新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

イヌの椎間板ヘルニア(ハンセンⅡ型)の外科手術
 骨異栄養症犬種のMダックスやビーグルに多い、胸腰椎の椎間板ヘルニアには
ハンセン(Hansen)Ⅰ型とⅡ型があります。
 急に後足が動かなく、麻痺を生じるタイプはⅠ型が多いとされています。
中高齢になり、動きが鈍くなった、抱くと鳴いた、でも麻痺は無いなどの場合は
Ⅱ型だと言われています。

 もちろん、症状だけで1型Ⅱ型と区別、診断はできません。
今回、8歳のMダックスがⅡ型で手術適応になったので、
ご紹介いたします。

 ハンセンⅡ型の椎間板ヘルニアの確定診断は、通常、
CTのみで可能ですが、今回の子は、CTだけでは確定診断にならず、
MRIも実施いたしました。
 イヌの椎間板ヘルニアの診断は、CTでの診断が多いのですが、
最近では、脊髄神経の状態も詳しく把握できるのでMRIの撮影も多くなっています。

 いまだに、イヌではCTでの検査が多いのは、麻酔の時間によることと
MRI自体の値段が高いことも関係しています。
麻酔時間、経費の問題が改善されれば、イヌでもMRIでの診断が
増加するかもしれません。

 この子は、第13胸椎から第1腰椎の間にハンセンⅡ型のヘルニアが
確認されました。

縮小画像 CT Ⅱ型

基本、ハンセンⅡ型の治療は手術しても有効ではない、
また、術後悪化したなどの報告があるため、内科療法になります。
 今回、椎間板物質が、髄腔の40%を占めており、神経症状が悪化していたため
減圧を目的に椎弓を切除を行いました。

 現在、イヌのⅡ型には、減圧を目的とした椎弓切除術、
経皮的レーザー椎間板除圧術(PercutaneousLaser Disk Decompression,以下PLDD)、
背外側アプローチよる椎体部分切除術
( Corpectomyorpectomyorpectomyorpectomyorpectomyorpectomyorpectomyorpectomyorpectomy)
などがあります。
 どの手術法にも長所、短所があります。
1型の手術とⅡ型の手術の違いは、突出した椎間板物質を
除去するか、しないかです。
 Ⅱ型の場合、突出物質が石灰化を起こしていたり、
かなり固くなっています。
無理に触ると脊髄神経を2次的に障害します。
 今回の手術では、減圧だけを目的に行いました。
手術時間は、1時間で終了し、術中も飼主さんに立ち会っていただきました。

 手術後は順調に回復し、術後2日で退院となりました。
術後はリハビリとレーザー治療で来院されています。
日を追うごとに、歩けるようになり、今では、散歩も可能になりました。

 大学病院では、歩ける可能性は低いと言われましたが、
飼主さんの頑張りのおかげで、自力で歩行が可能になりました。
 飼主さんは、仕事を休んで、治療した甲斐があったと
かなり喜ばれていました。

 現在、イヌのⅡ型に対する治療法は、レーザー治療、
減圧術、鍼灸、さらに、ヘルニア物質の除去がおこなわれています。
 まだ、確立された手術法はありませんが、痛みや、歩行障害から
少しでも開放されることが一番ですね。

 



 
スポンサーサイト
イヌの膵炎の診断(簡単な検査キット)
 イヌの膵炎は、毎日のように来院される疾患です。
以前は、イヌの膵炎の診断には苦労しました。
 血液検査では、微妙な結果や、検査が多くありました。

 血液生化学検査
1.アミラーゼ・・・現在、アミラーゼは診断的意義が無いと言われています。
2.リパーゼ・・・免疫学法・酵素法があります。
          現在のところ、これだけで確定診断は難しいと言われています。
3.CRP・・・膵炎の場合、上昇することは分かっていますが。
        これだけで、確定診断とは言えません。
4.Spec cPL・・・犬特異的リパーゼは、膵炎の確定診断に一番
           基準となる検査となっていますが、未だ議論されています。

jp-speccpl-comparison.jpg


SNAP 酵素抗体法


血球計算
1.白血球・・・上昇することもあるが、正常で推移することもあるため、
         これだけで診断は難しい。

画像診断
1.レントゲン・・・レントゲンにより、膵炎の確定診断は難しい。
          人ではcolon cut off signなどが認められる。
2.超音波検査・・・熟練した獣医師では、確定診断が可能なこともあります。
            診断は約60%(文献上)
3.CT.MRI・・・画像のみでは、確定診断は難しい。
          造影CTは、単純CTに比べ判別が可能。
          鎮静、麻酔が必要。

 上記から現在、膵炎の診断は、単一の検査では確定診断は難しく
総合的に診断しております。
 人のように、厚生省から指針は出ておらず、各病院に任せているのが現状です。
膵炎は、早期発見・早期治療が有効です。人の膵炎の場合、腹痛が認められますが、
イヌやネコの場合、腹痛を伴わないものもいます。

