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新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 48歳
獣医学博士

獣医麻酔外科学会 評議員
獣医腫瘍学会
獣医皮膚科学会

妻、子供、犬4頭、猫2頭、フェレット1匹
と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   

 

 

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猫の口唇に発症した肥満細胞腫の分子標的治療(イマチニブ)
 猫ちゃんの唇にできものができたと来院されました。
本人は、あまり気にしていないけど、大きくなって
どうしよう?と飼い主さまは悩んでいらっしゃいました。

 診察をさせていただくと、リンパ節の腫脹はなく
本人も気にしている感じはありませんでした。

 P7020592_convert_20180731160250.jpg

 飼い主さまに、精密検査を勧めると、心配なので
皮膚の検査をして欲しいということで、病理検査を行いました。
病理検査は、皮膚の一部を検査センターに送る生検を
行いました。
生検は、確実な病理検査で再検査の必要もありません。
ただ、少し痛いので、怖がりな子や、採取が難しい場所の時には
鎮静をかけて行うこともあります。

 検査はすぐに終了し、圧迫止血と
医療用の止血剤で出血を止めて終了です。
 
 病理検査は、約1週間で出ました。
結果は、「肥満細胞腫」でした。
飼い主さまに、肥満細胞腫の報告書、治療法、病気のことを
お話ししました。

 腎臓病や、糖尿病もあるので
飼い主さまは手術を望まれませんでした。
 治療法は、腫瘍の遺伝子の変異を認めたため
分子標的治療薬をお勧めしました。
 
 国内では、トセラニブという分子標的治療薬が
動物用として販売されています。
しかし、トセラニブは高価であることから
なかなか、投薬を始めるのは難しいのが現状です。

 飼い主さまには、海外では安くて効果のある
イマチニブがあることをお話ししました。
当院では、血圧の高い子にイマチニブを使用していることから
常時、在庫があります。
 1日1回で、1日100〜200円です。
トセラニブは、イマチニブの数倍〜数十倍の医療費がかかります。

飼い主さまから、同意を得られたので
早速、治療を開始しました。
治療後は、徐々に腫瘍が小さくなり
飼い主さまも、イマチニブの効果に納得されていました。
さらに、トラセニブより副作用が少なく、安心して
使用できます。
この子も、副作用はなく、飼い主さまも安心されていました。
治療の方は、投薬1か月でこのように
以前の半分くらいの大きさになりました。

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 飼主さまも小さくなったと喜ばれていました。

 肥満細胞腫は犬や猫の皮膚に発症します。
悪性度は、様々ですが、手術の際は大きく切除する必要性が
あることから、飼い主さまも心配される腫瘍です。
 この子のように、持病があり
手術はしたくないという方には、代替療法として有用です。

 手術を行いたくない場合、
麻酔が怖いという方は、この治療を考えても
良いのかもしれません。
 

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飼い主さまのお薬をそのまま飲んだチワワの内視鏡摘出術
 愛犬が食べてはいけないものを口にすることがよくあります。
夜に飼い主さまのお薬を飲み込んで、その後嘔吐を繰りかえして
心配で来院されました。
 本人は元気に見えますが、飼い主さまは心配で心配で
憔悴しきっていました。

 夜、飼い主さまの目を盗んで食べたらしく
その行動を飼い主さまも見ていたようです。
 お薬を飲んでから、朝まで何度も嘔吐していたようです。

 飼い主さまは、飲んだお薬を持参していただいていました。
お薬は睡眠導入剤で、犬には使用しないお薬でした。
 念のため、お薬の副作用を確認しました。
この薬はこの子にとって、大きな副作用がないことが
確認されました。

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飼い主さまも安心されましたが、嘔吐がかわいそうということでした。
嘔吐の原因は、薬の包装ごと飲んでいたので、
包装の角の部分が胃に接触し、刺激になり
嘔吐を繰り返していました。
 
