聞きになり、
担当獣医師と治療法を決定してください。

 緑内障は獣医師とよく相談し、
治療法を選択すれば怖い病気ではありません。
内科療法、外科療法、何が良いのか
愛犬の気持ちも汲んで、治療にあたってもらえると幸いです。
 
気づかずに大きくなる膀胱結石(シュナウザー、シーズーに好発する)
 おしっこに血が混ざることを主訴に来院される中高齢の犬がいます。
血尿の多くが、膀胱炎ですが、中には膀胱結石を患っている子もいます。
 不思議なことに、膀胱結石を患っているにもかかわらず
症状として出さない子がいます。
特に、排尿を外でしている子は飼い主さまも
症状に気づかないことが多くあります。

 この子は、数日目から血尿で近くの病院に行かれ
腎結石の疑いで、当院に来院されました。

 エコー検査にて、膀胱結石を認めました。
膀胱結石は8個あり、かなり大きくなっていました。
Mシュナウザーとシーズーは膀胱結石が多く、
さらに、ストルバイト結石の場合、痛みを伴わないので、
発見が遅くなる傾向にあります。

 飼い主さまは、膀胱結石が大きく、多数あること、
現在、膀胱炎を併発し泌尿であることから手術を希望されました。
手術は簡単で、約40分で終了します。
術後も、2日で退院となります。

 開腹後、膀胱を確認すると、膀胱炎が重症で
膀胱の外側にも炎症が波及していました。

PA300780_convert_20181101084709.jpg

 こちらが、摘出した結石です。
かなり大きく、飼い主さまもびっくりされていました。

 PA300781_convert_20181101084739.jpg

 PA300788_convert_20181101084857.jpg

 結石は、『リン酸アンモニウムマグネシウム』 ストルバイトともよばれる結石でした。
早期発見であれば、食事療法で手術をせずに済むこともあります。
今回は、結石の個数が多く、大きくなっていた、
膀胱炎も重度であることから飼い主様の意向で手術になりました。
 
 手術時間は四十分ほどで、すぐに終わりました。
手術、4時間後に面会をしていただきました。
入院中は、フォーリーカテーテルを膀胱に入れておきます。
 2日後には、カテーテルを抜いて、自然排尿が可能になります。
多くの子が、1〜2日の入院で退院となります。
 この子は、膀胱炎も重症だったので、術後は
抗生剤、抗炎症剤、止血剤で経過を見ました。
 
 結石は、検査センターに解析をお願いし、
食事療法をお勧めしました。
術後は、定期的に尿検査を行います。
食事療法、膀胱炎のコントロールにて再発はほとんどありませんが
尿検査を1年くらいしていない子で、再発を認めた子もいました。

 再発する血尿、残尿感のある子は
可能限り、膀胱のエコー検査をお勧めしています。

 ストルバイトはシュナウザー、シーズーに多く
犬種により結石の傾向は異なります。
雌犬で大きな結石になる傾向が高いため、
飲み水の量の減る、秋から冬にかけて、
血尿を見たら、一度エコー検査をしてみてはいかがでしょうか?

 ストルバイトは、食事療法で治ることが多いため、
早期の発見で、手術をせずに済みます。
今の療法食はかなり、進化していますので、
7歳以上になれば、一度、健康診断に尿検査をしてみては
いかがでしょうか?

copyright 2005-2007 新千歳動物病院のブログ all rights reserved. powered by FC2ブログ. designed by sherrydays.