新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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猫の停留精巣(陰睾)の外科手術
 犬も猫も成長と共に精巣が陰嚢の中に
落ちてきます。

 精巣は胎児のときに、腎臓の横に位置し
出産後1ヶ月くらいで膀胱の近くまで落ちてきます。
さらに、1ヶ月くらいで陰嚢の中に落ちてきて
飼主さんが見る、金玉の状態におさまります。

 ペットの中には、この一連の流れが
妨げられ、精巣が陰嚢の中に落ちて来ない子がいます。
 
 診断名は『停留精巣』です。
人でも新生児の病気としてしられています。

 猫の場合は、犬に比べ発生率は少なく
0.8〜1.0%と言われています。

この子は、術前検査で片側の精巣が陰嚢内に無く
超音波検査で皮下に停留していました。
 精巣の停留場所は、皮下、腹腔内のどちらかで
多くの場合、皮下に停留しています。

P1060138_convert_20160820171955.jpg


 停留精巣の手術の必要性は議論されていますが、
人の場合、陰嚢内に精巣が無いと精巣の温度が上昇する事により
生殖機能が低下すると言われています。

 この子は、元々、去勢手術希望で来院されたため
手術を行う事となりました。
 手術は、陰嚢の切除ではなく、
おまたの付け根を切開し、皮下の停留精巣、陰嚢内の
精巣を同じ穴から摘出、切除します。

P1060139_convert_20160820172018.jpg

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 手術は10〜20分で終了しました。
皮膚の縫合は2針で夕方には退院となります。

猫の停留精巣は滅多にいませんが、
たまに、遭遇する疾患です。
 去勢の前には
必ず、精巣の確認をするようにしてください。
 手術自体は簡単ですが、
精巣が皮下にあるのか、お腹の中にあるのか
事前に検査を行い、手術法の確認もしてください。

 
引用文献:
Unilateral cryptorchidism induces morphological changes of testes
and hyperplasia of Sertoli cells in a dog.
Lab Anim Res. 2014 Dec; 30(4): 185–189.


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脾臓の腫瘍の外科手術(脂肪腫、血管肉腫、過形成)
 犬の腫瘍の中で、脾臓に発症する腫瘍は
重度で発見されるか、早期に発見されるか、
どちらかになる事が多い腫瘍と言われています。

 脾臓の腫瘍は、脾臓が破裂したり貧血を起こして
来院する事が多く、緊急手術になる事が少なくありません。
また、超音波検査の際に、見つかる事も多い腫瘍です。

 脾臓の腫瘍は悪性、良性の比率は
悪性43.6%、良性56.4%。
 腫瘍の分類は
1位 血管肉腫(23.5%)
2位 過形成(22.6%)
3位 血腫(19.1%)

血管肉腫の犬種の内訳は
1位 Gレトリバー
2位 Mダックスフンド
3位 Rレトリバー     (vet oncology N0.112016)

 当院では、通常の診察で超音波検査を多用しているためか
脾臓の腫瘍が多く見つかります。

 今回、脾臓の腫瘍をまとめてみました。
重傷例である、血管肉腫ですが、
手術は通常通り、正中切開を行い、可能限り
腫瘍の皮膜を破らず傷つけず体外に出して切除します。
 重傷例の多くが、貧血を伴い、凝固系異常も出ている事から
術前検査で輸血を行った後で行います。

 血管肉腫のほとんどが
一部、破裂して出血して見つかる事が多い腫瘍です。
 過形成は、このように、腫瘍が破裂せず
現状の形を残した状態で摘出されます。

 P1060102_convert_20160813104503.jpg

 脂肪腫は、このように脾臓に白色の脂肪が
腫瘍化し脾臓にへばりついています。

 P1060103_convert_20160813104552.jpg

 血管肉腫が悪性度の高い腫瘍で
血腹になっている症例の多くが血管肉腫です。

 脾臓の腫瘍の早期発見は
超音波検査がほとんどで、血液検査、レントゲンでは
早期発見は難しいと考えられます。
超音波検査で早期に発見できたとしても、
他の腫瘍のように術前検査で腫瘍の診断ができ無い事も
飼主さまにお話いたします。