 飼い主さまには、薬がウンチに出てくるまで経過を見るか、
嘔吐した際、一緒に吐き出すのを待つか、
催吐剤で嘔吐させるか、内視鏡で取り出すか相談しました。
 これ以上、嘔吐をさせることが可愛そうなので
内視鏡での摘出を選択されました。

 内視鏡での異物摘出術は、麻酔管理さえ行えれば
当日に帰宅でき、食道や胃の障害もありません。

 早速、内視鏡での摘出のため、血管を確保し点滴を流しました。
麻酔のため、挿管を行い、飼い主さま立会いのもと、行いました。
 お薬は、胃の中に入っていました。
すぐに、バスケットで摘出を行いました。

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 摘出後は、3時間くらい、点滴を行い
無事、夕方に帰宅となりました。
 自宅では、胃の粘膜保護剤などで経過を見ました。
摘出後は嘔吐もなく、元気になり飼い主さまも喜でいました。

 犬も猫も、食べないだろうと思うものを
いつの間にか口にしていることがあります。
特に若い犬や猫は何でも口に入れます。
 
 蓋の付いたゴミ箱を使ったり、ペットのいる部屋には
ゴミ箱を置かないなどの予防も必要なのかもしれません。
猫の肺に転移した乳腺癌の補助療法
 避妊をされていない猫の胸やお腹にイボが出来ると
乳腺腫瘍の可能性があります。

 猫の乳腺腫瘍は、避妊をされる方が多くなり
来院されることが減ってきている病気です。

 この子は、以前、他の病院で乳腺腫瘍を切除し
良性乳腺腫でした。
 その後、またイボができたが
忙しく、来院ができず、大きなり、自潰して来院されました。
 診察時は、腫瘍が大きくなり、
自ら舐めているようでした。

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腫瘍の状態から、外科的に切除を勧めました。
年齢が15歳と高齢なので、血液検査を実施しました。
腎不全を発症しており、手術前に
ICUで酸素化と、血圧と腎機能を正常に戻すため
点滴と昇圧剤の投与を行い、準備万端にして手術となりました。

 飼い主様は、年齢と、腎臓病などがあることから
手術を心配されていましたが、術前からの治療で安心されました。

 手術は1時間で終了し、覚醒もスムーズで
ICUで1泊となりました。
 
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 術後も経過は良く、日に日に元気になっています。
抜糸は、10日後に行うこととなりました。

 腫瘍の大きさ:8cm3または直径2cmより小型の腫瘍では比較的予後が良く(生存中央期間が3年以上)
          直径3cmあるいは27cm3以上の腫瘍では生存期間が短い(生存中央期間が6ヶ月)。
 リンパ節転移:リンパ節転移のあった猫は、診断から9ヶ月以内に亡くなる率が高い。

 猫のステージ分類
Ⅰ、腫瘍 <2cm
Ⅱ、腫瘍  2−3cm
Ⅲ、腫瘍 >3cm N1
Ⅳ、M1
Ⅴ、ー

ステージが高いほど、予後不良
(Kadosawa et al.1996)

猫の乳腺腫瘍は悪性の腫瘍が多く、
再発も多いことから、可能であれば、
両側、もしくは、片側乳腺摘出術を行います。
 今回も全摘出術を行う予定でしたが、
年齢、腎不全などから部分切除となりました。

 病理検査の結果は、悪性の乳ガンでした。
さらに、リンパ節の転移も認められました。
 猫の乳腺腫瘍は大きくなればなるほど、
ステージが上がり、生存率も低下します。

 猫の皮膚表面にできる腫瘍は悪性が多いため
可能なら早期に診断、治療をお勧めしています。

 術後、補助療法を行うか相談になりますが、
当院でも猫の乳腺癌の術後、補助療法には
いくつか選択肢があります。
 
 今までの治療法は、
ドキソルビシン、カルボプラチン、ミトキサントロン、
メトロミノミック、チロシンキナーゼ阻害薬など
当院でも、いろいろと行いました。

 現在、猫の乳ガンに、チロシンキナーゼ阻害薬を投薬し
CTでの肺転移が認めている子には効果があり、
1年以上、肺転移が抑制されています。
副作用もなく、頑張っています。