 本院では、膵炎を疑う場合、画像診断、血液診断、臨床症状を元に
確定診断を行い、治療を行っています。

 膵炎は再発を繰り返す、病気です。
原因が、不明なことも多く予防をすることも難しいとされています。

 お食事とおやつに気を付けていただいております。
また、拾い食い癖があるイヌ、いろいろなおやつを与えることも
危険因子と言われています。

 治療
・輸液療法
・制吐剤
・抗生剤
・食事療法
・ステロイド
・鎮痛剤
・血漿輸液
など、様々な治療法があります。
 人のように、治療指針がないので
各病院で利用法が変わるようです。

動物の膵炎は、いまだわからないことが多く、
指針も整っていません。
 本院では、飼主さんと十分に相談しながら
治療法を決めています。

 重度の場合でも、併発症が無ければ
治癒する子も多くいます。
 今までの決まり決まった治療にこだわらず、
飼主さんと一緒に治せる子もたくさん居ますので
まずは、担当獣医師とお話をしてみてください。
ネコヘルペスウイルスによる瞬膜の水疱の外科手術
 猫のヘルペスウイルスは、別名『猫風邪』とも言われています。
特に、拾われた子猫の目の周囲が汚れていたり、涙でグチュグチュに
なっている子は、ほとんどヘルペスウイルスです。

 人のヘルペスウイルスと異なり、抗ウイルス薬が効きません。
現在は、『ネコインターフェロン』を使用したり、二次感染を
コントロールしています。

 この子は、保健所で拾われてきた子で
ネコヘルペスウイルスでした。

 瞬膜という、眼を保護する膜に水疱が出来ていました。
ネコ自身は、気にしていなかったのですが、飼主さんが
心配で来院されました。
 
 瞬膜水泡 術前


 当初は、手術はせず、点眼で経過を診ていましたが、
手術となりました。
手術は、半導体レーザーを使用し、凝固切開を行いました。

 瞬膜 水疱

 術後は、眼も気にせず、元気に過ごしています。
猫のヘルペスウイルスは、母猫から感染されます。
その後は、死ぬまでウイルスを持って生きていきます。
ストレスや、病気になり、免疫が低下すると再発することは
人のヘルペスウイルスと似通っています。
 
 子供のころに、しっかりと治療しておかないと、
角膜潰瘍などにより、失明することもあります。
 
 子猫を拾ったら、念のため、動物病院に連れてきてください。
血管外膜細胞腫の外科手術(拡大切除しない場合)
 老犬の肘などにイボが出来たと来院されると『血管が膜細胞腫』かな?と
考えることは、一般的です。
 本院でも、年に数例、この腫瘍に罹患したワンちゃんが
来院されます。
 説明は、この腫瘍はマージンが足りないと、再発を繰り返し、
断脚になることが多くあります大きく切り取らせてください。
再発を繰り返している間に、悪性に変化することがありますとも
説明をしています。

 今回の症例は、老齢のワンちゃんの左前肢に発生した
血管外膜細胞腫でした。
飼主さんは、以前から腫瘍があり、徐々に大きくなっていることも
御存知で、「お年なので手術は・・・」とおっしゃり手術はしていませんでした。
 それでも手術を行った理由は、腫瘍が大きくなりすぎて、
手が浮腫んで、歩けなくなったからでした。

 手術前に、病理検査で診断を確定し、再発する腫瘍であること、
また悪性化することもあること、再発を防止するなら断脚も視野に入れて
飼主さんと御相談しました。
 ご相談の結果、再発をすることは承知のうえ、
マージンを余り取らず、切り取ることになりました。

 手術は、全身麻酔下で行いました。

 血管外膜細胞腫 術前1

 血管外膜細胞腫 術前2

 このように肘の内側にかなり大きな腫瘍を認めました。
手術は、少しでもマージンを考えながら、切除しました。

 手術は入り組んだ血管を止血しながら行いました。

 血管外膜細胞腫 術中 1

 手術時間は約2時間と皮膚の腫瘍にしては、かなり時間がかかりました。
原因は、切除に際、血管が豊富で止血に時間がかかること、
縫合に時間がかかりました。

 血管外膜細胞腫 術後


 腫瘍自体はこのように、かなり巨大でした。

 血管外膜細胞腫 病理

 血管外膜細胞腫は、マージンを十分にとらないと再発することが
知られていますが、本院では、再発しない症例も経験しています。
 どの子が、再発し、再発しないかは不明です。
術前検査で診断を確定した際、その辺りも、飼主さんと御相談になります。

 血管外膜細胞腫=断脚 とはなりません。
本院では血管外膜細胞腫を初初めての手術で断脚を選択することは
皆無です。
 
 まずは、担当獣医師と御相談ください。
老犬の脚に発生した皮膚腫瘍の場合は、この腫瘍を考えてから
手術の方法も決定したほうが良いかも知れません。

copyright 2005-2007 新千歳動物病院のブログ all rights reserved. powered by FC2ブログ. designed by sherrydays.