 脾臓の切除は、開腹手術の中では
簡単な手術ですが、事前の検査が重要です。
 特に、貧血、凝固系の検査は必須です。
多くの場合、輸血も必要になるため、
輸血の準備も行います。

 脾臓を切除する事で
術後、合併症や重篤な疾患になる事は無いと
言われています。
 
 飼主さまが、自宅で脾臓の腫瘍の早期発見をと
考えている方は、ペットを右下に横に倒し、
肋骨よりお尻側を撫でるようにお腹を探索してください。
 ある程度、大きくなった腫瘍は
皮膚の上からでも触診が可能です。

 脾臓の腫瘍は発見と術前検査が重要です。
手術自体は大きな問題ではないので、
早期に発見さえすれば、担当獣医師とご相談の上
治療法をご相談してください。

 
ハムスターの乳腺腫瘍の外科手術
 1歳くらいからハムスターの皮膚にイボができてきます。
皮膚の表面にできる腫瘍もあれば、皮膚の下にできる腫瘍もあります。

 今回、来院されたハムスターは皮膚の下にイボがあり
大きくなったと来院されました。

 お話を聞くと、近くの病院に行ったところ
腫瘍であると診断されたが、手術は難しいと
言われ、本院に来院されました。

 腫瘍は左脇にあり、筋肉を巻き込んで
大きくなっていました。
飼主さまに、抗生剤の投与をお願いし、
1週間、様子を見ましたが、徐々に大きくなったという事で
手術を行う事となりました。

 手術は、手術中と麻酔が覚めるまで
院内でお待ちいただきました。

急に大きくなった要因は、腫瘍に栄養を与える
血管が豊富で、手術は丁寧な止血と、剥離を行いました。
結果、手術は、約30分で終了しました。

 P1060080_convert_20160801163819.jpg

 手術後は、すぐに覚醒し
10分後には飼主さんにお返しできるまで
回復していました。

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 手術した腫瘍は、このように
かなり大きく、時間もかかりましたが
無事に切除が可能でした。

 当院では、可能な限り
手術が終わり次第、お返しをしています。
 この子も、開腹していないので
すぐに帰宅となりました。

 腫瘍は、良性の乳腺腫瘍でした。
ハムスターの乳腺腫瘍は外皮系の腫瘍では多く
良性の腫瘍が多いので、大きくなる前に切除を勧めています。
犬、猫、ウサギなどと異なり術前の病理検査が難しいため
手術も難しくなりますが、早期であれば問題なく
切除が可能になります。

 食欲、元気があるうちに
外科的な治療をおすすめします。
下記に、ジャンガリアンハムスターの乳腺腫瘍の
論文を掲載しておきますので、参考にしてください。

ハムスターに自然発生した乳腺腫瘍12症例を形態学的に検索したところ、単純腺腫、管状乳頭状腺癌、複合癌の3つのサブタイプが明らかにされ、全症例において、大半の腺房構造内に顕著なアポクリン分泌が認められた。さらに免疫組織化学的に12症例中、10症例の腫瘍性乳腺上皮はARに陽性を示し、全症例はPRに陰性、ERαは5症例で陽性を示し、性ホルモンの関連についても明らかにした。本動物種の自然発生乳腺腫瘍を形態学的、免疫組織化学的特徴を述べた初めての報告はである。( Kondo.H.veterinary pathology.2008)
飼主さんが気付かない事が多い消化管内異物の外科手術
 下記には手術の画像が含まれます。

 嘔吐や、急な食欲不振を主訴に来院されると
異物を疑います。
 多くの飼主さまは、
変なものを食べる事はありませんか?の質問に
無いと思います・・・と、お答えになります。

 この子も、元気無く、食欲がないと来院されました。
嘔吐はなく、元気が無い事を飼主さまは心配されていました。
 飼主様も心配され、検査を希望されたので
レントゲン、血液検査と超音波検査を行いました。
結果、飼主さま立ち会いのもと
超音波画像にて、異物と思しき画像が確認できたので
消化管内の異物と診断しました。
 飼主さまに、異物の存在をお伝えしましたが
「異物は無いと思う・・・」念のため
再度、検査を行いましたが、超音波検査では
異物が確認できました。
 残念な事に、レントゲンでは異物は写りません。
レントゲンで確認できる異物は、金属系などの
密度の高い、固いものがほとんどで、ビニール、プラスティック
紙、綿、ヒモなどの身近にある物はほとんど、写りません。