 過去の論文からは
リンパ節転移を行うと、予後が悪いと記載されています。
可能限り、猫に負担をかけず長らく生きていただける
方法があれば、取り入れていきたいと思います。


猫の耳血腫の治療法(内科療法)
 猫の耳が餃子のように大きくなった。
耳が腫れてきた、痒がっていると来院されることがあります。
以前は、耳ダニなどを持った猫がいたのでですが、
最近は、耳ダニを持った猫も減ってきています。

 この子は、耳が腫れて痒がると来院されました。
近くの病院で耳血腫と診断されていました。

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毎週、耳に針を刺して、耳の中に溜まった液体と抜いている
治療をしていたけど、痛がるので、他の治療をと来院されました。

 耳血腫とは、どういった疾患なのでしょうか?
耳血腫とは、片耳に自己免疫を伴った、漿液が耳介内に溜まる疾患です。

 以前は、外傷性と言われていましたが、
現在は、様々な要因が重なり発症すると言われています。

 治療法は
1、保存療法(内科療法):内服薬や、トリアムシノロンなどの注射により
                耳介の軟骨同士の癒着により治癒する。
2、外科的治療;皮膚を切開し、耳介部の内側同士を固着、癒着させる方法

 現在、当院では、両治療法の説明を行い、
飼い主様の考え、猫の状態、性格などを踏まえ、
治療法を選択しております。

 今回は、老猫、他の病院で外科的な治療を行っていたことから
内科療法になりました。
 来院された際は、耳の中の液体が貯留し
徐々に大きくなっていました。

治療後、4週間でここまで小さくなってきました。

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 内科療法は2〜8週間で治癒することがほとんどです。
今まで、内科療法にて治癒しなかった子はいませんが、
外科療法より時間がかかることなどをお伝えしております。

 猫の場合、耳血腫は犬ほど多くありませんが、
年に数回、来院されます。
 耳血腫と診断された場合、
内科療法、外科療法、どちらの治療法にも
長所短所がありますので、獣医師と相談の上
治療法をお決めください。

 この子は手術や、痛いことをしたくないという
飼い主さまの要望に添える治療ができたので、
喜ばれています。


犬の難治生角膜びらんの治療法
角膜潰瘍は犬の目の病気の中で一番多く来院される病気です。
その中で、再発を繰りかえし、治りが悪い角膜潰瘍を難治生角膜びらん
難治性上皮びらん、もしくは、ボクサー潰瘍と言われています。

 治療法は、角膜格子状切開、滅菌綿棒を用いたデヴライドメントがあります。

 この子は、右目が開かなくシバシバしていると
来院されました。

 角膜潰瘍のグレードⅡでしたので、
自己血清点眼、ヒアール点眼で治癒していたのですが、
再発を繰り返していました。
 再発を繰り返すため、麻酔下での
角膜格子状切開を行いました。

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 手術後は、10分で終了し、夕方には帰宅となりました。
1週間、エリカラをつkていただきます。
自宅での点眼は、1日3回行い、1週間ご、眼瞼縫合していた
糸を抜糸しました。

論文による過去の治癒成績
・角膜格子状切開:10〜70日(平均32、3日)
・デブライドメント:7〜75日(平均36.3日)
(北獣会誌52.2008より)

 両者に治療日数に大きな差が認められませんが、
再発率は、格子状切開を行った方が少ないと言われています。
ただ、格子状切開は、全身麻酔が必要です。
デブライドメントには、点眼麻酔のみで行えます。

 治りの悪い、角膜潰瘍には
難治性角膜びらんという疾患になっていることもあります。

 手術自体は、簡単な治療で行えます。
角膜潰瘍は、目が痛いので、見ていて
かわいそうに思える飼い主様は、眼瞼縫合も同時に行う
格子状切開の方が良いのかもしれません。

麻酔を行うか、麻酔を行わないか、
痛みを早く解除するのかなど、
治癒日数なども考慮し担当獣医師と相談してください。

 

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