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新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 50歳
獣医学博士

獣医麻酔外科学会 評議員
獣医腫瘍学会
獣医皮膚科学会
日本獣医師会
北海道小動物獣医師会

妻、子供、犬3頭、猫2頭、フェレット1匹
と暮らしています。

趣味;登山
   クロカンスキー
   自転車
   バイク
   川下り
   カヤック
   

 

 

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犬の複葉に認められた肝臓ガンの外科手術
 健康診断で肝数値が上昇している子がいます。
この子も、健康診断で肝臓の数値が上昇していたため、
レントゲンと超音波検査を行いました。
 検査の結果、肝臓の2葉にまたがり腫瘍が認められました。
腫瘍の造影超音波検査、CTの結果から肝臓ガンと診断されました。
肝臓ガンの多くが単一の肝葉に発生するのですが、
この子は、方形葉、内側右葉に癌を認めました。

飼い主様に、CT画像から完全切除が困難な部位であること
2葉にまたがる腫瘍であること、年齢、腎不全、貧血などから
手術を行わず、緩和治療をお勧めしました。

 飼い主さんは家族会議を行なわれました。
結果、手術を希望されたので、手術の日程を決め
輸血の準備、凝固系の検査などを行いました。
準備万端で、手術当日になり、輸血をしながら
超音波メス、超音波吸引装置、高周波電気メス、半導体レーザー
現状、用意できる全ての機器を用意し開始しました。

 手術は、正中切開で、横隔膜に穴を開け
手術の視野を取りました。

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肉眼的にも、肝臓の方形葉、内側右葉、胆嚢の切除を行いました。

PB301478_convert_20200202100833.jpg

中央から右にかけての肝臓の切除は静脈の走行が肝臓内にあり
CT画像がないとかなり、厳しい手術になります。
手術は、2時間で終了し出血もほとんどなく、
当初の予定通り、終了しました。


 
下記に肝臓ガンの国内の発生率などを
調査した結果がありますので、ご参照いただけると幸いです。
 
 犬の肝臓ガンの多くが孤立性の腫瘍で
他の葉にまたがり発生することが少ないとされています。
この子も当初、複葉に発生していることから
ガンではないと考えられていましたが、造影検査の結果、
肝臓ガンであることと診断されました。
 飼い主様は、犬自身、15歳の高齢であることから
手術に否定的でしたが、
肝臓ガンの国内の報告では
腫瘍の発生部位は外側左葉 28%
内側左葉    15%
方形葉     10%
内側右葉    20%
外側右葉     24%
尾状葉尾状突起 14%
尾状葉乳頭突起  7%

 区域別では、左肝区域 39%
中央肝区域       27%
右肝区域        35%
術後生存期間の中央値は、外科的切除を行った症例で は 770 日間
切除不可だった症例では 116 日間
(飯田玄徳 著 - ‎2014 日大 博士論文より抜粋)

今回の肝臓ガンは、右側の2葉にまたがる腫瘍で
外科的には難しいとされている手術でした。
緩和療法などでも数ヶ月は生存ができる腫瘍ですが、
飼い主様の意向で、手術に踏み切りました。
 飼い主様の意向や要望の応えれるよう
より一層の努力を行いたいと思います。
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