新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 48歳
獣医学博士

獣医麻酔外科学会 評議員
獣医腫瘍学会
獣医皮膚科学会

妻、子供、犬4頭、猫2頭、フェレット1匹
と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   

 

 

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シェルティーの粘液のう腫の外科手術(胆のう摘出術)
 
『胆石』という言葉はどこかで聞いたことがあると思います。
 胆のうは肝臓で作られた『胆液』を貯蔵している臓器です。
食べ物を食べると、胆液という消化液を十二指腸に送り出しています。

 犬や猫にも胆のうがあり、食事の度に
胆液を出しています。
 『胆のう粘液嚢腫』はこの胆液が粘調度を増して
胆のう内で固くなってきます。
 医学的には、胆嚢内に糖タンパクを主成分とする
粘液様物質(ムチン)が貯留して胆嚢拡張を認める疾患です。

 現在、この状態になる前に、利胆剤、強肝剤、抗生剤、
さらに、サプリメントなどで胆泥(たんでい)の状態で
治療しています。
 しかし、この治療にもかかわらず、胆泥が貯留していく子もいます。

 最近の肝臓病の専門家の意見としては
胆のう内に胆泥が貯留し、肝数値が上昇していく場合は
手術にて胆のうを摘出したほうが良いと言われています。
 手術の時期、タイミングは各病院、各先生の方針によります。
本院では、肝臓の数値が上昇している場合、特に、ビリルビンと
アルブミンの数値を指標にしています。

 この子は、肝臓の数値は正常でしたが
成長期から胆のう内に胆泥が貯留していました。
肝臓のお薬、サプリメントを飲んではいるものの、
胆のう内の胆泥は増加しつづけていました。
 お薬のおかげで、肝数値は正常でした。

 飼主さんの希望で、若くて体調の良い時に手術をしたいと
申し出があり、手術となりました。
 術前に、肝数値、アンモニア、胆汁酸、凝固系の検査も行い
全て問題なく手術となりました。

 手術は約60~90分で終了します。
お腹を開けるとこのように、大きくなっている胆のうが見えます。

 胆嚢 摘出術 術前

 この子の胆嚢は術前の超音波検査で既に、粘液嚢腫になっており、
胆のう内に多量の胆泥が溜まっていました。

 胆嚢摘出術 術中 1

 胆のうに小さな穴を開け、そこから吸引器を使用し、
胆泥を吸い取ります。

 胆嚢摘出術 術中 2

 胆のうを肝臓から剥離する際、今までは綿棒を使用し
出血を抑制しながら行っていました。
最近では、ソノサージという、超音波メスを使用することにより
出血もほとんど無く、手術が終わる様になりました。
 
 胆嚢摘出術 術中 後

 胆嚢 胆泥


 出血が少なくなったので、術野もきれいで、
お腹の中にもほとんど血が落ちないようになっています。
癒着の心配もなく、さらに、術後、ドレインからの漿液もありません。
また、肝臓の数値も術前と変わらないので、退院も、術後1~2日後に
なっています。

 この子は、術後の病理検査で、慢性肝炎と診断さました。

 早期に手術を行うことにより、予後にも大きな影響があると
考えられています。

 肝臓は沈黙の臓器と言われており、飼主さんも
症状のない病気を手術で治すと言われても・・・と
思うでしょうね。

 手術自体は、難しくない手術ですが
手術の際は、担当獣医師とよく話し合って
納得の上、手術に臨んでくださいね。
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