FC2ブログ
新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 48歳
獣医学博士

獣医麻酔外科学会 評議員
獣医腫瘍学会
獣医皮膚科学会

妻、子供、犬4頭、猫2頭、フェレット1匹
と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   

 

 

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

多発性と考えられたウェスティーの肝臓がんの外科手術
 犬の肝臓癌は、血液検査では見つかりにくい腫瘍です。

この子は、複数の肝臓癌で手術を行わないほうが良いと
言われていた症例です。
念のため、血液検査、レントゲン、超音波検査などを行いました。
さらに、ソナゾイド造影超音波検査も実施しました。
病理検査とソナゾイドの結果から、1つは肝臓癌、
もう一つは過形成と診断しました。
 
過形成は、今の所、悪いものではないので経過観察,
肝臓癌は根治が望めるため、外科的な治療を行うこととなりました。
肝臓の外側左葉の完全切除による根治術です。

 肝臓癌は、腫瘍の大きさも大事ですが、
発生部位が重要と言われています。
特に、右の葉にできた肝臓癌は切除が難しく
手術の難易度が上がると言われています。

 手術は、左側の肝臓を全て取り除き、同時に
過形成の生検も行いました。
 手術は、全身麻酔で行い、電気メス、超音波メス、半導体レーザー
ヘモクリップなどを使い、1時間半で終了しました。

PC200877_convert_20190106081825.jpg

手術の3日後、無事退院となりました。

切除された肝臓は、マージンも取れており
肝臓癌でした。
さらに、同時に生検した腫瘤は、過形成でした。

 手術後は、翌日から水も飲め、徐々に元気になりました。
術後10日で抜糸を行い、その2日後にはシャンプーも
行えるくらい元気になりました。

 飼い主様は診断が出た当初、不安と、心配と絶望を感じ
ネットでの情報からさらに不安が募っていました。
多発性では、外科的治療も難しいことが多く、心配だったと思います。

 肝臓癌は超音波検査を正確に行えれば
見つけることは難しくなく、診断もソナゾイド造影超音波検査や
針生検で確定診断がつきます。
 手術に関しても事前にCTなどの画像があれば
さらに安全な手術が可能です。

 下記は博士論文から(犬の肝細胞癌の診断と治療に関する研究、飯田ら:日大)
左肝区域が 28 頭(39%)
中央肝区域が 19 頭(27%)
右肝区域が 25 頭(35%)
切除した肝葉は一葉のみとなった症例が 44 頭(62%)
二葉以上切除した症例が 22 頭(31%)
切 除不可だった症例が 5 頭(7%)であった。
術後生存期間の中央値は、外科的切除を行った症例では 770 日間 であったのに対し、
切除不可だった症例では 116 日間であった。また、術後に再発した症例は 7 頭(11%)

 上記の通り、肝臓癌は、手術により根治が可能で
術後、転移も少ないため、抗がん剤などの治療も必要ないことが多いため
事前に、しっかりとして検査を行い、万全の手術を行えば
一緒に楽しい時間を過ごすことが可能です。

 この子の飼い主様も、不安と恐怖で
辛かったと思います。
今は、一緒に正月を過ごせて安心されています。
スポンサーサイト

トラックバックURL:

copyright 2005-2007 新千歳動物病院のブログ all rights reserved. powered by FC2ブログ. designed by sherrydays.