この子も事故で太股の骨(大腿骨)を複雑骨折されてきました。
すぐに、身体検査を行い、他の病気が無いことを確認し、
大腿骨のレントゲンを撮影しました。

肢を横から撮影するとこのように、骨が複雑に骨折しているのが分かります。
また、縦の状態からレントゲンを撮影すると、

このように、やはり、骨が砕かれているのが分かります。
飼主さんに大腿骨の骨折があること、また、その骨折は複雑骨折であることを伝えました。
大腿骨の単骨折は良く診ますが、複雑骨折は多くありません。
この場合、いわゆる、外固定(ギブス)は骨折部位と、複雑骨折であることから難しく、
手術が必要と思われました。
ウサギの骨は、鳥の骨と似ていて、外側は硬く、中は空洞になっているような骨です。
軽くて、壊れやすいの特徴です。
飼主さんと手術法を相談しました。
1.プレート法
2.創外固定法
3.ピンニングとワイヤー法
1.プレート法は複雑骨折の際、とくに、ウサギさんでは、かなり難しい手術になります。
また、プレートを外す手術も必要になるため、2回の手術が必要になります。
2.創外固定法は大腿骨という場所により、難易度が上がります。
3.ピンニングとワイヤーはウサギさんの大腿骨には、アプローチしやすく
再手術が必要ないのでこの方法を選択しました。
手術前に、血液検査、レントゲンを行い、麻酔のリスクを確認しました。
また、飼主さんと術中、術後の注意点をお話を行い、承諾を得ました。
手術は、血管確保を行い、前麻酔、吸入麻酔で導入し、骨の整復を行います。
手術は、筋肉と筋肉の間、筋層を切開していき、骨折部位にアプローチします。
レントゲン写真の骨折部分と同じように、骨は粉々に砕けていました。
術中写真は掲載できないくらいの状態だったので、術後の写真を掲載します。

このように、骨がかなりのパーツに分かれて折れていたので、
ピンで骨をまっすぐにし、さらに、割れた骨片をあわせて、可能な限り
元の状態に戻しました。
術後の写真は、このように、ほぼ、元の状態に戻りました。


術後はとても元気で、翌日には、外固定を行い退院されました。
術後の外固定は、ロバートジョーンズ包帯を行いました、しかし、
術後の元気のあまり、自分で包帯を解いて来院されました。
現在は、食欲もあり、元気にされています。
飼主さんは、元気すぎて心配だと困惑されていました。
術後は、外固定を気にして、かじるくらい元気ですが、
元気すぎて、ハラハラしていますが、飼主さんも元気になられて良かったですね。
ウサギの骨折は、とてもデリケートな手術が必要となり、
また、手術法、固定法なども難しいと言われています。
飼主さんと、獣医師と連携して、取り組む必要のある疾患でしょうね。
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