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新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 50歳
獣医学博士

獣医麻酔外科学会 評議員
獣医腫瘍学会
獣医皮膚科学会
日本獣医師会
北海道小動物獣医師会

妻、子供、犬3頭、猫2頭、フェレット1匹
と暮らしています。

趣味;登山
   クロカンスキー
   自転車
   バイク
   川下り
   カヤック
   

 

 

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アトピー治療の新しい治療法(1ヶ月に1回の注射治療)
 今までのアトピー治療は
・ステロイド
・シクロスポリン
・抗ヒスタミン剤
・サプリメント
どれも内服、外用薬で治療を行なっていました。

 数年前に抗体医薬であるアポキル(オクラシチニブ)が発売され
当院でも、脱ステロイで治療薬をアポキルに切り替えています。

 こちらが新薬の
サイトポイント(オクラシチニブ)です。

 P1111530_convert_20200209083500.jpg

体重ごとに注射が異なり、
1頭あたり、0.3~1.0ml接種します。
疼痛や、違和感はありません。

 昨年の12月に日本でも抗体医薬の注射薬である
サイトポイント(ロキベトマブ)が発売されました。
アポキルと同じ会社が発売し、アメリカとヨーロッパではそれぞれ
2016,2017年から販売されていました。

アポキルとサイトポイントの違いは
1、内服と注射薬の違い
2、作用時間の違い
3、作用点の違い
4、使用年齢の違い

 新しい治療薬であるサイトポイントの長所
1、注射薬
2、1歳未満の子にも使用可能
3、他の薬と併用可能

 短所
1、注射(皮下注射)
2、費用(アポキルより若干高くなることもある)
3、感染症、寄生虫の痒みには効かない可能性がある

 使用に関して、
海外で販売され3年目になりました。
現状、海外では大きな副作用は認めれません。
当院でも昨年から大型犬(55kg)から小型犬(2kg)まで
使用していますが、副作用はありません。

 効果は、もともとの痒みにより
変わっています。
軽度な子は、長期間効果が持続します。
重症な子は、1ヶ月効果が持続しない子もいます。

 現在、当院では、
内服が可能、短期で治癒しそう。
寄生虫などの可能性もある場合はアポキル。

 内服が難しい、慢性経過をたどっている子は
サイトポイントと使い分けています。

 アトピーの子は
痒いのを見ているのが辛いです。
なんとか痒みを抑えてあげたい、
ステロイドなどは使いたくない飼い主様は
担当医にご相談ください。

 少しでも痒みが治まると良いですね。


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Mシュナウザーの皮膚に発生した巨大付属器母斑の外科手術
 皮膚に発生するイボの中で
非腫瘍で、巨大化するものがあります。

 論文では、下記のように定義されています。
皮膚付属器腫瘍は多彩であり,その由来として 毛包,
さらに脂腺や汗腺など様々な器官が含まれる。
加齢とともに同一腫瘍が多発あるいは
異なる毛包系腫瘍が同時に生じることがある。
(Clarke, J., Loffreda,2002.
Am. J. Dermatopathol. 24: 402–405.から抜粋)

 この子は、以前から背中にイボがあり
徐々に大きくなり、飼い主様と相談し、手術を行いました。

P1301543_convert_20200209082951.jpg

手術は、腫瘍の辺縁で切除し、半日入院で帰宅しました。
 術後は、痛みもなく、順調に回復しました。
病理の結果から付属器母斑(線維性付属器過誤腫)と診断されました。

 付属器母斑は
毛包過誤腫は犬に生じる毛包の過誤腫であり,
その発生は少なく好発年齢,犬種,部位、
病因は明らかにされていない。
皮膚は不整に肥厚し,被毛はブラシ状 を呈し,
典型例では多数の局面あるいは小結節の癒合として観察される。
通常は直径数 cm であるが,経過 とともに拡大し,
四肢全体を侵す例もあると報告され ている。
(奥村順子 著 - ‎2006 日本獣医皮膚科学会より)

 このように、悪性ではなく、腫瘍でも有ませんが
徐々に大きくなります。
当院では、経過を観察することは良いことですが、
発見時より、倍以上大きくなった場合は
切除も視野に入れて対応しています。
 徐々に大きくなる場合、その大きさで
止まることは少ないため、早期の切除も
選択として入れていただくと幸いです。

 この子は、かなり大きく切除しましたが
術後は調子も良く、半日で退院しました。
術後も元気にしています。
猫の鼻の中に発生したリンパ腫の治療
 鼻水、くしゃみをする猫が来院されます。
仔猫であれば、多くがヘルペスウイルスにより
伝染生鼻気管炎です。
 歳をとった猫であれば、
鼻炎、アレルギー、腫瘍を疑います。
この子は当初から片側の鼻から鼻水が出ており
抗生剤に反応しなかったことから、腫瘍を疑いました。

猫 リンパ腫 鼻

CTにて鼻の中を確認したところ、かなり大きな腫瘍が
見つかりました。

猫 鼻 リンパ腫

腫瘍は、骨を溶かしており悪性腫瘍を疑いました。
鎮静中に、病理検査を行いました。
1週間後、リンパ腫と診断されました。

 鼻腔内リンパ腫の治療は、
1、放射線療法
2、化学療法(抗がん剤)

 飼い主様とご相談を行い
放射線療法は麻酔、通院、金銭的な問題で
難しいことから、当院での緩和療法を行うこととなりました。
飼い主様からは、猫が痛くなく、辛くない治療を望む、
とお聞きしました。

