FC2ブログ
新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 50歳
獣医学博士

獣医麻酔外科学会 評議員
獣医腫瘍学会
獣医皮膚科学会
日本獣医師会
北海道小動物獣医師会

妻、子供、犬3頭、猫2頭、フェレット1匹
と暮らしています。

趣味;登山
   クロカンスキー
   自転車
   バイク
   川下り
   カヤック
   

 

 

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

犬のホルター心電図
 犬の心臓病は弁膜症や心筋症などが有名です。
人のような不整脈などは、犬の場合、発見が遅れることがあります。
犬は、心臓の痛み、動悸など自己診断ができないことが
病気の発見、診断につながらないと思います。

 この子は、副腎の腫瘍があり
外科的に切除が難しいため、内服にて治療を行っていました。
ある日、急に倒れたと、心配され来院されました。
 血液検査、胸部レントゲン、心臓の超音波検査を実施
心電図も行いました。
異常はなく、脳疾患を疑いMRI撮影を行いました。
脳には異常はなく、麻酔時に、P波の消失を認めました。
今までの検査から、この子が倒れたのは、心臓から来るものと
判明しました。

 病院で再度、心電図を行いましたが
異常がありませんでした。
精密検査のため、24時間のホルター心電図を装着することにしました
 こちらがホルター心電図です。

 P2131565_convert_20200330101804.jpg

犬に洋服を見ていただきます。
服の下には、可哀想ですが毛を刈らせていただきます。

P2131563_convert_20200330101834.jpg

心電図をテープで貼り付け、24時間自宅で
いつもの生活をしていただきます。
飼い主様には、食事、散歩など生活スタイルを
記載していただきます。

 記録は、服のポケットに入れてある
SDカードの記録機に登録されます。
24時間後、服を脱いでいただき、心電図をはがして終了です。

 検査結果は、1週間くらいで判明します。
この子は、24時間の間に、1回だけ4秒間心臓が止まっていました。
不整脈の中では、P波消失と言って、治療が難しい病気です。
人の場合、ペースメーカーを埋め込みます。
犬のペースメーカーはありますが、未だ高価で
手術が必要なため、専門の病院でしかできません。

 現在は、副腎の腫瘍の治療と、
経過観察を行っています。
犬が突然、倒れる場合、脳、心臓を中心に
検査を進める事が重要です。
 その後、この子が倒れることはありません。
しかし、腎臓に嚢胞が見つかり、飼い主様も心配のタネが
無くなりません。
スポンサーサイト



高齢のウサギの避妊手術
 ウサギさんの避妊手術の多くが6ヶ月未満で行うことが多く、
6ヶ月を過ぎると、子宮周囲の脂肪が子宮の血管が見えなくなります。

 当院でも若い子の避妊が多く、
高齢の場合は、子宮蓄膿症、子宮癌での手術がほとんです。

この子は、一緒に生活しているウサギさんが子宮癌で
手術ができない状態になりました。
同居ウサギも心配になり、急遽、避妊手術を希望されました。

 高齢のウサギさんの避妊は麻酔と腹腔内脂肪が問題になります。
当院では、事前の検査(血液検査、胸部レントゲン)にて
麻酔のリスクを判断します。
検査で問題がなければ、飼い主様に手術の内容をお伝えし、
納得いただければ、手術となります。

 麻酔のリスクを減らすため、
1、吸入麻酔にセボフルレンを使用します。
  多くの病院が使用しているイソフルレンを使用しています。
  イソフルレンは気管刺激があることから
  ウサギさんの麻酔には使用していません。
  セボフルレンの方が高価であること
  麻酔器を別に購入しないといけないことから
  セボフルレンを使用している動物病院が少ないと言われています。

2、ウサギ専用の気道確保システム(V-JEL)を使用する

  下記がV-JELを挿管した状態です。

  P3221627_convert_20200330101304.jpg

  ウサギさんは、犬猫のように気管チューブの挿管による
  気道の損傷、腫れが軽減されます。
  注射麻酔や、マスクより、V-JELの方がより安全に麻酔を管理できます。

