新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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犬の皮膚肥満細胞腫の外科手術法と新しい分子標的治療法
 犬の皮膚にイボが出来たと来院されることが多いですが、
トリミング中にイボを見つけていただくことも多く、腫瘍の早期発見に
役立っています。

 この子は、以前からイボがあり
診察時に皮膚の腫瘍と判断し病理検査を行いました。

 病理検査の結果、肥満細胞腫と診断されました。
肥満細胞腫は免疫を担う、細胞で、その細胞が腫瘍化したものが
肥満細胞腫です。
犬における皮膚の悪性腫瘍の中の20%が肥満細胞腫です。
 肥満細胞腫は悪性腫瘍の一部で、悪性度はPatnaikの組織分類を使用しています。
Patnaikの組織分類は、飼主さまにとっても、腫瘍外科医にとっても
判断が難しい分類で、最近、新しい分類が発表されました。

皮膚の肥満細胞腫は、見た目は外傷に見えたり
かさぶたを作っていることも多く、飼主さまが
腫瘍か、皮膚炎か判断することは難しいと思います。
 この子も、同居犬とじゃれて、傷ができたと
飼主さまが、連れて来られました。
 太ももに、小さなイボがあります。

 P1050835_convert_20160329170422.jpg

 この子も、頬に皮膚病ができて、
治っては再発を繰り返すと来院されました。

 P1050828_convert_20160329171010.jpg

 このように、見た目は腫瘍と思えないものも
悪性の腫瘍であることが少なくありません。
時には、すでに転移をしていることもあります。

 当院では、可能な限り、腫瘍の術前検査を行い
病理診断で腫瘍を確定させてから治療を行っています。

 肥満細胞腫は、外科手術のみではなく、
化学療法の一種である、分子標的薬を使用した
抗腫瘍療法があります。
 海外では、数年前から行われており、
3種類の分子標的治療薬が販売されています。
 日本では、トセラニブというお薬が販売されています。
この薬は、経口投与が可能で、自宅での治療が可能なこと
副作用が少なく、犬にとっても、飼主さまにとっても
メリットの多いお薬です。

 最近では、オーストラリアで使用されている
分子標的治療薬や、犬のアトピーにも効果のある
アポキル錠も発売が決まったことなどから、多くの
患者さまに、治療の幅が増えると思われます。

 腫瘍の治療法に選択肢が増えたことは良いのですが、
今も昔も、早期発見、早期治療は変わらずです。

 1週間経っても治癒しない皮膚病やイボは
獣医師に相談してみても良いかも知れません。


 
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犬と猫の皮膚の病理検査の手法
 皮膚に出来たイボを、ニキビとおもい
来院される飼主さまが多くいます。
 犬にニキビは無く、似たような皮膚炎で
膿皮症(表在細菌性毛包炎)という疾患があります。

 この子も、飼主さまがニキビが大きくなったと来院されました。
診察させていただくと、ニキビではなく、腫瘍でした。

 当院では、腫瘍の場合、飼主さまの了承を得て
病理検査を行います。
病理検査には、細い針でイボを刺して検査を行う細胞診。
大きな針で刺し、細胞を採取するツルーカット。
イボの一部を切り取る生検があります。

 細胞診は、診断率が60%と低く確定診断には向かないことがあります。
ただ、麻酔や鎮静が必要ないので、簡易に検査ができます。
 当院では、飼主さまと協議の上、細胞診、ツルーカット、生検から
選択していただきます。

  今回は、飼主さまが何度も痛い思いをさせたくないので
一回で検査が終わるようにしてほしいということから
生検を選択されました。
 生検は、鎮静をかける場合と、無鎮静で行う場合があります。

 当院では、腫瘍の場所と疑われる病気により
可能な限り、飼主さまの前で行うようにしています。
 
 ・皮膚表面の腫瘍:針生検、生検
 ・皮膚の下の腫瘍:針生検、ツルーカット
 ・内蔵などの腫瘍:針生検、ツルーカット
 
 上記以外にも、脾臓の腫瘍などは、播種の危険性と、出血の危険性が
伴うため、術前検査を行わない場合もあります。
いずれにしても、可能な限り、飼主さまの前で、検査を行うようにしています。

 ツルーカットバイオプシーとは
このような長い針で、少し太い針になっています。

 P1050930_convert_20160329165159.jpg

 腫瘍の術前検査は、以前より重要になっています。
特に、術前に腫瘍の名前が分かっていると
手術をせずに済む場合や、手術の前に腫瘍を小さくしてから
手術を行うことも可能です。

 可能な限り、術前に
検査をおすすめしますが、細胞の採取法も
獣医師と相談の上、行うことが重要です。
重度の腸重積の外科手術(小腸の半分を切除)
 嘔吐を主訴に来院する方は毎日
診察で遭遇いたします。

 この子も嘔吐を主訴に来院されました。
初診時から元気もなく、嘔吐の回数も多いため
血液検査と超音波検査を行いました。

 血液検査では、大きな問題はありませんでした。
しかし、超音波検査では腸重積を疑う画像を認めました。
 レントゲンを追加検査し、重責状態を確認しました。

 腸重積とは、腸が重なりあい
蠕動運動ができない状態になっています。
 人の場合、子供さんに起こりやすく、
激しい腹痛が症状として認められ、早期の手術が必要となります。

 飼主さまに、手術が必要なこと、それも、緊急で行う必要が
あることをお伝えし、緊急手術となりました。

 手術は血圧と鎮痛に重点を置き
開腹を行いました。
 開腹時は腹膜炎を併発し、どす黒く、重責状態になった
小腸が認められました。
 重責状態の小腸です。

 腸重積 術前

 このように、小腸の一部の色が変色し
その周囲もうっ血しています。

 すぐに、変色、変性した小腸を切除し
吻合術を行いました。
 
 腸重積 術後 アップ

 重責した小腸のアップです。
腸重積 アップ

 今回の手術で小腸の半分を切除しました。
小腸の半分を切除しましたが、日常の生活には問題ありません。
 重責部位に腫瘍があることがあるため、病理検査に提出しました。
病理の結果は、腫瘍性ではなかったので、2日後に退院となりました。

 腸重積の原因は不明ですが
緊急な治療が必要なことは変わりません。
 お腹を痛がり、嘔吐を繰り返している場合は
早めの来院と超音波検査をお勧めしています。

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