長い間、目の不自由なかたのために働いてきたワンちゃんです。
飼主さんも、それに応えるかのうような、良い関係の2人?です。
来院の目的は、お腹の左側の皮膚の下にしこりがあるということでした。
すぐに、触診を行いました。
確かに、何かあります。でも、しこりというよりは、ポニョポニョした塊です。
いわゆる、塊、しこりというのではなく、豆腐のような感じです。
16歳という年齢もあり、すぐに外科手術ということにはならず、
抗生剤、抗炎症剤で1週間様子を見ました。
1週間後にはかなり小さくなりましたが、やはり、ポニョポニョしています。
そこで、飼主さんと相談し、16歳とはいえ、まだまだ長生きすることを考えると
腫瘍を放置することはできないということになり、外科手術に前向きに取り組みました。
一番の問題点はやはり、年齢です。
大型犬の16歳となると、寿命と考える方も少なくないでしょう。
本院では、もちろん、年齢も重要な麻酔のリスクファクターですが、
それよりも、心臓、内臓に問題ないか、転移はしていなかなどが重要です。
飼主さんに、手術を行う前にしっかりとした、検査を要望しました。
飼主さんもその辺りは納得され、検査を行いました。
結果は、すべて問題なしということで、手術となりました。

このように写真でみる、どこに腫瘍があるのか分からないです。

皮膚を切開すると、このように、筋肉に付着し、さらに、筋層の間にも入り込んでいます。
筋層に入り込んだ腫瘍を筋肉ごと切除し、さらに、皮膚も切除します。
この血管外膜細胞腫の大変なところは、取り残すと再発を繰り返し、
転移することあることです。
現在、病理学的には悪性とも良性ともつかない腫瘍と言われていますが、
転移することを考えると、『転移しにくい悪性』と考えています。
外科的に切除するか、放射線療法、抗がん剤療法があります。
本人では、マージンに余裕を持って切除できる場合は、外科切除のみ。
マージンが取れない、もしくは、深い場合は、放射線療法で小さくしておき
外科的に完全切除を行います。
この腫瘍は、どこにでもできるので、1回目の手術で完全切除できるかどうかを
見極める必要があります。
完全切除できない場合は、放射線療法を併用します。
しかし、現在、放射線療法は酪農学園大学と釧路の病院くらいしかありません。
なので、計画的な切除が必要になります。
手術は無事終了し、当日に退院となりました。
飼主さんも16歳と高齢であることから、かなり心配されていましたが、
歩いて退院できたので、安心されていました。
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