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新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 48歳
獣医学博士

獣医麻酔外科学会 評議員
獣医腫瘍学会
獣医皮膚科学会

妻、子供、犬4頭、猫2頭、フェレット1匹
と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   

 

 

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フェレットの皮膚 基底細胞腫の外科手術
 フェレットも中高齢になると皮膚にイボが出来てきます。

 この子は、4歳になり、背中にイボが2箇所あり
心配で来院されました。

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 イボは2箇所あり、飼主様の意向で
抗生剤で経過を見ましたが、イボが小さくならないので
病理検査を行うこととなりました。
 病理検査は、その子によりますが
生検だと、鎮静もしくは、局所麻酔を行います。
 フェレットは、嫌がる子が多いので、
鎮静をかけさせていただき、検査を行うことが多いです。
 検査は、数分で終わります。
病理結果は1週間くらいで、診断が出ます。

 病理診断は、基底細胞腫でした。
基底細胞腫は犬で多く診断される良性の腫瘍です。
フェレットの場合も悪性はほとんどなく、
良性の腫瘍です。

 飼主様と相談し、手術を行うこととなりました。
手術は、半日入院で行われ、術後10日くらいで抜糸となります。

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こちらは、イタリアで2016年に発表された論文です。
腫瘍できた896頭の中の皮膚にできた腫瘍の分類です。
国内では基底細胞腫は多いと言われていましたが、
肥満細胞腫がだんとつに多く、基底細胞腫は発生が少ないようです。
アメリカの論文でも、基底細胞腫は少なく、肥満細胞腫が多いようです。

Table 1
tissue distribution and specific diagnosis of tumors in ferrets
Skin and subcutis
Mastocytic Mast cell tumor 68
Sebaceous Sebaceous epithelioma 22
Sebaceous adenoma 16
Apocrine Apocrine adenocarcinoma 10
Apocrine adenoma 8
Squamous Squamous cell carcinoma 9
Vascular Hemangioma 8
Angiosarcoma 1
Other Fibroma 3
Leiomyoma 3
Basal cell carcinoma 2
Trichoblastoma 2
Leiomyosarcoma 1
Rhabdomyosarcoma 1
Infundibular keratinizing acanthoma 1
Lipoma 1
引用文献
Neoplastic diseases in the domestic ferret
(Mustela putorius furo) in Italy: classification and tissue distribution of 856 cases (2000–2010)

 このように、フェレットの皮膚にできた腫瘍は良性が多いと言われているのは
国内だけか、国内の論文発表が少ないかは不明です。
 フェレットの皮膚にできた腫瘍は可能な限り、病理検査を行った方が良いでしょう。

 この子も、術前に、病理検査を行い、
良性という診断のもと、手術を行いました。

 フェレットの皮膚にできた腫瘍は念のため検査を行うことを
お勧めしますが、経過を見てからという選択肢もありますので
担当獣医師とご相談の上、治療法をお決めください。
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健康診断で発見されたMダックスの血管肉腫の外科手術
 
 下記には、手術画像が含まれております。

 中高齢の犬と猫は毎年に1回、行っている子が多くいらっしゃいます。
この子も、毎年、春と冬に健康診断をされていました。
今回も、元気だけど歳をとってきたので、血液検査、レントゲン
尿検査、検便、超音波検査を行いました。

 超音波検査以外は、後日、結果をお知らせしますが
超音波検査は飼い主様の立会いのもと行っています。

 心臓の検査が終わり、お腹の検査を行いました。
お腹は、肝臓、胆嚢、胃、十二指腸、小腸、脾臓、腎臓、副腎、など
順を追って診察します。
 心臓の弁膜症が見つかり、脾臓のエコーを見た際、
明らかに腫瘍と思われる画像を確認しました。
 脾臓は、エコー像で血腫、腫瘍の鑑別が可能です。
この子は画像上、腫瘍性で、悪性を疑う所見でした。

 脾臓の腫瘍は、事前に針生検で病理検査を行うか、
行わないかは、各獣医師によって、意見が異なります。
 最近の傾向は、針生検を行うことにより
腫瘍の被膜を検査の針やトゥルーカットで壊し
腫瘍細胞を腹腔内に播種させる危険性が高いことから
実施しない病院が多くなっています。
 どうしても、行いたい場合は、CTなどを用いるか
造影超音波検査を行う場合もあります。

