新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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雌犬の肛門周囲腺癌の外科手術
 このブログには、手術の画像が掲載されております。

 肛門の周囲に腫瘤が出来る事は多く
排便時に飼主さまが気付かれる事がほとんどです。

 この子は、メスの雑種犬で以前から肛門の横にイボがあり
腫瘍と診断していましたが、飼主さんの希望で経過を診ていました。

 肛門にできる腫瘍の多くは未去勢の雄犬に多く
雌犬の発生は少ないとされています。
雌犬の肛門に発生する腫瘍の多くが悪性の腫瘍である
肛門周囲腺癌と言われています。

 この子は、腎不全、膵炎を患っており
飼主さまは腫瘍の手術を希望されていませんでした。
しかし、腫瘍から出血し、日々の生活が困難になったため、
手術を希望されました。

 このように、肛門の脇に腫瘍があり、
自潰し、出血していました。

 P1050973_convert_20160611164927.jpg


 手術は、全身麻酔下で行い
肛門の周囲にある腫瘍を切除しました。
 腎臓病、膵炎を併発していたため
術前から点滴と抗生剤、シベレスタットなどを投与しました。

 手術は、約1時間で終了し
手術が終わるまで待っていただいていた飼主さまも
安心され、麻酔からさめた直後に面会していただきました。

 P1050972_convert_20160611164827.jpg

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 切除は、完全に行え、マージンも切除出来ていました。
また、肛門周囲の筋肉も最低限の切除が可能で、排便障害もありませんでした。

P1050975_convert_20160611165319.jpg

 肛門周囲の腫瘍の多くが
未去勢の犬に多く、メスでの発生は稀ですが、
最近では、雌犬の肛門周囲腺腫、特に
肛門周囲腺癌の発生が増えています。

 トリミング犬種の場合、定期的に
肛門周囲のケアをトリマーさんが行うため、
早期に発見できますが、トリミングに出す事の少ない犬種では
発見が遅れることが多いようです。

 また、雌犬の肛門周囲腺癌は転移率も高く、
当院でも、手術の際には、既に肺やリンパ節に転移している事が
ほとんどです。
 雌犬の肛門周囲線の拡大には、ホルモンの関与が示唆されており
クッシング症候群のような、内分泌疾患の検査も同時に行うべきかも
しれません。

 現在、当院では、
肛門周囲腺癌に対する外科療法以外にも
緩和療法で、長期の生存が可能になっております。
 最近では、手術が不可能なレベルになった
リンパ節転移の子も、1年間内服のみで生存が可能でした。
 手術をしたくない、もしくは、出来ないレベルの子も
この治療法を選択してみては、いかがでしょうか?

 
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