新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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sonocure(ソノキュア)を使用した頸椎ヘルニアの外科手術
 下記には手術中の画像が含まれます。 

ダックスを始め、ビーグルなどは、頸椎「首の骨」のヘルニアも起こります。
最近では、胸腰椎のヘルニアより、頸椎のヘルニアの来院が増えて来ています。

 治療法は、内科的治療、外科的治療のどちらかになります。
内科療法は胸腰椎ヘルニアと、頸椎ヘルニアと変わりありません。
しかし、外科手術は、かなり変わります。
 胸腰椎ヘルニアは、ほとんどの場合、へミラミネクトミー、もしくは、
ミニヘミラミを行います。
頸椎ヘルニアは、ベントラルスロット(腹部減圧術)をおこないます。
 この手術法は、腹側、いわゆる、首からアプローチして
頸椎を削り、逸脱した椎間板物質を取り除きます。
 
 ベントラルスロットは整形の器具を使用します。
特に、骨を削るため、高回転のドリルを使用します。
 骨を削っていくと、脊髄神経の側まで到達するため、
神経や血管を巻き込む可能性があります。

ソノキュア 縮小


 そこで、頸椎の骨を削るために
ドリルを使用せず、ソノキュアという超音波機器を行います。
 この機器は先端から超音波を出して骨を溶かすように
掘削していきます。

ソノキュア 術中

ドリルの様に、回転していないので、神経や血管を傷つけることが
ほとんどありません。

 今回の症例の様に、麻痺を認めない頸椎ヘルニアの場合などは
手術時間の短縮と、切開創が小さくなること、良い点が挙げられます。
 また、椎間板ヘルニアの手術だけではなく、肝臓の腫瘍などの軟部組織などでも
出血を極力抑えた手術が可能になりました。

 現在、ミニヘミラミ、ベントラルスロットなど、今までの整形外科領域よりも
進歩した手術が獣医学でも可能になっています。
それに伴い、今までの機器では行えない手術も多くなってきています。

 飼主様にとっても、手術の安全性が向上し、
患者様の負担も減ることは、何より大切だと考えます。
 
 この子は、手術後1時間で立ち上がり、元気にしています。
退院も、今までと同様、手術後2日で退院となりました。
 飼主さまも、大きな手術と考えていたので
愛犬の元気な姿をみて、とても喜ばれていました。

   一番下の欄に『ソノキュア』のメーカーの説明を添付してみました。
ご興味のある方は、ご覧ください。


 ソノキュアは超音波領域の周波数により先端チップを振動させることにより、
目的の部位を安全に破砕させ同時に乳化と吸引が行なえます。
さらには、先端チップの交換により骨の切削も行なえます。
その際、回転モーメントがないため、血管や神経、
その他の周りの組織など弾力性がある部分を選択的に温存でき、
患畜へのダメージを最小限にすることが可能となりました。
各種の先進機能を搭載しながらも取り扱いは非常に簡便でコンパクトな設計です。
小動物手術の現場においてスタンダードアイテムとして大きな役割を担う一台です。

 
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ジャンガリアンハムスターの線維肉腫の外科手術
 
ハムスターは老齢になってくると
皮膚にイボ(腫瘍)ができることが多くなります。
時には、そのイボが悪性の腫瘍であることがあります。

 この子は、1歳4か月で皮膚にイボができ
様子を見ていると徐々に大きくなり、飼主さんが
心配になり、来院されました。

 腫瘍は、この子の体に対し、かなり大きくなっていました。

 ハムスター 線維肉種 術前

大きくなるスピードが速いので、飼主さんとお話をして
外科手術の選択になりました。

 手術は、3週間先になりましたが、急に大きくなり
緊急の手術となりました。
 
 ハムスター 線維肉種 術前2

 手術は、全身麻酔のうえ、半導体レーザー、電気メスなどを
使い、可能な限り、出血を起こさず、短時間で行います。

 ハムスターの麻酔は、ほとんどが吸入麻酔を利用した
全身麻酔になります。
この子も、短時間ではありますが、吸入麻酔を使用し手術を行いました。
麻酔時間を短時間にするには、出血を抑えることが一番、大切です。

