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新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 48歳
獣医学博士

獣医麻酔外科学会 評議員
獣医腫瘍学会
獣医皮膚科学会

妻、子供、犬4頭、猫2頭、フェレット1匹
と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   

 

 

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高齢のコーギーの精巣腫瘍の外科手術
 停滞精巣は、子犬の時に
ワクチン接種時などの健康診断で診断されることが
多く、ほとんどの飼い主さまが、そのことをご存じです。

 この子は、膵炎が重度で転院されて来られました。
膵臓のエコー検査で、腹部に腫瘤があり、それも左右両側にありました。
飼い主さまにお聞きすると、去勢はしていない。
また、精巣がお腹の中にあることも知らなかったようです。
 以前の病院で、エコー検査時に
お腹の中にしこりがあるが、様子を見て良いと言われたようでした。

 お腹の中にある精巣は、腫瘍化していたので
開腹して切除を行いました。

 右側は、膀胱の横にありました。
大きさは、正常の精巣と同じでした。

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 左側は、腸間膜に癒着しており、
腎臓と膀胱の中間に位置していました。
大きさも、正常より大きく、変色していました。

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 腫瘍の切除は20分で剥離と切除を行いました。
その後、お腹を閉じて、覚醒させました。
翌日の朝には、退院となりました。

 病理結果は、右側は萎縮を認めるも
構造は正常でした。
 癒着を起こしていた、左側の精巣は、
セルトリ細胞腫でした。
 犬のセルトリ細胞腫は、精巣の腫瘍の中で多く、
人では、稀な腫瘍とされています。
 病理検査では、脈管転移は認めず、完全に切除できていました。

 このように、他の疾患で腫瘍が見つかることが多く、
特に超音波検査で予期せず、腫瘍を発見することがあります。
この子も、膵炎と腸炎の検査時に腫瘍が見つかりました。
 手術後は、翌日に退院でき
抜糸も1週間後に行います。

 精巣が、お腹の中に残っている停滞精巣の子は
定期的に超音波検査で精巣の確認をしておいた方が良いのかもしれません。
 


プードル(小型犬)の橈尺骨骨折の手術(手術から抜糸まで)
小型犬の前肢の骨折は、高いところから
飛び降りた際に、起こります。
 多くの飼い主様が、
「キャンと鳴いてから
前あしをかばっている」と来院されます。

 この子も、キャンと鳴いてから、ずっと
足を上げており、病院では、ずっと挙上していました。
触診で、診断はつきますが、念のため
レントゲンを撮ります。
 こちらが、初診時のレントゲンです。

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 このように、2本の骨、
橈骨、尺骨が折れています。
1本だけということはなく、ほとんどが、2本の同時骨折です。
 骨折の治療には、手術をしない方法、
手術をする方法に分かれます。
 現在、ほとんどの整形外科医が小型犬の骨折の治療に
手術が必要と言っています。
 
 当院でも、年に1〜2回骨折の治療を行わずに
治癒する子もいますが、特徴があります。
 骨折の断端が50%以上接触している場合に限ります。
この子のように、完全に互い違いになっている場合は
外固定のようなギブスでは、治らないと考えて良いかと思います。
 
 手術には、プレート、創外固定、ピンなどがあります。
どの手術にも長所、短所があるため、
獣医師と飼主様で、よく相談し方法を決めていただきます。
 
 当院では、橈尺骨の骨折の場合、
プレートか、創外固定を行っております。
 手術は、2泊3日です。
こちらは、術後のレントゲンです。

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 術後は、3日目に退院となります。
自宅では、可能な限り安静にしていただきます。

 手術後は、生後6ヶ月までなら、2ヶ月くらい
1歳までなら2ヶ月半、1歳以上なら3ヶ月くらいで
両端のスクリューとプレートを残し、スクリューを抜きます。
 こちらの処置は、半日入院です。

 スクリューとプレートを取らずに、
一生、そのままにしておくことも可能ですが、
可能限り、異物を体に残すことは避けたいです。

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 この処置が終われば、
1ヶ月後、残ったスクリューとプレートを抜去します。

 小型犬の橈尺骨骨折の外科手術の流れになります。
創外固定は、上記と同じでは無いので、獣医師とご相談ください。

 
犬の肉芽腫性髄膜脳炎(Granulomatous meningoencephalitis,GME)の治療
 犬の脳疾患には、多種多様な疾患があります。
症状は様々で、歩けなくなった、目が揺れている、痛がるなど
その子、その子で症状がすべて異なります。

