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新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 48歳
獣医学博士

獣医麻酔外科学会 評議員
獣医腫瘍学会
獣医皮膚科学会

妻、子供、犬4頭、猫2頭、フェレット1匹
と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   

 

 

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交通事故で血流障害になった猫の断脚術
 下記には病気の画像と手術画像が含まれます。

 外に出る猫ちゃんの、いちばんの問題が交通事故です。
外で飼育される猫ちゃんが減ったので、交通事故は年々
減っているように思えますが、農家さんや高齢の
飼い主様は、外に出て行くとのとおっしゃる方もいらっしゃいます。

 この子は、遠くまで行かないのですが、
外出中に事故に遭われ、数日後に帰宅されたそうです。
帰宅したのは良かったのですが、後肢の麻痺、排便排尿障害もありました。
近くの病院で診察を受け、骨盤骨折などを疑い当院に紹介されて来院されました。

 診断は、骨盤骨折、血流障害、大腸の破裂でした。
骨盤骨折と大腸の手術はすぐに行い、排尿も排便も可能になりました。
 血流障害はなんとか回復することを願って、経過を見ましたが
残念ながら、膝から下への血流の回復は見られず、膝から下が壊死していました。

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 飼い主様から、手術を希望され
股関節からの断脚、膝から下の断脚の短所と長所のお話を
何度もさせていただき、ご家族から、膝下での断脚に決定されました。

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 手術は、1時間で終了し、夕方には帰宅となりました。

 手術後は、翌日から3本の足で歩くようになり
排便も排尿も可能になりました。
 飼い主様も、熱心で、お金のかかる手術を希望され
こちらも、可能限り、手術代金や、入院費を削減させていただきました。
今は、いつもの状態に戻ったと飼い主様も喜ばれています。

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4歳の多発性内分泌疾患を伴った、Mシュナウザーの粘液嚢腫の外科手術
 Mシュナウザーは、脂質代謝の異常の多い犬種として有名です。
7歳以上のシニアの子は、血液検査にて中性脂肪などの
脂質代謝の異常の子が多く来院されます。
 症状などがなく、飼い主様も元気だと思っています。
この子のように、若齢で肝臓の数値が高くなっている場合は要注意です。

この子は、多飲多尿などの症状とともに
ALP,GGTの胆管由来の生化学検査にも異常が認められました。
同時に、内分泌検査を行い、副腎機能亢進症(クッシング)、糖尿病にも罹患していました。
内科療法にて症状が改善し、元気に過ごしていましたが、
朝から、嘔吐して元気食欲がないと来院されました。
すぐに検査を行い、肝数値の上昇と、黄疸を認めました。
肝数値の上昇と黄疸の原因は、胆嚢粘液嚢腫が原因でした。

 胆嚢粘液嚢腫は、Mシュナウザー、シェルティー、Tプードル
などに多く認められる疾患です。
粘液嚢腫とは、粘液の分泌により内腔が拡張し、胆嚢壁が伸展した状態を示します。
ある報告では、クッシングの犬に、粘液嚢腫の発生頻度が約29倍高い。
しかし、クッシングのある犬の粘液嚢腫の手術には
血栓形成、最近観戦、治癒遅延などが発生しやすくなっている。

 飼い主様も、手術のことは理解していただき
すぐに手術を行いました。
 以前に胆嚢炎を起こしており、その際の炎症で胆嚢が横隔膜に癒着していました。
手術内容は、胆嚢切除、横隔膜との癒着、肝臓の政権を行います。

 手術は正中切開で行います。

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胆嚢と肝臓を剥離、横隔膜との癒着を剥がし、
癒着した部位の再縫合を行います。
総胆管と、十二指腸の通りを確認し、カテーテルを留置後
お腹を閉じました。
 
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 切除した胆嚢は、病理にて粘液嚢腫、
生検した肝臓は、胆管肝炎でした。
 手術後から、黄疸は改善し食欲も改善しました。
手術から3日後、退院となりました。
肝数値も良くなり、炎症も改善しました。
 手術から5日後にシャンプーを行い
10日後に抜糸を行いました。

 当初、飼い主様も内分泌疾患を持っていることから
心労もありましたが、手術の際も、立ち会っていただき
無事、終わった時には、どっと疲れが出たようでした。

 今は、元気に過ごしています。
Mシュナウザーが7歳くらいになれば、
元気でも、超音波検査を受けておくことをお勧めします。
肝臓は、沈黙の臓器なので注意が必要です。 

元気に、病院で吠えれるようになり
一安心です。
プードルの再骨折にチタンプレートを用いた整復術
 1歳未満のプードルは、すごく元気で、なぜか
高いところからジャンプする子が多くいます。
その際、前足の橈尺骨の骨折をします。
 この子は、年齢が2歳の元気な子で
落ちた後、キャンと鳴いて、足を着けなくなったと来院されました。

