新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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手術(外科手術をしない)皮膚形成術(ヒーリング)
 外傷や、外科手術後に皮膚が欠損した場合、
再度、皮膚を縫い合わせるために手術を行います。

 老齢、心臓疾患などの内臓疾患があった場合、
麻酔に対するリスクも高くなります。

 50年代に、水ぶくれを、破かずに治した方が
傷の治りが早いことが発表されました。
それ以降、湿潤療法(モイストヒーリング)が皮膚の外傷治療に
有効であることが理解されました。
 湿潤療法(モイストヒーリング)とは、創傷部位を乾かさないように閉塞することで、
痛みを軽減して傷跡も残りにくく、傷を早く治そうとする療法です。

 人では、美容形成た、形成外科では当たりまえの治療です。
動物では、いまだに縫合したり、消毒したりすることが行われています。

 今回は、イヌ自身が傷を舐めすぎて、骨まで出てきた症例です。
飼主さんの意向もあり、手術は行わないで、治療してほしいということでした。

後足は骨まで露出しており、手術は適応外でした。
初診時は、このように骨が見えて、筋肉も退縮していました。

モイスト 治療前 5週間

 この傷が、約1か月で筋肉も盛り上がり、
毛も生えてきました。

 治療開始1週間後

 モイスト 治療前 4週間

 治療開始3週間後

 モイスト 治療前 2週間

 治療終了時

 モイスト 治療終了

 このように、手術を行なわず、かなりきれいに治療が可能です。
治療費も、安く済みました。
 飼主さんも、当初は困惑していましたが、
治療開始後2週間くらいで、治りが急に早くなり、
飼主さんも治療に来られることを楽しみにしてくれました。
「先生、こんなに良くなったよ」と来院していただきました。

 本院では、モイストヒーリングの治療を多くの症例で
行い、すべての飼主さんから喜ばれています。
 獣医師から、モイストヒーリングを行うよう勧めた子たちは
すべて、良くなり、飼主さんも満足されています。

 すべての外傷が、モイストヒーリングで治癒するわけではないですが、
適応は広いと考えております。
 また、抗生剤の投与期間も短くなっています。
動物の元々、持っている力を利用した医療を
これからも勧めていきたいと思います。
 
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イヌの膀胱癌の転移に対し有効であったトセラニブ
 イヌに血尿が出る場合、多くが膀胱炎、膀胱結石と
診断されます。
 中には、膀胱の腫瘍ということもあります。
特に中高齢の場合、膀胱腫瘍も散見されます。
膀胱腫瘍には、良性と悪性があり、悪性の場合、
移行上皮癌(膀胱がん)となります。

 膀胱癌の治療は、外科手術、内科療法とあります。
本院では、膀胱癌の発生部位により外科手術を行うか、
内科療法を行うか、飼主さんと相談しています。

 今回、膀胱がんの手術後に転移を認め、
転移の抑制のために、分子標的治療薬である
『トセラニブ』を使用し、長期生存しているのでご紹介したいと思います。

 13歳のMダックスの女の子が血尿が続くということで
セカンドオピニオン希望で来院されました。

 治療に反応しては、再発するので、心配になったのだと思います。
本院で精密検査を行ったところ、膀胱の移行上皮癌でした。
 腫瘍は膀胱三角に発生し、排尿障害も起こっていました。
飼主さんと、内科療法か、外科療法を話合いました。
おしっこの出が悪くなると可愛そうなので、外科手術を選択されました。
 手術は膀胱摘出術と尿管膣吻合術を行いました。

 術後は、血尿も無く、食欲もあり元気に過ごしていましたが。
術後、3カ月後に肺への転移が認められ、分子標的治療を行いました。

 現在、1日おきに、トセラニブ(パラディア)の投薬を行っております。
今まで、肺転移を認めると1~3カ月には呼吸不全になることが
多くありましたが、この子は、進行も遅く順調に経過しています。

 パラディア 縮小

 左側のパラディア海外製で右側の箱に入っているのが
日本製です。錠剤は、大き目です。

 トセラニブは、まだ日本では正式に発売されていません(2014年7月現在)。
海外では、すでに発売されており、論文も出されています。
日本の獣医大学では治験がすでに行われており、
イマチニブよりスペクトルが広いことが、分かっています。
 
 トセラニブは人医療では発売されておらず、ジェネリックも無いことから
コストの高い薬となっています。
 1日おきの投薬でも飼主さんにとって、経済的負担は
大きいと思います。

 日本でも発売が開始されると
他の腫瘍で苦しんでいるイヌやネコに朗報になるかと思います。

 現在、本院でも肥満細胞腫、肺転移の症例に使用し、
良い結果が出ています。
大学病院では、転移症例、抗がん剤、放射線療法の効果が低い
症例に試験的にだしており、既存の治療では改善していない子にも
使っているようです。

 本院でも、コストの面が折り合えば
様々な症例に使用できると考えています。


 

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