新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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乳腺に出来た骨外性骨肉腫の外科手術
 骨肉腫は、悪性度の高い腫瘍で、
治療法としては、外科手術によるところが多い腫瘍です。

 この子は、飼主さまが気付いたときには
かなり大きな腫瘍になっていた乳腺に発生した
骨外性骨肉腫でした。

P1050983_convert_20160617165945.jpg


 骨外性骨肉腫は極めて稀な腫瘍です。
日本での報告は少なく、海外でも下記に示すように
報告例は多くありません。
 下記に、海外の論文を掲載しておきます。

Vet Comp Oncol. 2015 Feb 3. doi: 10.1111/vco.12141. [Epub ahead of print]
Outcome following treatment of soft tissue and visceral extraskeletal osteosarcoma in 33 dogs: 2008-2013.

Extraskeletal osteosarcomas in dogs: 14 cases.
J Am Anim Hosp Assoc. 1998 Jan-Feb;34(1):26-30.
Fourteen dogs (11 females, three males) with extraskeletal osteosarcomas (EsOSAs) were identified. The median age was 11.5 years. The median body weight was 18 kg. The primary sites of the EsOSAs were the spleen (n=6), mammary gland (n=3), lung (n=2), and one each in the skin, axilla, and mesenteric root. The overall median survival time was 74 days. The only factor which was found to be prognostic for survival was the use of chemotherapy (p of 0.02). Cases which did not have chemotherapy were 3.62 times as likely to die a tumor-related death than cases which had chemotherapy.

 このように、骨外性骨肉腫は、悪性度が骨肉腫と同様に高く
転移する前に外科手術が可能であれば、予後は良いのですが
早期でなければ転移率は高く、平均生存期間も短くなっています。

 この子は、いつから、腫瘍があったのか
飼主さまも不明という事でした。
術前検査では、肺への転移像は認めませんでした。

 
 手術は常法通り、行われました。

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1時間で手術が終了し、手術後は順調に覚醒し、
夕方に、退院されました。

 手術後は、ドレーンを付け、
包帯で、術部を保護しています。

 病理検査の結果は
乳腺に発生した骨外性骨肉腫で、マージンも十分で
脈管転移も無いと診断されました。
 手術後、3日後にドレーンを外し、
10日後に抜糸となりました。

 抜糸と同時に、念のため抗がん剤の投与を行い
遠隔転移を抑制しています。

 骨外性骨肉腫は、極めて稀な腫瘍です。
日本国内でも発表は少なく、海外の論文で掲載されています。
海外の論文では、14症例のうち、6例が脾臓に発生し、今回の乳腺は
3例と2番目に多い部位になります。

骨外性骨肉腫は、稀な腫瘍ですが
飼主さまが気付いたときには、ほとんどの場合は
転移もしくは、播種しています。
 
 外科適応が全てではありません。
痛みがあるようであれば、疼痛管理や
呼吸不全であれば、呼吸を楽にする方法を
相談させていただきます。

 熱感のある腫瘍の場合は、
獣医師にご相談ください。
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雌犬の肛門周囲腺癌の外科手術
 このブログには、手術の画像が掲載されております。

 肛門の周囲に腫瘤が出来る事は多く
排便時に飼主さまが気付かれる事がほとんどです。

 この子は、メスの雑種犬で以前から肛門の横にイボがあり
腫瘍と診断していましたが、飼主さんの希望で経過を診ていました。

 肛門にできる腫瘍の多くは未去勢の雄犬に多く
雌犬の発生は少ないとされています。
雌犬の肛門に発生する腫瘍の多くが悪性の腫瘍である
肛門周囲腺癌と言われています。

 この子は、腎不全、膵炎を患っており
飼主さまは腫瘍の手術を希望されていませんでした。
しかし、腫瘍から出血し、日々の生活が困難になったため、
手術を希望されました。

 このように、肛門の脇に腫瘍があり、
自潰し、出血していました。

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 手術は、全身麻酔下で行い
肛門の周囲にある腫瘍を切除しました。
 腎臓病、膵炎を併発していたため
術前から点滴と抗生剤、シベレスタットなどを投与しました。

 手術は、約1時間で終了し
手術が終わるまで待っていただいていた飼主さまも
安心され、麻酔からさめた直後に面会していただきました。

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 切除は、完全に行え、マージンも切除出来ていました。
また、肛門周囲の筋肉も最低限の切除が可能で、排便障害もありませんでした。

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 肛門周囲の腫瘍の多くが
未去勢の犬に多く、メスでの発生は稀ですが、
最近では、雌犬の肛門周囲腺腫、特に
肛門周囲腺癌の発生が増えています。

 トリミング犬種の場合、定期的に
肛門周囲のケアをトリマーさんが行うため、
早期に発見できますが、トリミングに出す事の少ない犬種では
発見が遅れることが多いようです。

 また、雌犬の肛門周囲腺癌は転移率も高く、
当院でも、手術の際には、既に肺やリンパ節に転移している事が
ほとんどです。
 雌犬の肛門周囲線の拡大には、ホルモンの関与が示唆されており
クッシング症候群のような、内分泌疾患の検査も同時に行うべきかも
しれません。

 現在、当院では、
肛門周囲腺癌に対する外科療法以外にも
緩和療法で、長期の生存が可能になっております。
 最近では、手術が不可能なレベルになった
リンパ節転移の子も、1年間内服のみで生存が可能でした。
 手術をしたくない、もしくは、出来ないレベルの子も
この治療法を選択してみては、いかがでしょうか?

 

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