新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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犬の肝臓がん(内側左葉)の外科手術
 肝臓という臓器に癌ができることは
人でも良く知られています。
肝臓という臓器が、『沈黙の臓器』とも言われています。
 イヌでも肝臓に癌ができます。
人と同じように肝臓がんの発見は遅くなりがちです。
人の場合、肝臓がんを血液検査で発見できる、『腫瘍マーカー』と
いうものがありますが、犬の場合、まだ、『腫瘍マーカー』は
見つかっていません。

 そこで、本院では、可能な限り、肝臓の酵素が上昇した時点で
超音波検査を行っております。
 超音波検査で腫瘍が見つかると、病理検査を行い『肝臓がん』で
あることを診断します。
診断後はCTなどの精密検査を行い、腫瘍の形状、血管の走行などを
確認したうえで、手術を決定します。

肝臓がん 術中1

 手術は内側左葉であることを確認しました。
犬の肝臓癌は、左側は後大静脈と離れているため
手術の難易度はそう高くないと言われています。
 しかし、右側になると血管の走行が後大静脈と隣接しているため
難易度が高くなり、後大静脈を遮断することも必要なります。

 この子は幸せなことに、左側なので
何とか、無事に手術が出来ました。

肝臓がん 病理画像
 
 腫瘍は、事前の検査と同じ部位に、同じ大きさで
確認できました。
 この大きさになるまで、飼主さんも、ワンちゃん本人も
気づいていないことが多いです。
 手術は可能な限り、出血を避けるため、
ソノサージ、ソノキュアなどの手術機器を用い、
安全にかつ、短時間で行っています。
 今までは、綿棒などでゆっくりと肝臓面から剥離し
出血を抑えながら地道にゆっくりと行われました。

肝臓がん 術後 1

 手術時間は約90分と、内側であるにも関わらず
短時間で終了しました。
術後は、正常な肝臓も病理検査のために、小さく辺縁を生検します。
手術から2日後には退院となりました。

 肝臓がんは進行がゆっくりとしており
発見が遅れることが多くあります。
レントゲンで確認できる頃には、すでにかなり大きくなっていることが
多く、この子ように早期に発見するには、軽度の肝酵素の上昇でも
腹部超音波検査を行うことが有用です。
 人と異なり、犬や猫の腫瘍マーカーが見つかっておらず
画像診断が重要です。
 早期の発見であれば、手術での根治も可能です。

 この子は、飼主さんと一緒に、これからも
一緒に居れることとなりました。

 
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猫の尿管結石の新しい治療法(インターベンション治療)
 寒い季節になり、おしっこが出にくい、何回もトイレに行く、
血尿があると来院されるイヌやネコが多くいます。
 この子は、以前から腎不全があり、定期検査にて
水腎症と、尿管に結石を認めました。
 片側の腎臓はすでに、腎臓の機能が乏しく、
片側の腎臓に負担をかけている状態でした。
 腎臓につながる尿管にも結石が認められ、尿管も
拡張していました。

 飼主さんには、すぐに尿管結石を取り出す手術をお勧めしました。
今まで、猫の尿管結石の手術は、術後、尿管が狭くなったりする
事例が多く、手術に踏み切れない方も多くありませんでした。
 
 今回、アメリカで発売されている、尿管用のカテーテルを用い、
猫の尿管結石を切除後、インターベンションを行いました。

 インターベンションとは、細いチューブを使用し、管の流れを改善したり
拡張させたり、新しい流れを作る治療法の1つで、人では、心臓病のカテーテル
手術として有名です。

 イヌやネコでの尿管カテーテルは日本では未発売ですが
海外では、様々なサイズがあり、尿管の閉塞、断裂などに
使用されています。

尿管ステント 1

 この子も、尿管に結石があり、尿管結石の除去後、尿管の閉塞が
予測されたため、ステントを腎臓から膀胱まで挿入しました。
 今までの手術のように、尿管の閉塞や梗塞がなく
順調に尿が膀胱に排泄されています。

 このステントが使用されることにより
細い尿管などの疾患に対し、安全に手術が可能になります。

 この子も、術後、排尿障害もなく、腎不全も認めらません。
退院も早々に出来ることは飼主さんにとっても幸せなことです。

 現在、犬や猫の膀胱がんに対し、予後の改善を行うため
インターベンションが使用されています。
さらに、動脈管開存症、門脈体循環シャントにも応用されています。
今まで、手術の危険性が高かった手術や、難易度の高い手術も
インターベンションを用い、安全に簡単に行えると良いですね。

 
キャバリアの脳腫瘍の放射線治療
 脳腫瘍は人と同様に犬の頭の中にできます。

 人と同じように、診断はMRIを行います。
人と異なることは、犬の脳腫瘍の多くが、初期で発見されることより
中等度、もしくは、末期になってから見つかることが多いことです。
 これは、人の場合、脳腫瘍が出来た際、頭痛やフラツキなどの
症状が出ます。
犬の場合、人と同様に症状はありますが、頭痛やめまいなどは
飼主さんが気づくことが難しいと思います。

 本院でも、脳腫瘍の多くが、『こける』『ふらつく』『歩き方がおかしい』
などの運動障害を主訴に来院されます。

 脳腫瘍の発見が遅れる要因は、診断がMRIの検査が必要ことです。
MRIは全身麻酔が必要、検査は大学で行うこと、検査費用も高額であることから
重症化してからの発見になっています。

 この子も、以前から神経症状はあったもの、散発であったので、
来院されていませんでした。
 しかし、症状が頻発したので来院されました。
脳腫瘍の可能性が高いことから、MRIを行いました。

 結果は、脳腫瘍。

 脳腫瘍 画像 1
 
 このように、視床下部領域に巨大腺腫が認めれました。
手術は難しく、放射線療法をお勧めしました。

 放射線療法は、脳に放射線を照射し、脳腫瘍を小さくする治療法です。
この治療法は、北大、酪農学園大学で行われています。
 
 治療は、無痛なので、動物には痛みなどを伴わないですが、
こちらの治療も全身麻酔下で行われます。
さらに、治療を行える施設が大学に限られています。

 この子は、20回の治療で腫瘍はかなり小さくなっています。

  来年には、新しい放射線の治療器が導入され、今までのような
数回にわたる治療よりも少ない回数で、より良い結果が得られます。

 腫瘍は根治しませんが、飼主さんと一緒に過ごせる時間が
長くなることで飼主さんもワンちゃんも、幸せな時間が続きます。

 メガボルテージの治療をご希望の方は
担当医と相談してみてください。

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