新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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ダックスに発生した浸潤性脂肪腫の外科手術
 トリミングに迎えに行くと
トリマーさんから、イボがありました!とか
腫瘍がありました!と伝えられることがあります。

 この子も、当院のトリマーが、後脚の付け根が
腫れており、なんかおかしいと担当獣医師に相談しました。
獣医師が触診すると、確かに大きくなっており
腫瘍というよりも、筋肉が盛り上がっているようでした。

 一般的な腫瘍は、イボがつまめたり、
輪郭があったりしますが、この子の場合、
腫れているといった方が分かりやすいです。

 飼主さまに、触診の結果、
筋肉の下に腫瘍があること、腫瘍は良性か悪性か
まだ分からないこと、徐々に大きくなっていること
などをお伝えしました。

 飼主さまは、少し経過を見たいと
おっしゃったので、大きくなったり
飼主さまが不安になったら来院していだくことになりました。

 1ヶ月後、大きくなってきたこと、
心配になったので来院されました。

P1060576_convert_20170526190115.jpg

 血液検査、レントゲン、超音波検査を行い、
筋層の下に腫瘍があること、病理検査によって
良性の腫瘍と考えられることをお伝えしました。

 飼主さまは、大きくなっていることが
心配で手術を希望されました。
手術の前に、腫瘍の大きさ、筋肉の間に
入り込んでいることから、事前にCT撮影を行いました。
CTの結果、筋肉と筋肉の間に入り込み
浸潤性に大きくなっていることから
『浸潤性脂肪腫』の可能性が高いことが判明しました。

手術は、筋肉を3箇所切開し
腫瘍を切除しました。

 P1060580_convert_20170526190339.jpg
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 正常な脂肪も腫瘍も見た目では、
変わらないため、正常の脂肪組織も切除を試みました。

 P1060582_convert_20170526190419.jpg

 手術は、1時間で終了しました。
術後は、すぐに麻酔から覚醒し、当日の夕方に帰宅されました。
筋肉を切開したものの、術後から元気に歩き
飼主さまも少し、安心されたようです。
 
 『浸潤性脂肪』は
良性の脂肪腫が、浸潤的に皮下、筋層、骨などに
波及し、まれに、骨の増生なども伴うことが知られています。
事前の病理検査では、一般的な脂肪腫と浸潤性脂肪腫との
鑑別は困難で、CTなどによる画像診断が有用です。
 手術中において、正常な脂肪と脂肪腫との鑑別は困難で
大きなマージンを取る必要性があります。
浸潤性脂肪腫には、3つのタイプに分かれ、
そのタイプによる予後などは、今後の研究成果を待つところです。
 治療は、外科的に切除を行うことが勧められています。
また、放射線療法も効果があるとの報告もあることから
手術を行えない場合は、放射線療法も考えても良いのかも知れません。

 脂肪腫は、日常の診察においても
飼主さま自身も見つけることの多い腫瘍です。
脂肪腫は、良性であることから、大きくなるまで
経過を見ることが多いで腫瘍ですが、
今回の浸潤性脂肪腫は、切除マージンが大きくなること、
筋肉や、神経を巻き込むことも多いことから、
早期に手術を行うことが望ましい腫瘍です。

 今回、発見時から手術まで
時間が経過したこともあり、腫瘍は大きくなり
皮膚の切開も大きくなりました。

 筋肉の間にできる腫瘍には、悪性の腫瘍も多いことから
早期に確定診断を行うこと、また、手術前にCTを用い
腫瘍の評価を行うことが重要です。
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