治療は、副作用の少ないCOPプロトコールに
Lアスパラギナーゼの皮下投与になりました。

COPプロトコールは
1、ビンクリスチン(静脈投与、入院などはなし)
2、シクロフォスファミド(内服薬)
3、プレドニゾロン(内服薬)

Lーアスパラギナーゼは皮下注射と
入院や、副作用の強い薬は避けて行います。

猫にも、飼い主様にも辛くない治療法です。
現在、少しづつ痩せてきていますが、
痛みや、鼻出血なども無く、緩和療法として
飼い主様は、うちの子に会った治療だとお聞きしました。

 現在、癌で苦しんでいる子に
何かしてあげたい、でも、痛いのや入院はちょっとという方は
担当獣医師にご相談ください。
当院での治療が困難な場合は、腫瘍専門医や大学病院と連携し
治療を行なっおります。
Fブルの全耳道切除術
 耳の腫瘍や、耳道の狭窄により
手術を行うことがあります。
多くの手術が垂直耳道の手術ですが、
水平耳道の切除を行う場合もあります。
この子は、耳の腫瘍が垂直耳道に発生し
大学病院で垂直耳道の切除術を受けています。

 大学での手術後、1ヶ月くらい
良い状態が続いたのですが、再度、悪化したと来院されました。

 PB111450_convert_20200202103455.jpg

耳道内に腫瘍はありませんが、慢性的に炎症が発生し
耳道狭窄になり、中耳炎も併発していました。
抗生剤、耳道洗浄で経過を見ましたが
改善せず、飼い主様から手術を希望されました。

 手術は、中耳炎の治療を兼ねて、鼓室包の切開と
水平耳道の切除を行いました。
この手術により、耳が聞こえなくなること
術後、一過性に顔面の麻痺が生じることをお伝えしました。

 PB111451_convert_20200202103525.jpg


 手術は、1時間ほどで終了し、1泊していただきました。
術後は、陰圧のドレーンを設置し、術部をこすらないように
カラーの装着を行い、帰宅されました。
 術後、10日で抜糸を行い、術後は痒み、
痛み、顔面麻痺も起こらず、経過良好でした。

耳道切除は、耳の治療としては、最後の手段ですので、
この手術を行うまでに、獣医師と相談しながら
治療を行うことを勧めています。

 飼い主様は夜も寝れず、困っていましたが
術後、一緒にゆっくりと寝れるようでした。

犬の複葉に認められた肝臓ガンの外科手術
 健康診断で肝数値が上昇している子がいます。
この子も、健康診断で肝臓の数値が上昇していたため、
レントゲンと超音波検査を行いました。
 検査の結果、肝臓の2葉にまたがり腫瘍が認められました。
腫瘍の造影超音波検査、CTの結果から肝臓ガンと診断されました。
肝臓ガンの多くが単一の肝葉に発生するのですが、
この子は、方形葉、内側右葉に癌を認めました。

飼い主様に、CT画像から完全切除が困難な部位であること
2葉にまたがる腫瘍であること、年齢、腎不全、貧血などから
手術を行わず、緩和治療をお勧めしました。

 飼い主さんは家族会議を行なわれました。
結果、手術を希望されたので、手術の日程を決め
輸血の準備、凝固系の検査などを行いました。
準備万端で、手術当日になり、輸血をしながら
超音波メス、超音波吸引装置、高周波電気メス、半導体レーザー
現状、用意できる全ての機器を用意し開始しました。

 手術は、正中切開で、横隔膜に穴を開け
手術の視野を取りました。

PB301477_convert_20200202101147.jpg

PB301477_convert_20200202101147.jpg

肉眼的にも、肝臓の方形葉、内側右葉、胆嚢の切除を行いました。

PB301478_convert_20200202100833.jpg

中央から右にかけての肝臓の切除は静脈の走行が肝臓内にあり
CT画像がないとかなり、厳しい手術になります。
手術は、2時間で終了し出血もほとんどなく、
当初の予定通り、終了しました。


 
下記に肝臓ガンの国内の発生率などを
調査した結果がありますので、ご参照いただけると幸いです。
 
 犬の肝臓ガンの多くが孤立性の腫瘍で
他の葉にまたがり発生することが少ないとされています。
この子も当初、複葉に発生していることから
ガンではないと考えられていましたが、造影検査の結果、
肝臓ガンであることと診断されました。
 飼い主様は、犬自身、15歳の高齢であることから
手術に否定的でしたが、
肝臓ガンの国内の報告では
腫瘍の発生部位は外側左葉 28%
内側左葉    15%
方形葉     10%
内側右葉    20%
外側右葉     24%
尾状葉尾状突起 14%
尾状葉乳頭突起  7%

 区域別では、左肝区域 39%
中央肝区域       27%
右肝区域        35%
術後生存期間の中央値は、外科的切除を行った症例で は 770 日間
切除不可だった症例では 116 日間
(飯田玄徳 著 - ‎2014 日大 博士論文より抜粋)

今回の肝臓ガンは、右側の2葉にまたがる腫瘍で
外科的には難しいとされている手術でした。
緩和療法などでも数ヶ月は生存ができる腫瘍ですが、
飼い主様の意向で、手術に踏み切りました。
 飼い主様の意向や要望の応えれるよう
より一層の努力を行いたいと思います。

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