猫の子宮疾患は年々、少なくなっています。
このことは、不妊手術を行っている猫が増えていることと
関連があると思います。
この子は、急に元気がなく、食欲もないと
飼主さまが連れてこられました。
血液検査では、腎不全が認められました、
レントゲンでは、腹部に腫瘤状の高デンシティー物を
認めたため、超音波検査を同時に行いました。
結果、直径2、4cm大の低エコ−性の子宮を確認しました。
炎症性タンパクも低いことから、子宮粘液症と診断し
食欲が落ちた原因である、腸炎の治療を開始し、
一般状態が改善したら、卵巣、子宮の切除術をお勧めしました。
1週間後、猫ちゃんは元気になったと飼主さんと
猫ちゃんが来院され、子宮の手術のお話をさせていただきました。
飼主さまも、手術に納得され
手術の日程を決めて帰宅されました。
手術は、定方通り行われ、
翌日の朝に帰宅となりました。
子宮はこのような、大きな塊となっており
中には透明の液体が溜まっていました。

病理検査の結果は、子宮内膜増殖症でした。
子宮内膜が異常に分厚く増殖しいろいろな症状を引き起こす場合があり、
このような状態を子宮内膜増殖症とよんでいます。
猫の子宮内膜増殖症は多くが5歳以上で高齢なるほど
発症率は増加していました。
49%は無症状で、避妊手術などの際に
偶発的に診断されています。
臨床症状を認めた猫の71%は子宮蓄膿症などを併発していました。
Clinical and pathologic features of endometrial hyperplasia, pyometra, and endometritis in cats:
79 cases (1980-1985).
J Am Vet Med Assoc. 1991
猫の子宮疾患に関しては、
海外の論文でも、多く発表されていません。
人と異なり、発見時に悪性腫瘍と併発している場合が
少ないこと、また、治療法が卵巣子宮摘出術を行うことで
完治するため、報告が少ないと考えられます。