 レントゲンでは、橈尺骨の骨折でした。
骨折の程度からプレートを用いました。
術後は順調に改善し、スクリューを徐々に外し
骨折の治癒を確認し、プレートも除去しました。

 プレート除去後、同じ足を挙げて着けないと
飼い主さんが来院されました。

 レントゲンを撮ると、前回折れた場所とは
異なる場所が折れていました。

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プレート法は、骨折線が消失してから、徐々に
スクリューを取り除き、2〜3ヶ月後にプレートも取り除きます。
 
 プレートやスクリューの素材には、ステンレスと、チタンがあります。
素材により良し悪しがあります。
ステンレスは、安く、種類も豊富で、犬猫の骨折に一般的に用いられる素材です。
チタンは、高いですが、組織親和性があり、骨折が治癒した後、除去が必要ありません。

 今回は、プレートを除去することを避けるため、
チタン製のスクリューとプレートを使用しました。
 
 手術法は変わらず、骨折線のトリミング、ベンディング、海綿骨移植を行いました。
多血小板療法(PRP)は実施しませんでした。

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 プレートはTプレートで、前回、骨折し
手術で開けたスクリューホールを使用せず、
前回より長いプレートを装着しました。
 
 術後は、翌日に帰宅しました。
帰宅後は、可能な限り、安静にしていただきますが、
徐々に、いつもの生活に戻っていきます。

 チタンプレートを毎回、使用したいのですが、
材料がかなり高価で、手術費用も上昇することから
飼い主様と費用の面などのお話をして、手術法、材料なども
決定していければ良いと思います。

 今回のような、2歳以上の小型犬の骨折は、
チタンを使用した方が良いのかもしません。
飼い主様も、かなり落ち込んでいましたが、
再手術が必要ないこと、チタンの親和性などのお話から
安心されて、年を越されました。

 無事、終わってよかったです。
多発性と考えられたウェスティーの肝臓がんの外科手術
 犬の肝臓癌は、血液検査では見つかりにくい腫瘍です。

この子は、複数の肝臓癌で手術を行わないほうが良いと
言われていた症例です。
念のため、血液検査、レントゲン、超音波検査などを行いました。
さらに、ソナゾイド造影超音波検査も実施しました。
病理検査とソナゾイドの結果から、1つは肝臓癌、
もう一つは過形成と診断しました。
 
過形成は、今の所、悪いものではないので経過観察,
肝臓癌は根治が望めるため、外科的な治療を行うこととなりました。
肝臓の外側左葉の完全切除による根治術です。

 肝臓癌は、腫瘍の大きさも大事ですが、
発生部位が重要と言われています。
特に、右の葉にできた肝臓癌は切除が難しく
手術の難易度が上がると言われています。

 手術は、左側の肝臓を全て取り除き、同時に
過形成の生検も行いました。
 手術は、全身麻酔で行い、電気メス、超音波メス、半導体レーザー
ヘモクリップなどを使い、1時間半で終了しました。

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手術の3日後、無事退院となりました。

切除された肝臓は、マージンも取れており
肝臓癌でした。
さらに、同時に生検した腫瘤は、過形成でした。

 手術後は、翌日から水も飲め、徐々に元気になりました。
術後10日で抜糸を行い、その2日後にはシャンプーも
行えるくらい元気になりました。

 飼い主様は診断が出た当初、不安と、心配と絶望を感じ
ネットでの情報からさらに不安が募っていました。
多発性では、外科的治療も難しいことが多く、心配だったと思います。

 肝臓癌は超音波検査を正確に行えれば
見つけることは難しくなく、診断もソナゾイド造影超音波検査や
針生検で確定診断がつきます。
 手術に関しても事前にCTなどの画像があれば
さらに安全な手術が可能です。

 下記は博士論文から(犬の肝細胞癌の診断と治療に関する研究、飯田ら:日大)
左肝区域が 28 頭(39%)
中央肝区域が 19 頭(27%)
右肝区域が 25 頭(35%)
切除した肝葉は一葉のみとなった症例が 44 頭(62%)
二葉以上切除した症例が 22 頭(31%)
切 除不可だった症例が 5 頭(7%)であった。
術後生存期間の中央値は、外科的切除を行った症例では 770 日間 であったのに対し、
切除不可だった症例では 116 日間であった。また、術後に再発した症例は 7 頭(11%)

 上記の通り、肝臓癌は、手術により根治が可能で
術後、転移も少ないため、抗がん剤などの治療も必要ないことが多いため
事前に、しっかりとして検査を行い、万全の手術を行えば
一緒に楽しい時間を過ごすことが可能です。

 この子の飼い主様も、不安と恐怖で
辛かったと思います。
今は、一緒に正月を過ごせて安心されています。

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