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新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 48歳
獣医学博士

獣医麻酔外科学会 評議員
獣医腫瘍学会
獣医皮膚科学会
日本獣医師会
札幌小動物獣医師会

妻、子供、犬3頭、猫2頭、フェレット1匹
と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー
   自転車
   バイク
   川下り
   

 

 

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1歳のプードルの肉球にできた軟部組織肉腫の外科手術
 1歳の犬にも悪性の腫瘍が発生することがあります。
この子は、近くの病院で、足の裏の肉球にイボができ、
病理検査の結果、軟部組織肉腫(悪性)と診断されました。
腫瘍は、前足の真ん中の一番大きな肉球にできていました。

 P3221069_convert_20190405181038.jpg

 近くの病院では、肉球の切除範囲が決めれないこと、
断脚なども考慮に入れないといけないことから当院に紹介で
来られました。

 軟部組織肉腫とは皮膚に発生する悪性腫瘍です。
犬の皮膚できる悪性腫瘍の20.3%と報告されています。
(J Am Anim Hosp Assoc. 2016 Mar-Apr;52(2):77-89)
 軟部組織肉腫は中高齢の中型〜大型犬に多く発生します。

 この子は、まだ1歳でTプードルのミックス犬でした。
病理結果から、外科手術を第一治療に考えました。
問題は、マージンの設定です。
この子の腫瘍は、肉球にできており、それも
前足の一番大きな肉球です。
肉球は、脂肪組織でできており、歩行時には
無くてはならない組織です。
肉腫の手術では、可能な限り、再発しないマージンで
切除することを目指します。
 飼い主様と、切除領域に関して
御協議をし、肉球をすべて切除する場合、
一部切除する場合の、今後の生活の話をさせていただきました。

 話し合いの結果、これからの人生があるので、
再切除の可能性をご理解の上、一部切除としました。

 手術は、付属している中足骨、末節骨も含め、
同時に切除を行いました。

 P3221070_convert_20190405181137.jpg

肉球に関しては、一番大きなパッドを歩行に支障がない
半分を切除しました。

 P3221072_convert_20190405181224.jpg

 転移の可能性は少ないため、付属リンパ節の切除は
実施しませんでした。
 
 手術後は、当日に帰宅され、
自宅での経過観察としました。
傷が開く可能性もあるため、ケージレストとしました。

病理検査の結果は、肉球の一部で腫瘍は留まり、
完全切除でした。

 この子は、1歳であるのにも関わらず
悪性腫瘍が発生しました。
当初、診察をしていただいた病院で早めの
病理検査を実施したことが、功を奏した良い例でした。
 若いからガンはない、小さいから大丈夫といったことは
無いので、治りが遅い、心配な場合は、
早期に検査をお勧めします。


 
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猫の肥大型心筋症による動脈血栓症の内科療法
 猫の心臓病の多くが心筋症です。
症状がなく、心雑音を軽度で、偶然見つかることがほとんどです。
当院でも、手術前検診、定期検診、呼吸器疾患の検査で
見つかります。

 この子は、心筋症の治療を行い、血栓の予防もしていました。
急に、両方の後肢が動かず、痛みを伴い来院されました。
心エコーでは、左心房の拡大が認められました。

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診断は、心筋症から大動脈血栓塞栓症(ATE)
猫の当ては予後が悪く、生存、退院できる子は、
30~40%と報告されています。
退院後の生存期間は、117日(Smith 2006),184日(Atkins 1992)
と報告され、予後が悪いとされています。

ATEの治療法には、疼痛管理、心不全の管理、血栓形成の管理です。
この子は、すでに、心不全の管理、血栓の管理は行っていました。
呼吸の状態があるいこと、痛みがあることから
1、ICUでの入院
2、血管確保
3、痛みの管理(ブトルファノール、ブプレノルフィンの投与)
4、血栓溶解療法(組織プラスミノーゲンアクチベータ t-PA)
(低分子ヘパリン)

上記の流れになります。

この子は、開口呼吸、痛みを伴い、緊急を要する状況でしたので、
入院、点滴を行い、組織プラスミノーゲンアクチベータ(モンテプラーゼ:
商品名:クリアクター)の投与を開始しました。
同時に、鎮痛薬と、低分子ヘパリンの投与も行いました。
30分くらいで痛みがとれ、開口呼吸も治ってきました。
モンテプラーゼは、かなり高価で、40万単位で
5〜10万くらいします。

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こちらの、モンテプラーゼを1日1回 3日連続で投与しました。
同時に、低分子ヘパリンも併用しています。
低分子ヘパリンは高価ではありませんが、
1日2回接種の必要性があります。
モンテプラーゼと低分子ヘパリンの併用が
論文では、効果があると報告されています。(Saida 2013)

 当院では、内科療法の場合、
このような流れと治療になります。
人の血栓症のように、発症時間との関連、
血栓溶解剤の効果など、まだまだ分からない部分が多くある猫のATEです。
 治療薬が高価なこと、急な発症などから
飼い主様も精神的に困惑すると思いますが、
可能な限り、ご説明を行い治療させていただいております。

 この子は、入院3日目で無事退院となり、
今は、少しづつ足が動くようになっています。



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