新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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子宮蓄膿症の内科療法:手術が出来ない症例へのアリジンの投与
 不妊手術を行っていない中高齢の犬に子宮蓄膿症という
子宮内に大腸菌が入り込み炎症と、化膿を起こす病気があります。

 以前に比べ、発生率は減っていますが、
未だに、食欲がない、下痢をしている、お水をたくさん飲むと
来院されるワンちゃんがいます。

 ほとんどの場合、超音波検査で診断がつき、血液検査で問題が無い場合、
緊急手術ですぐに治癒します。
 しかし、この疾患は、発症年齢が中高齢の場合が多く、
心臓病、腎臓疾患、さらに、発見が遅れた場合、すでに
DICや貧血といった状態になっており、手術が難しいことがあります。

 今までは、輸血や輸液、抗生剤などを使い、一般状態を改善させてから
手術まで待つことがほとんどでした。
 手術までの間に、状態が悪化したり、経過を見ていることがあります。
今回、アメリカで犬の堕胎薬として『アリジン』という注射薬が発売されました。
日本では、未発売ですが、子宮蓄膿症に有効な治療法として知られてきました。


 アリジン バイアル

 本院では、緊急手術が出来ない状態の場合、この『アリジン』を使用し
一般状態の改善とともに、子宮蓄膿症の治療の両方を同時に行えるようになりました。

 この子は、高齢で飼主さんも、手術は避けたいという思いが強く、
子宮蓄膿症という診断、治療法は外科手術と聞いて落胆されていました。
 現在、犬の子宮蓄膿症の治療に、アリジンという注射薬で
内科療法で改善しますという話をした後、安堵されていました。
すぐに、飼主さんはアリジンを使用した内科療法を開始して欲しいとおっしゃいました。
血管を確保し、点滴と抗生剤、ビタミン剤などを併用し、
皮下注射で第1日目、2日目に皮下に注射を行い、3日目には退院となりました。
 注射後、膣から膿が大量に出てきました。

 アリジン 子宮蓄膿症

 排膿してから、早々に食欲、元気も改善し、
さらに、3日目には、膿もほとんどでなくなりました。
血液検査にて白血球も正常になり、超音波検査でも子宮に溜まった
膿が確認できなくなりました。

 今まで、子宮蓄膿症の治療法は限られていましたが、
また、診断時に既に治療を諦めないといけない場合も、
この薬の登場により、大幅に治療法が広がりました。
手術を希望されない方、手術に危機感を持たれている方に
時間と、治療の選択肢が増えたことは、飼い主さんにとって良いことです。


 今のところ、犬での使用に制限されています。
猫への投与は、行われていませんが、投与の報告はされ始めています。

 今後、更なる使用と研究で、負担の少ない治療、
飼い主さんが、いろいろ選べる治療を勧めていきいたいと思います。
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