 口を開けるのを嫌がる、食べるのが遅くなったと
来院されました。
 当初は、開口障害を疑い、顎関節症と仮診断しましたが
症状に脳脊髄疾患を疑うものが出てきたいたため、
MRIで脳、脊髄を撮影しました。
同時に、リンパ腫などの腫瘍、ジステンパー脳炎を除外するため
脳脊髄液を採取し、精査しました。
 検査の結果は、肉芽腫性髄膜脳炎(GME)でした。

GMEとは?
原因:不明
    炎症性病変が融合し、巨大な病変が生じることがある。
    病変は脳幹に局在することが多いが、稀に小脳、視神経、脊髄に認められることもある。

好発犬種:中高齢期の小型犬、特にプードルとテリアに多い。
       4-8歳の子に発症が多いとの報告もある

診断:確定診断のためには剖検、または生検が必要
    臨床的な仮診断はCSF検査により行われる

治療:免疫抑制剤の糖質コルチコイドにより治療を行う
    化学療法も行われ、特に視神経が選択的に侵されている場合には
    シトシンアラビノシドが有効なこともある。
    シクロスポリン、ミコフェノール酸、プロカルバジンは補助療法として推奨される。
                     (Simon R.Platt Small Animal Neurology より参照)



 このように、GMEの原因などは未だ不明な部分が多いのが現状です。
ここ数年、日本でも犬のMRIが撮影可能になりました。
診断まで確定しても、完治が難しい疾患に変わりは無いようです。

 診断を受けた飼主さまも、ご心配であることから
可能な限り、専門医と協議しながら治療を進めていくことにしております。
治療に関しては、免疫抑制剤の投与は変わりありませんが、
投薬料や、投薬の種類などは確定されていません。
 海外の報告でも、プレドニゾロン、シクロスポリン、シタラビンの
報告はありますが、比較対象の論文は少なく、今後の研究が待たれるところです。

下記は、カリフォルニア大学デービス校の教授が記載されていたものです。

GME affects dogs older than 6 months of age, and is most prevalent in dogs between 4 and 8 years of age.

 GME is characterized by a unique angiocentric granulomatous encephalitis consisting of a perivascular accumulation of macrophages often intermixed with lymphocytes and plasma cells. Three major patterns of histologic lesion distribution in brain and spinal cord have been described for GME:
1. The disseminated form, in which the most intense lesions occur in the upper cervical spinal cord, brainstem, and midbrain, often with less severe extension involving white matter of the rostral cerebrum (Figure 3A).
2. A disseminated form with angiocentric expansion forming multiple coalescing mass lesions of similar distribution.
3. A focal form, in which single discrete mass lesions occur in either the spinal cord, brainstem, midbrain, thalamus, optic nerves, or cerebral hemispheres, without dissemination. It remains contentious whether this form is a neoplastic rather than an immunoproliferative process.

The author recommends starting treatment with immunosuppressive doses of prednisone, giving the patient 1.5 mg/kg BID for 3 weeks; then 1.0 mg/kg BID for 6 weeks; then 0.5 mg/kg BID for 3 weeks; then 0.5 mg/kg once daily for 3 weeks. The patient then receives 0.5 mg/kg every other day indefinitely. After the first 4–6 weeks of prednisone therapy, cytosine arabinoside may be added at 3–6 week intervals (administered as a subcutaneous injection at a dose of 50 mg/m2 Q 12 H for 2 consecutive days).
Dr. Richard A. LeCouteur
Professor of Neurology & Neurosurgery School of Veterinary Medicine University of California
Davis CA


 GMEに関して、ご質問やご相談があれば、
飼主さまと一緒に治療させていただければ、幸いです。
竹串が胃を貫通し、肺まで達した犬の外科手術
  夏の時期なると異物の症例が多くなります。
BBQなどをしたり、お祭りで買ったものを食べてしまいがちです。

 この子は、朝から急に食欲と元気がなくなり
虚脱も起こし、かなり心配され来院されました。

 病院に到着時は、一般状態は改善しており
緊急の処置は必要ありませんでした。

 念のため、すぐに血液検査とレントゲンを行いました。
肝臓、腎臓、膵臓に問題はなく、内分泌の問題もありませんでした。
胸のレントゲン写真では、肺の一部に混合パターンが認めれれました。
 白血球とCRPの上昇が認められ、炎症もしくは感染症を疑いました。
 念のため、エコー検査を行い、異物が腸の中に認められました。
結果を飼い主さまにご説明し、何か食べることは?とお聞きすると
もしかすると、焼き鳥の串を食べたかも・・・と。
再度、レントゲンを確認しましたが、胃の中、腸には
串は写っていませんでした。
竹串のような木材はレントゲンでは確認できません。

