13歳のマルチーズが元気が無く、来院されました。
お腹のレントゲンで脾臓の部位に大きな腫瘍(直径7cm大)の
ものが確認され、超音波検査にて腫瘍と診断されました。
飼主さんの立会いの下、腫瘤に針を刺し、病理検査で悪性の腫瘍である
『血管肉腫』と診断されました。
腫瘍の状況から、手術適応と考え、飼主さんに、手術をお勧めしました。
飼主さんは、ご家族と御相談され、手術は、『したくない」との決断でした。
肉腫の治療には、外科療法、放射線療法、化学療法、免疫療法などが
あります。
現在、化学療法には分子標的療法薬である、『パラディア:トセラニブ』が
日本で使用されています。
この子はいろいろ、話し合い、光線力学療法を選択されました。
こちらの治療は、血管の中に光に反応する液体を入れ、
その後、飼主さん立会いの下、レーザーを腫瘍に照射します。
照射時間は約10~20分 週に1~2回、合計4~8回照射します。
本院では、鳥取大学の外科学教室と連携し、
ICG修飾リポソームを用いた温熱療法を行っています。
この子は、無事に8回終了時に腫瘍はかなり縮小しました。
もちろん、副作用もなく、元気にしています。
こちらの治療法は、副作用がないこと、麻酔が必要でないこと、
すべての犬、猫に使用が可能なことなどから、安全に治療ができます。
もちろん、他の治療法に比べ、優れているところもありますが、
そうでないところもあります。
治療の選択には担当獣医師と御相談のうえ、
治療を始めることをおすすめいたします。
現在、日本レーザー獣医協会を立ち上げ、全国でレーザー治療の
症例を増やしています。
HPは下記に
日本レーザー獣医研究会
興味のある方は、一度、本院か研究会に御相談ください。