 この子も、出血は、止血系の医療機器を使い、ほとんど出血させずに
手術が終了しました。
手術の間も、飼主さんには別室で待っていただいていました。
手術時間は15分で終了し、飼主さんも、早く終わり安心されていました。

 ハムスター 線維肉種 術後1

 外科的に切除した、腫瘍は、病理検査に出しました。
病理結果は、線維肉腫という、悪性の腫瘍でした。

 ハムスター 線維肉種 病理 

 腫瘍は、脈管侵襲はありませんでした。
ハムスターは間葉系の腫瘍が多くできます。
その中には悪性の腫瘍もあります。
 
 ドワーフ系のハムスターは、悪性の腫瘍の発生率が
約40%となっています。
ゴールデンハムスターに比べ、悪性の腫瘍の発生率は高くありません。
しかし、イボが出来た場合、2頭に1頭は悪性の可能性があることから、
早期の診断と治療が必要と考えられます。

 どうしても、ハムスターの場合、病院に連れてくるのが
遅くなったり、様子を見てしまうことが、少なくありません。
 悪性の場合、すでに転移していたり、突然死があるので、
早期に病院で診察を受けることをお勧めしています。

 今回の子は、急に大きくなり、飼主さんもビックリして
来院されました。
 急に大きくなる腫瘍が悪性で、大きくならないのが良性ということはなく、
見た目でも、良性悪性の鑑別は難しいです。

 ハススターは犬猫に比べ、短命ですので、
腫瘍に気が付いたら、早めの来院をお勧めしています。

 ハムスターの初診料は¥800です。
また、検査。治療費などは、前もって飼主さんにお伝えしてからの
検査、治療になります。

 お金の心配のある方は、安心して来院されると良いでしょう。
もちろん、手術費用も術前に提示しております。

Atypical fibromas are characteristically composed of proliferating GL cells of the skin. Atypical fibromas are reported predominantly in male Djungarian hamsters and are seldom seen in females, because they are androgen-dependent tumors.1 Kashida et al.10 suggested that GL cells in Djungarian hamsters are derived from intrinsic undifferentiated mesenchymal cells in the dermis or subcutaneous adipose tissue. Cooper et al.4 reported fibromas and fibrosarcomas in laboratory Djungarian hamsters, but whether they were atypical fibromas is unknown. There are no reports about the occurrence of atypical fibromas in domestic or laboratory Syrian hamsters. In our study, all atypical fibromas occurred in males, which confirmed the reported sex predilection. Neoplasms composed of GL cells with malignant findings were provisionally diagnosed as atypical fibrosarcomas. According to Baba et al.,1 predilection sites of atypical fibromas are the thoracoabdominal area. In our study, anatomical localization of most atypical fibromas and immunohistochemical characteristics were consistent with previous reports.

Veterinary Sciences 15 out of 129 | Pathology 39 out of 76
 

 
ロボロフスキーハムスターの皮膚腫瘍(線維腺腫)の外科手術
 7か月齢のハムスターの皮膚の腫瘍が大きくなったと
来院されました。
 腫瘍は、お腹の皮膚に出来ており、かなり大きくなっていました。

 飼主さんには、まだ7か月齢と若いこと、
このまま、経過を診ていても小さくなるより、大きくなる
可能性の方が高いことをお伝えし、手術のお話をしました。

 飼主さんも、安全に手術が行えるならと
手術を希望されました。

 ハムスター 線維腺腫 術前1

 手術は、吸入麻酔を利用し、行います。

 ハムスター 線維腺腫 術後

 手術は、可能な限り麻酔時間を少なくするため、
専門の麻酔医が付き、手術も電気メス、半導体レーザーを使用し
短時間で終了しました。
 
 手術後、約3分くらいで覚醒しました。
当日にはきたくとなりました。
抜糸は、約7日後に行いました。

 線維腺腫とは、乳腺に発症する良性の腫瘍です。
ハムスターでの発生は少なく、良性の腫瘍のため、
早期の外科切除で完治が可能です。

 イヌやネコと異なり、早期の避妊による
予防などは分かっていません。

 現在、ハムスターの腫瘍は、外科的に切除が可能になり
出血などの危険性も電気メス、半導体レーザー、超音波メスなどを使用する
事により、かなり、大きな腫瘍も切除が可能になりました。