 飼主さまの希望もあり、
1日入院させ、経過を見る事になりました。
 翌日に、再度、検査を行いました。
結果は、同じ場所に異物を認めたため
飼主さまに、同意を得て開腹手術となりました。

 開腹手術を行うと、すぐに異物の入っているような
腸管を見つけました。

P1060071_convert_20160801164109.jpg

 このように、腸管の一部が変形しています。
多くの消化管内異物と異なり、消化管の炎症やうっ血は
認められませんでした。
しかし、腸管を触診すると明らかに
異物を確認することができました。

 すぐに、異物を確認するため腸管を切開しました。
腸管から出てきた異物は、シリコンで出来た子供用の
食器でした。

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 飼主さまは、犬も年をとったので
犬が食べていると思わなかったようです。 

 異色や異物は若い子に、多いとされていますが、
10歳以上でも、間違って食べてしまう事があるので
いくつになっても、ペットの口の届く場所に
物を置く事は気をつけて下さい。

 この子は、術後、2日で退院し
退院直後から元気に過ごしています。

異物を口にして腸閉塞になるのは
若い犬だけではないので、以前、異物を口にした経験が
ある犬猫を飼っている飼主さまは、お気をつけください。

 原因が、分からない嘔吐が続く場合は
超音波検査が有用なので、検査の一つに組み込んでみては
いかがでしょうか?
慢性嘔吐に内視鏡で診断した胃炎
 猫の嘔吐は、昔から多く来院されます。
一昔前までは、猫が嘔吐すると『毛玉』、
『毛球症』と診断されていました。

 現在は、猫のキャットフードに含まれる
ワセリンなどにより、毛玉が詰まるなどで
来院される猫はほとんど、いなくなりました。
 
 それでも猫の嘔吐は毎日のように来院されます。
高齢の猫であれば、腎不全が原因で嘔吐する事が知られています。

 今回の症例は、慢性の嘔吐で
近くの病院で血液検査、レントゲンを行っていましたが
原因は分からず、内科治療を行っていました。

 飼主さんは、心配になり来院されました。
飼主さんに、胃腸の腫瘍や、他の疾患を疑い
超音波検査をおすすめしました。
 超音波検査の結果、多きな疾患はなく、
胃の病気を疑い、内視鏡検査を実施する事となりました。
 人と異なり、内視鏡検査は犬猫ともに、全身麻酔下で行う検査です。
内視鏡検査では、胃と小腸の肉眼的な観察が可能になります。

 内視鏡検査の推奨症例

・食事療法・抗生剤でコントロールできない。
・エコー検査で内視鏡の届く部位に病変
・通常の検査だけでは診断できない
・低タンパク血症だが多臓器に異常がない

 実際に使用している症例
1、異物の誤飲(胃内)・・・手術より侵襲性が少ない
2、食欲不振、経口投与が難しい・・・胃チューブなど
3、消化管腫瘍の切除・・・ポリペクトミー
4、食道狭窄・・・バルーン拡張術
 
 今回の猫も今までの検査法では、診断が付かず
飼主さまも困っていました。
今回、内視鏡の検査にて、胃腸炎とヘリコバクターと診断しました。

 猫にもヘリコバクターが人と同様に存在し
胃炎の原因にもなります。
 飼主さまも、ヘリコバクターの治療経験があり
抗生剤の投与を行い、完治されました。

 猫や犬の慢性嘔吐は、珍しくなく
ほとんどの場合が、血液検査、レントゲン、超音波検査で
診断が付きますが、中には、内視鏡検査が必要であり
内視鏡検査でしか、分からない病気もあります。

 慢性疾患の場合、飼主さまも
診断が付いていないと不安になると思います。
内視鏡検査は、麻酔が必要になりますが、
診断がすぐにつく事、日帰りの検査であることから
今後、犬猫の検査として有用と考えられています。

 詳しいことは、スタッフまでご質問ください。

 

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