ワクチン接種時などの健康診断で診断されることが
多く、ほとんどの飼い主さまが、そのことをご存じです。
この子は、膵炎が重度で転院されて来られました。
膵臓のエコー検査で、腹部に腫瘤があり、それも左右両側にありました。
飼い主さまにお聞きすると、去勢はしていない。
また、精巣がお腹の中にあることも知らなかったようです。
以前の病院で、エコー検査時に
お腹の中にしこりがあるが、様子を見て良いと言われたようでした。
お腹の中にある精巣は、腫瘍化していたので
開腹して切除を行いました。
右側は、膀胱の横にありました。
大きさは、正常の精巣と同じでした。

左側は、腸間膜に癒着しており、
腎臓と膀胱の中間に位置していました。
大きさも、正常より大きく、変色していました。

腫瘍の切除は20分で剥離と切除を行いました。
その後、お腹を閉じて、覚醒させました。
翌日の朝には、退院となりました。
病理結果は、右側は萎縮を認めるも
構造は正常でした。
癒着を起こしていた、左側の精巣は、
セルトリ細胞腫でした。
犬のセルトリ細胞腫は、精巣の腫瘍の中で多く、
人では、稀な腫瘍とされています。
病理検査では、脈管転移は認めず、完全に切除できていました。
このように、他の疾患で腫瘍が見つかることが多く、
特に超音波検査で予期せず、腫瘍を発見することがあります。
この子も、膵炎と腸炎の検査時に腫瘍が見つかりました。
手術後は、翌日に退院でき
抜糸も1週間後に行います。
精巣が、お腹の中に残っている停滞精巣の子は
定期的に超音波検査で精巣の確認をしておいた方が良いのかもしれません。
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