新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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シーズーの血管外膜細胞腫の外科手術
 腫瘍のなかで、飼主さんが初めに気づくものは皮膚腫瘍です。
皮膚腫瘍で一番多いのは、脂肪腫(lipoma)で、2番目に多いのが
血管外膜細胞腫です。
 血管外膜細胞腫(Hemangiopericytoma)とは、血管周皮腫とも血管周皮細胞腫とも言われています。
現状では、悪性とも良性とも、どちらともつかない腫瘍ですが、
再発を繰り返すたびに、悪性度が高くなると報告されています。

 この子は、5歳のシーズーで、右後肢の外側にイボができています。
飼主さんは、急に大きくなったイボを心配し来院されました。
 イボはこのような状態でした。

 血管外膜細胞腫 術前1

 毛を刈るとこのように、はっきりと分かるとおもいます。


 血管外膜細胞腫 術前2

 すぐに、診察を始め、付属リンパ節が腫れていないことを確認し、
直接、イボを触り、脂肪腫でないことを確認し、飼主さんと手術するか、
様子を見るかで相談しました。

 相談の結果、もう少し様子を見るこことなりました。
しかし、来院の数日後、やはり、心配なので、手術を考えると連絡があり、
レントゲン、血液検査などを行い、手術に関して、お話をしました。
飼主さんは心配なので、手術には立ち会うことを決められました。
 
 手術は、血管を確保し、点滴を行い、麻酔導入を行い、
吸入麻酔、挿管し、飼主さんに手術室に入っていただき、始めました。

 麻酔も安定し、マージンを取りながら、手術を進めていくと、
後足の外側伏在静脈を巻き込むように、腫瘍が浸潤していました。
立ち会っている飼主さんに、静脈を切り取り、さらに、筋肉も切り取っても
根を張るように伸びている腫瘍なので、切り取ることは難しいことを伝え、
切り取れる範囲で切除しました。

 血管外膜細胞腫 術中

 手術が終わり、麻酔から10分で覚醒し、飼主さんと一緒に入院室に移り、
半日、入院で退院となりました。
 腫瘍の病理結果は『血管外膜細胞腫』でした。
この腫瘍は、根を張るように伸びており、腫瘍辺縁から3cm切り取れれば
再発は無いと言われています。
しかし、取り残しがあると、以前よりも取るのが困難になり、悪性度も増します。
 なので、この腫瘍の場合は、可能な限りマージンを取りますが、
この子のように、足の先端部分に出来るとマージン3cmは、かなり困難と言われています。
欧米では、断脚も視野に入れた腫瘍とも言われています。
また、抗がん剤は効果なく、唯一、放射線療法が効果があると言われています。
 現状、放射線療法は、酪農学園大学、釧路の釧路動物病院にあるだけで、
札幌の開業の病院で導入を考えている病院が1軒あるくらいです。

 飼主さんと、飼主さんの家族にその旨をお伝えし、
放射線療法をお勧めしましたが、もう少し、考える時間が欲しいということで
抜糸までは様子を見ることとなりました。
 術後は傷の治りも早く、術後10日で抜糸になりそうです。

 この腫瘍は日本でも発症例が多く、また、切り取るにはマージンが必要なこと、
また、抗がん剤なども効果ない事などから、飼主さんと良く話しあう必要のある
腫瘍の1つです。

 この腫瘍に悩んでいる方は、腫瘍の専門知識を持った獣医師と良く話し合い
治療方針を決められたほうが良いと思います。
良い答えが返ってくることを信じて。
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