 海外の論文では、脾臓の腫瘍は50%が悪性腫瘍で、その中の50%が
血管肉腫と言われていました。
しかし、偶発的に見つかった脾臓の腫瘍は
良性腫瘍が70%で、30%が悪性腫瘍となっています。
さらに、血管肉腫は全体の20%以下であると言われています。
2016,2017年の報告では、小型犬と大型犬の発生率に顕著な差は認められませんでした。
(Shwewood et al.J Am Anim Hosp Assoc.52 220-226.2016
Corbin et al.J Am Vet Med 1148-1154. 2017)

健康診断にて脾臓に腫瘍を認め、
すぐに手術を行うこととなりました。
 脾臓の手術の前には、生化学検査、凝固系の検査、
心臓の超音波検査、レントゲン検査が必要です。
 検査の結果、手術を問題なく行えることを確認し
手術となりました。

 手術は約1時間で終了します。
当院では、半導体レーザー、超音波メスを
利用するため、出血をさせず行えます。
 手術時間が短いため、術後もすぐに覚醒し
2日後に、退院となりました。

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 脾臓の腫瘍は、一部、大網に癒着していました。
大きさは、やや大きいくらいで、被膜に包まれたまま
切除が可能で、播種もなく終わりましました。

P3110424_convert_20180324175636.jpg

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 手術後は、食欲もあり、元気にしていました。
血管肉腫の治療法は、外科切除後に内科療法を行うのが理想です。

 この子は、ステージ1のため、
抗がん剤を併用しています。

 脾臓の血管肉腫の内科療法には
いくつかの方法があり、飼主さまの
要望に添える治療法を一緒に考えています。

 脾臓の腫瘍は、健康診断などの際、
超音波検査で見つかる場合、
血液検査で、やや貧血になっている場合に見つかります。

 この子のように、ステージ1で見つかることは
年に数回、あります。
 脾臓の検査は、簡便で
かつ痛みをともなわない検査です。

 お時間があれば、
担当獣医師に相談してみてください。




腎臓病の尿タンパク・クレアチニン比(重症度評価)
 犬と猫の腎臓病は多く、
特に7歳以上の子に多く発症しています。
猫に関しては、寿命が延びていますが、
死亡原因の1位、2位の疾患と言われています。

 腎不全は、早期発見早期治療と言われています。
早期発見には、血液検査、尿検査、超音波検査が有用です。

 その中でも、尿検査が重要です。
尿検査では、特に尿タンパクの出現を精査します。
 今までは、尿タンパクのみ計測していましたが、
定量的にタンパク尿を評価する方法として、
尿タンパク:クレアチニン比(UPC)を測定します。

 UPCは、IRISのガイドラインでは最も、正確にタンパク尿を
測定できる方法としています。
 UPCの測定は、現在の獣医療で正確に
タンパク尿を測定できる方法ですが、今まで
検査センターなどの外注検査を行っていました。
 最近、動物用の検査機器が発売され、
簡易に院内検査が可能になりました。

 当院では、通常の尿検査を行い、
尿タンパクが2+以上の個体には
再検査とともに、こちらの機器で
UPCを測定しています。
 
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 猫の慢性腎不全の症例では
UPCの上昇が腎不全の悪化や予後と
関連しているため、必ず通常検査でも行う必要があります。

 尿タンパク:クレアチニン比の評価基準
http://www.idexx.co.jp/pdf/ja_jp/smallanimal/reference-laboratories/JP-SAH-RL-SDMA-IRIS-cat.pdf

 犬 猫 備考
<0.2     <0.2       蛋白尿なし
0.2-0.5 0.2-0.4     ボーダーライン
>0.5 >0.4        蛋白尿

このように、今までは血液検査を中心に腎不全の治療を進めてきましたが
腎不全の予後には、尿タンパク、特にUPCの方が重要であることが
理解していただければ幸いです。

 唯一の問題が、
尿を採取できないと、検査ができないところです。

 腎不全が心配、腎不全を患っている子には
初めからUPCの検査をお勧めします。

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