新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

ネコの消化器型リンパ腫
 昔よりも少なくなってきた腫瘍の1つにネコのリンパ腫があります。
犬も同様にこの腫瘍がありますが、昔にくらべ少なくなっていません。
 なぜ、ネコにこの腫瘍の発生が少なくなったのでしょうか。
それは、この腫瘍の要因の1つが猫白血病ウイルスが原因であったためです。
 ここ10年で、ワクチンの接種、また、飼主さんの意識の変化があり、ウイルス陽性猫が
本院では目立たなくなっています。
 しかし、この子が罹患した消化器型リンパ腫はここ数年、増加傾向にあります。 
平均発症年齢は10~12歳で、白血病抗原陰性猫が多いようです。
 症状は食欲不振、体重減少が多く、吐き気で来院することは稀です。
また厄介なことは、来院されるまでに1~3ヶ月経過してからの子が少なくないのが問題です。
 診断は画像診断で分かることが多く、レントゲンでは分かる頃には
すでに、触診(触っても)分かる程度になっています。
よって、本院では超音波検査で診断が出ることが多く
この子も、超音波検査でこのように、腸が変形し、軽度の腹水が認めれました。

ネコのリンパ腫

 この子は、異物も疑ったため、飼主さんも立会い、試験開腹となりました。猫のリンパ腫 開腹

 このように、正常な腸はほとんど無く、リンパ節の腫大が認めれました。
腫瘍の一部と、リンパ節を切除し、飼主さんとその場で相談しました。
正常な組織がほとんどないこと、腸管切除・吻合術をしても、化学療法が必要なこと
などを相談し、手術を終え、お腹を閉じました。
 
 このように、猫の消化管型リンパ腫は、ほとんどの場合、外科的切除は不可能で
早期に見つけて、診断し、化学療法に踏み切るか、もしくは、残りの人生を
楽しく生きる術を見つけるかになります。
 飼主さんは、ネコちゃんが、怖がりで何度も入院し、化学療法を行うことが
この子のためにならないと判断し、残りの人生を楽しく生きるほうを選択されました。
 
 猫の消化器型リンパ腫は、発見されたときには、かなり進行していることが多く、
また、老齢の猫が多いため、化学療法を選ばれる方は多くないように思えます。
 この疾患の早期発見はやはり、画像診断、とくに超音波が一番だと思いますが、
犬と違い、猫には狂犬病やフィラリアなどの予防などを行う機会が多くありません。
そのためか、この疾患は発見が遅く、見つかりにくいのかも知れません。

 本院では、可能限り、超音波検査などで早期に見つけるようしています。
また、消化管型リンパ腫と診断された場合にも、飼主さんと、その猫の性格、経済的な問題なども
含め総合的に考え、治療方針を決めています。
 
 この子の飼主さんと、術前、術後とご家族を交え、かなりお話を行いました。
その結果、入院点滴するような化学療法でなく、自宅で療養できるような
治療を選択されました。
 診断が付いたときの飼主さんは、かなり動転し、泣きじゃくっていましたが、
ご家族と一緒に来院され、相談されたときには、この治療でと決断されていました。

 癌は人でも、『ホスピス』のように、癌と戦わない治療もあるように
動物にも、戦わず、一緒に余生を過ごす方法があっても良いと思います。

 現在、この子は術後、翌日にはご飯を食べだし、怒るほど元気になっていたので、
そのまま、自宅に飼主さんと一緒に帰宅されました。
今も、自宅で、飲み薬を使用しながら、家族に見守られゆったりとした時間を過ごしています。
 飼主さんの気持ちになると、癌の治療の選択は苦渋の選択であり、
どちらも選べないと思います。
 このように、癌と付き合うという選択も良いのではと思えた子でした。
飼主さんと1日でも多く、一緒に居られる時間が持てたらよいですね。
スポンサーサイト

トラックバックURL:

copyright 2005-2007 新千歳動物病院のブログ all rights reserved. powered by FC2ブログ. designed by sherrydays.