 すぐにICUで入院を行い、抗生剤の投与を始めました。
翌日には元気になったのですが、炎症はやや改善はしたものの、
まだ、数値が高く、飼い主さまにCTによる精密検査を勧めました。
便には、砕けた竹串が出てきました。
 CTの結果、竹串が胃を貫通し、一部は肺に
その反対は、皮膚にまで達しており、瘻管を形成していました。
 すぐに緊急手術を行い、お腹を開け竹串を抜きました。
 竹串は、このようにほぼ丸呑みでした。

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 犬が竹串を飲むことは多く、
年に数頭、来院されます。
 多くが、嘔吐を主訴に来院されますが、
不思議なことに、この子のように、症状がなく
いきなり具合が悪くなり来院されることがあります。

 治療としては、内視鏡で摘出するのが一番、安心で
安全です。
 吐かせるということは、食道や胃に穿孔することがあるため
可能限り、行わない方が良いと言われています。

 この子は、術後経過も良く、無事退院となりました。
同時期に、急患で来院された子は、日曜日の午後のため
緊急の内視鏡手術ができず、血液検査、レントゲンで穿孔の可能性が
無いので、入院、点滴を行い、翌日に内視鏡による摘出を予定していました。
しかし、朝、胃の粘膜保護剤の投与をした後、すぐに嘔吐をし、
胃の中にあった、竹串が出てきました。
 
 こんなことがあるのか?と目を疑いましたが、
ちゃんと吐いてくれました。
飼い主さまは、朝、手術の内容の説明と手術の立会いの確認のため
来院されましたが、まさか吐いているとは知らず
この結果に、びっくりされていました。
こちらが、嘔吐した竹串です。
大きさの確認のため、首輪と比較しています。

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一部が折れているので、これを上手に吐いたとなると
ミラクルです。
 
 このような、奇跡のようなことが起こることもありますが、
この子が、特別であり、みんな竹串を吐くとはいきません。

 竹串、爪楊枝を飲んだり、食べた際は
病院で内視鏡による摘出をお勧めします。
もちろん、開腹手術も可能ですが、
内視鏡であれば、ほとんどの子がその日に帰宅できます。

 この時期は、本当に異物が多くなるので、
今ままで以上に、気をつけてください。

 2頭とも、良くなって安心しました。
猫の口唇に発症した肥満細胞腫の分子標的治療(イマチニブ)
 猫ちゃんの唇にできものができたと来院されました。
本人は、あまり気にしていないけど、大きくなって
どうしよう?と飼い主さまは悩んでいらっしゃいました。

 診察をさせていただくと、リンパ節の腫脹はなく
本人も気にしている感じはありませんでした。

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 飼い主さまに、精密検査を勧めると、心配なので
皮膚の検査をして欲しいということで、病理検査を行いました。
病理検査は、皮膚の一部を検査センターに送る生検を
行いました。
生検は、確実な病理検査で再検査の必要もありません。
ただ、少し痛いので、怖がりな子や、採取が難しい場所の時には
鎮静をかけて行うこともあります。

 検査はすぐに終了し、圧迫止血と
医療用の止血剤で出血を止めて終了です。
 
 病理検査は、約1週間で出ました。
結果は、「肥満細胞腫」でした。
飼い主さまに、肥満細胞腫の報告書、治療法、病気のことを
お話ししました。

 腎臓病や、糖尿病もあるので
飼い主さまは手術を望まれませんでした。
 治療法は、腫瘍の遺伝子の変異を認めたため
分子標的治療薬をお勧めしました。
 
 国内では、トセラニブという分子標的治療薬が
動物用として販売されています。
しかし、トセラニブは高価であることから
なかなか、投薬を始めるのは難しいのが現状です。

 飼い主さまには、海外では安くて効果のある
イマチニブがあることをお話ししました。
当院では、血圧の高い子にイマチニブを使用していることから
常時、在庫があります。
 1日1回で、1日100〜200円です。
トセラニブは、イマチニブの数倍〜数十倍の医療費がかかります。

飼い主さまから、同意を得られたので
早速、治療を開始しました。
治療後は、徐々に腫瘍が小さくなり
飼い主さまも、イマチニブの効果に納得されていました。
さらに、トラセニブより副作用が少なく、安心して
使用できます。
この子も、副作用はなく、飼い主さまも安心されていました。
治療の方は、投薬1か月でこのように
以前の半分くらいの大きさになりました。

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 飼主さまも小さくなったと喜ばれていました。

 肥満細胞腫は犬や猫の皮膚に発症します。
悪性度は、様々ですが、手術の際は大きく切除する必要性が
あることから、飼い主さまも心配される腫瘍です。
 この子のように、持病があり
手術はしたくないという方には、代替療法として有用です。

 手術を行いたくない場合、
麻酔が怖いという方は、この治療を考えても
良いのかもしれません。
 


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