新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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犬のソケイヘルニアから飛び出た子宮と腸管の外科手術(嵌頓状態)
 (注意)
(下記のページには、手術中の画像も含まれております。)

ペットにもヘルニアが多く発症します。
股の付け根の鼠蹊という小さな穴から、脂肪などが
飛び出していることがあります。

 これは、先天的なことが多く、
生後数か月で小さくなっていく孔(穴)が
狭くならず、広がったままになる疾患です。

 めずらしい病気ではなく、日頃の診察でも
目にすることが多くあります。

 この子も、かかりつけの病院で、ソケイヘルニアと
診断はされていたものの、特に手術を受けていませんでした。
ソケイヘルニアは、一生、重症化することなく、経過することもあります。
しかし、中にはこの子のように急に悪化することもあります。

ソケイヘルニア術前1

この子は、11歳のWコーギーで、かかりつけの病院で
ソケイヘルニアと診断されていました。
手術などの話は行われていませんでした。

 今回、急に吐き気、下痢、食欲不振、おしっこをしないと
紹介で来院されました。

 診察中は元気にしていましたが、レントゲン、超音波検査にて
大きな異常を認めました。
 
 診断結果は、鼠蹊ヘルニア孔からの腸管、腸管膜、子宮が
全てヘルニア孔から脱出し、カントン状態になっていました。
 カントンとは、ヘルニア孔などから飛び出した、内容物が元の状態に
戻らなくなった状態を示します。

ソケイヘルニア 鼠蹊部 術中

 この子も、今までは、興奮したり吠えたりした際、
ヘルニア孔からお腹の中の脂肪が出たり入ったりしていたと思われます。
 今回は、いつもと異なり、脂肪などではなく、重要な臓器である
子宮、小腸が、飛び出し、戻らなくってしまいました。

 この状態を放置すると、ショックなどをお越し、急変します。
飼主さんに、写真、本などを使用し、詳しく、お話をしました。
飼主さんも急を要する状況だと理解していただきました。
  
 緊急入院と、更なる精密検査、手術の準備となりました。
検査は、凝固系を中心に検査を行いました。
凝固系に異常が認められなかったので、すぐに手術をおこないました。

 手術は、ソケイ部を切開し、さらに、お腹を開けて
お腹の外と中から状況を確認しました。
ソケイ部から小腸と子宮、脂肪が飛び出しており、
外から中に戻そうとしても、巾着状態になっていました。

ソケイヘルニア 術中 腹側観

ソケイ部を切り広げ、飛び出した臓器をお腹の中に戻しました。

ソケイヘルニア 術中 開創後


子宮は、卵巣子宮全摘出術をおこない、飛び出した小腸は、
壊死していたため、切除しました。

ソケイヘルニア 腸管

 さらに、切除した部分を吻合しました。

ソケイヘルニア 術後


ヘルニア孔を塞ぎ、再発を抑制しました。

 手術中は飼主さんにも、お待ちいただき、
麻酔から覚醒した状態で面会し、安心して帰宅されました。
 
 術後、翌日から水分を飲み、2日後に無事、退院となりました。
入院が長くなることは、飼主さんにとっても、動物にとっても
良いことではないので、当院では可能な限り、早い退院に努めています。

 手術は、手術計画を立て、飼主さん立会いの下、
緊急で行われました。

 手術の内容は、ヘルニア孔から突出している臓器を確認し
元の状態に戻せるか、壊死などの状態になっていれば、
切除することも視野に入れて行われました。
 飼主さんにも、立会っていただきました。

ソケイヘルニアは、日常、良く見られる疾患です。
ほとんどの場合、避妊手術や、去勢手術の際、ヘルニア孔を
閉じる手術を同時に行います。
 しかし、この子の様に、手術を行うことが無かった場合、
ヘルニア孔からカントン状態になり、ショックを起こして
来院されることがあります。

 ヘルニアは、椎間板ヘルニアが有名ですが、
中には、内臓が飛び出すこともありますので
ご注意ください。
 
 すべてのヘルニアが手術を実施しないといけない訳では
ありません。
 担当医と手術の必要性を話合ってください。

 無事に、手術が終わり、良かったですね。


 
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