犬ほど、多くないですが、年に数例、来院されます。
猫の心臓病の多くが、他の病気の検査の際に
心臓の異常が見つかります。
この子は、朝、急に歩けなくなり
後ろ足が立てなくなり来院されました。
診断は、心筋症による血栓塞栓症でした。
塞栓症の診断は、触診、視診、聴診などにより
確定することがほとんです。
検査では、レントゲン、超音波、CTなどを用い
確定診断が行われます。
肥大型心筋症の猫の 33%から 50% が動脈血栓塞栓症に
罹患していると報告されています。
動脈血栓塞栓症に関連する予後について
35%が生存したものの,予後は悪いという報告もあります。
治療法に関しては、
外科療法と、内科療法があります。
多くの場合、内科療法を行います。
入院、点滴と同時に
血栓溶解作用のある、低分子ヘパリン、
ウロキナーゼ、t-PAの投与を行います。
同時に、甲状腺機能のチェック、レントゲン、心電図、心臓の超音波検査を行います。
この子は、心筋の厚さが7mmとグレーゾーンでした。
一般検査では、心筋症と診断するには難しく、
左心房の拡張、血栓の有無により、心筋症と診断しました。

飼い主様は、もっと早くに気付いていればと
おっしゃいますが、心雑音も乏しく、レントゲンでも
大きな異常を認めず、血液検査にも異常を認めませんでした。
最近では、血栓症の特効薬はないものの、
効果を認めたいう論文が発表されています。
急性期の抗血栓薬として低分子ヘパリンのみを使用した個体群は
,低分子ヘパリンと tPA を併用した個体群に対して
有意な生存期間の延長が見られたことより
猫の動脈血栓塞栓症に対する低分子ヘパリ ンの単独使用は,
予後を改善させるうえで有効 であることが示唆された。
(動物の循環器 第 46 巻 2 号29‒35 (2013)より抜粋)
猫が急に歩けなくなった、大きな声で鳴いているなどの症状があれば
早めに来院をしてください。
可能であれば、低分子ヘパリン、抗血栓薬、甲状線の検査なども