3、手術には、半導体レーザー、超音波メス、ラジオ波電気メスを使用する。
  手術をより安全に行うには、術者の手術に対する熟練度もあります。
  さらに、出血などをより少なくする機器も使用します。
  上記のデバイスを使用することにより
  麻酔時間の短縮、縫合糸の削減、出血量の減少などが可能となります。
  
当院では、これらの方法により、日帰りでの避妊手術、
入院を数時間で済むようになっています。
ウサギさんの入院を心配されている飼い主様には、麻酔時間が短いこと
入院時間も少ないことなどで、ウサギさんへのストレスを軽減できると
飼い主様のストレスも軽減が可能になっています。

 P3221622_convert_20200330101422.jpg

P3221625_convert_20200330101339.jpg

 こちらは高齢のウサギさんの摘出した卵巣と子宮です。
このように、卵巣周囲、子宮周囲、子宮動静脈に
脂肪が沈着し、血管などが見えない状態になっています。


 ウサギさんの避妊手術に関して
詳しいことがお聞きになりたい方は、
スタッフまでご相談ください。

  

   
病院が苦手な猫の来院に関して
 猫の中には家から出ることが苦手な子もいます。
多くの子が、外出、特に病院が嫌いだと思います。

 うちの猫も、病院に連れてくることにより
ストレスを感じています。

 当院は昨年から猫に優しい病院の取り組みを行っております。
イギリスの猫の協会でも、猫に不安を与えないような
試みをしています。

 当院では、病院が苦手な子、ストレスを感じる子
病院に連れて来たくても、来院できないこには
自宅で内服薬を飲んでから来院を勧めています。

 内服薬はこちらのデジレル(トラゾドン )を使用しています。

P1101528_convert_20200330101944.jpg

 トラゾドン は猫による研究がされています。
下記に詳しい論文を掲載しておきます。

Journal of the American Veterinary Medical Association
July 15, 2016, Vol. 249, No. 2, 202-207

 デジレルは、副作用もなく、効果もあり、
大学病院などでも使用され始めています。 

病院に連れて行きたいけど、、、
あんなに嫌がるのに連れて行くのは、、、と
お考えの飼い主様は、スタッフにご相談ください。
猫の動脈血栓塞栓症の新しい治療薬
 猫の大動脈血栓塞栓症で来院される方が多くなっています。
猫が急に鳴く、歩かない、歩けないなどの症状で来院されます。

 この子は、ある日突然、歩けなくなり
近くの病院で心筋症と血栓塞栓症(ATE:Arterial thromboembolism)
と診断され、詳しい検査の希望で来院されました。

検査の流れは
1、検査室内:体温、心拍数、心雑音、歩き方
2、胸部レントゲン:心臓の大きさ、肺水腫の有無
3、血液検査:心筋症の状態:ANP,BNP、甲状腺機能
4、超音波検査:心筋の厚み、左心房の大きさ、LA/AO
5、心電図:不整脈、心拍数

 上記により、心筋症の病態、血栓症の重症度を把握します。
結果により、治療法が異なります。
1、入院の必要性:酸素室(ICU)
2、血栓塞栓症の治療(内服、注射、点滴など)
3、外科手術

当院では、このような手順で検査、治療を行なっています。

ATEは死亡することが多いと報告されていますが、
当院では、初期治療などの徹底から、報告されているより
生存率が高いので、初期の検査、治療を徹底しています。

 それでも、再発することがあります。
この子は、元気で可愛い5歳の猫ですが、今まで2回再発し
その都度、検査と治療薬の変更により、治癒していました。
今回で3回目の再発で、循環器専門医と協議した上で、
新しい治療薬を試みることとなりました。

 リバーロキサバン(商品名:イグザレルト)