 当院でも、手術機器を駆使し、出血、麻酔の管理が可能になり、
手術を希望される方が増えています。
 一番の問題は、麻酔管理です。
イヌ、フェレットなどと異なり、げっ歯類の麻酔は挿管による
弊害の方が多く、挿管を行わないことが多くなっています。
 
 麻酔に関しては、術前に担当医から
飼主さんが納得するまで、お話をさせていただいております。

 手術中も、飼主さんには、手術が終わるまで
病院内でお待ちいただいております。

 今回の手術で、再発もなく、転移も無かったので
飼主さんは、とても喜ばれて、一緒に帰宅されました。

 
プードルの眼球メラノーマの外科手術
 黒色腫という腫瘍は、皮膚がんというと
あ~と理解されやすいです。
 メラノーマというと???となります。

 じつは、黒色腫とメラノーマは同義語です。
この子は、ちょっとポッチャリのプードルさんです。
 本院のトリミング中にトリマーさんが、
目に何かあるのに気づき、担当医に診察をお願いしました。
診断は、メラノーマでした。
 飼主さんも、気づいていない腫瘍でした。

 早速、超音波検査、眼圧検査などのルーチン検査をおこない
角膜輪部、強膜辺縁のメラノーマと診断しました。

 眼球メラノーマ

  犬の眼球のメラノーマは、悪性は数%と低く、ほとんどが
良性の腫瘍であることが、知られています。

 今回、シリコンボール、部分切除、レーザー治療なども
考慮に入れましたが、再発の可能性、飼主さんの
「手術は一度きりで」という言葉から、手術法が
眼球摘出術となりました。
 本院では、良く見かける腫瘍の一つで、
手術は、難しくなく、完治が可能な腫瘍の一つです。

 手術は、30分で終了し、念のため、1泊して
翌朝に帰宅となりました。
 抜糸は、2週間後になります。

 術後の病理結果は、「悪性メラノーマ・転移を認めず」と
返って来ました。
 現在、抜糸も終了し、元気に過ごしています。

 眼球のメラノーマは、悪性は低いと言われていますが、
本院での症例では、悪性も多く、下記のような論文も出ていることから
悪性と診断された場合、早期に手術を行うことも視野にいれた
治療方針を考えないといけないと思いました。


 最近の文献・成書においては、
メラニン細胞性腫瘍(Melanocytic tumors)
の中で,組織学的に悪性であるものを
悪性黒色腫(malignant melanoma)、
良性であるものを黒色細胞腫(melanocytoma)と
表現されることが多くなっています。
 犬における眼球内黒色腫は,虹彩または毛様体
(前部ぶどう膜)から発生することがほとんどで,人
とは異なり脈絡膜からの発生はまれです。
また、一般的に犬の眼内黒色腫の大半は、
良性の挙動を示すといわれていますが、
犬の眼内黒色腫症例を多数集めた疫学的・臨床的データは少なく、
予後に関する報告はほとんどされていません。
      日獣会誌 67 112 ~ 114(2014)より、一部抜粋

 組織学的には皮膚メラノーマと同様、核分裂指数が良悪の指標として重要視されています。
良性では核分裂像が10視野平均0.2未満、悪性では0.4以上と言われています。ただし、核分裂指数のみでの判断は好ましくないように思われます。
眼球の破壊自体は、良悪を判断する要素としては充分でないようです。

眼内メラノーマの全体的な転移率はおよそ4%と報告されています。
良性のメラノーマの予後は良好であり、眼球摘出は治癒的な処置であるようです。
また組織学的に悪性とされたメラノーマでは、25%が転移を起こしたとの報告があります。
そして、その転移は一般的に眼球摘出から3ヶ月以内に起こるとされています。
                                  (PATHOLABO HPから引用)

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