P3191605_convert_20200330095732.jpg

 経口抗凝固薬:猫に副作用のない薬であり、
        ジョージア大学で研究が重ねられています。
        国内では、大学などで研究がされていますが、
        未だ報告例が少ない薬です。
詳しくは下記に論文を掲載しておきます。
凝固系の働きも記載しています。

Quinn_Figure-1_Site-of-Action.png
(下記より転載)
https://www.mspca.org/angell_services/novel-oral-anticoagulants-noacs-in-veterinary-medicine/


 猫のATEの生存率は、一般的には低いとされていますが、
初期治療により、生存率が上昇すると言われています。
当院でも、初期から治療に力を入れ、一般的な生存率より
高くなっています。
リバーロサバンは、今後、犬の肺塞栓症などの症例にも
使用される薬となると言われています。
猫において、副作用もないのが特徴です。
 高価であること、まだ使用例が少なく
報告例も少ないことから、研究が進歩することを望まれています。


3歳のFブルドッグの脳腫瘍(グリオーマ)の治療
 3歳のFブルドッグが朝からヨダレと顔が痙攣していると来院されました。
緊急で診察すると、診察台の上にヨダレが垂れるくらい出ていました。
口の周囲もチック状に痙攣していました。
意識や、歩行は正常でした。
 飼い主様に、血液検査とレントゲン、同時に、
酸素化と体温の上昇を抑えるためICUへ入っていただきました。
検査の結果に異常は認めず、脳疾患であることを伝え、
ジアぜパム、レペチラセタムで痙攣を抑制しました。
 飼い主様には、てんかん、脳炎、先天的異常、脳腫瘍を示唆しました。
すぐに検査をしてほしいということで、翌日、MRIを撮影しました。

_convert_20200316152128.jpg

結果、脳腫瘍が視床下部に近く、深い部位に認められました。
腫瘍は造影などの画像から、グリオーマと診断されました。


 グリオーマは、脳にできる腫瘍で
髄膜腫についで、2番目に多い腫瘍です。
若齢での発症が多いとされています。
 当院でも、4歳のパグがグリオーマと診断されていました。
パグ、ボクサー、Fブルなどの短鼻種、短頭種の犬に発症が多いとされ、
治療を行わないと
2〜3ヶ月で死に至ることが報告されています。

 飼い主様に、治療法の説明を行いました。

1、外科的切除:完治が望めるが、手術に対する副作用など
        命、術後の問題などがある。
2、放射線療法:完治は難しいが、QOLの改善が見込める。
        麻酔が必要で、大学などでの治療が必要
3、対処療法:治癒は望めないが、麻酔や、副作用などはない

飼い主様は手術が可能なら、してほしいということで、
酪農学園大学の神経科の教授、日本大学の外科の教授に相談と
精査を依頼しました。
先生たちの意見は、発生部位が、深く、完全に切除は難しい
手術が成功しても、目が見えなくなる、歩けなくなるなどの
弊害も起こるだろうと説明されました。
 飼い主様は、いろいろ考え、放射線療法を臨まれました。
北海道では、脳の放射線療法ができる施設は北海道大学しかないとこから、
北海道大学での治療を行うこととなりました。

 現在、内服にて症状はありませんが、
これからの治療に関して不安があると思います。
今後は、大学と連携し飼い主様の不安を少しでも
毎回、お話をしています。

 動物病院では、6歳未満は特発性てんかんで
それ以上では、脳腫瘍などを疑うと言われています。
 しかし、海外の論文では
若齢でも気質的変化をMRI、CTなどで精査をするべきだと
報告されています。
J Am Vet Med Assoc. 2015 Feb 15;246(4):447-50.
Epilepsy in dogs five years of age and older: 99 cases (2006-2011).

copyright 2005-2007 新千歳動物病院のブログ all rights reserved. powered by FC2ブログ. designed by sherrydays.