新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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猫の乳腺癌の外科手術
 猫の乳腺癌は犬と比べ、来院数が少ないようです。
理由としては、犬に比べ、猫の不妊手術の割合が高いことが
要因にあるのかもしれません。

 feline oncologyによると、犬に比べ
乳腺腫瘍と避妊との因果関係は明確ではないが、
多くの、論文で早期の不妊手術が終戦腫瘍の罹患率と
相関していたと述べています。
 犬の乳腺腫瘍と不妊手術の関係を示している
論文も最近では、少し変更されているようです。
 
猫の乳腺腫瘍は悪性がほとんどで、
乳腺にできる腫瘍の約70~90%が悪性といわれています。
 この子も、前回、今回ともに悪性の乳腺癌でした。
さらに、避妊済の雑種猫でした。

 猫の乳腺癌 手術前

 本院での乳腺腫瘍の再発率と、避妊の有無の関連性は、
巷で言われているものと異なり、避妊していると再発率が
減少するということは、2歳以上に限り、一致しません。
 
 この子は、避妊済の子だったので、
乳腺腫瘍と共に、ソケイリンパ節も切除しました。
手術は、乳腺組織、さらにリンパ節も切除しました。

 猫の乳腺癌 手術後

 切除したものは、このように、かなり大きな腫瘤塊になりました。

 猫の乳腺癌 病理

 手術は、夜間救急に手術を行ったので
1泊の入院となりました。
また、腎不全の治療中だったので、入院前から点滴を行い、
血圧に注意しながら、飼主さんの待っている中、手術は40分くらいで
終了しました。

 こちらは、手術後、吸収糸で縫合した状態です。
この後、ナイロンの糸で縫合し手術は終了となります。

 猫の乳腺癌 縫合

 術後は、飼主さんと猫ちゃんが面会をしてから
飼主さんは帰宅されました。
 手術後から食欲はあり、飼主さんも一安心されていました。

病理の結果は悪性の乳腺腫瘍で、同時にソケイリンパ節も切除しましたが
リンパ節への転移は認められませんでした。

 猫の乳腺にできるイボの多くが、乳癌で、
発見、手術が遅れると肺転移もあります。
 現在、乳癌の治療は早期発見、早期治療(外科手術)と言われています。
抗がん剤、放射線療法、分子標的療法などはあまり効果がありません。
また、確実な予防法もありません。
 5歳以上になれば、週に1回は愛猫のおなかを
さすっていただき、小さなイボを見つけてください。
早期の乳腺腫瘍だと、手術時間も30分くらいですし、
半日入院となっております。
 
 この子は3回目の手術で、飼主さんも心配されていました。
また、腎不全も併発していました。
しかし、飼主さんの心配はよそに、手術に耐えて、元気に退院されました。
 今は、検査結果も良好だったので、抜糸までの間、
もう少しの我慢と話しかけているようです。

 
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フラット・コリーの鼻に出来た良性の黒色腫
 2歳のフラット・レトリバーの飼主さんが
お鼻の真ん中にイボがあると来院されました。

 診察すると鼻の真ん中に白い、イボがあります。
このように、黒い鼻の真ん中に直径0.8cm大の
腫瘤がありました。

 メラノーマ

 飼主さんと、針で腫瘍を少し刺して
細胞を採取し、病理検査を行いました。
結果は、『メラノーマ(黒色腫)』という診断でした。
 犬の場合、皮膚にできるメラノーマのほとんどが良性と言われています。
ある研究では、1116頭のメラノーマの犬のうち、悪性は全体の143頭、
約13%でした。
 この子も病理検査の結果、良性のメラノーマと診断されました。

 治療法は、皮膚のメラノーマの場合、基本は広範囲の外科的切除を行います。
メラノーマの多くは、皮膚、口の中、眼、肢先と多くの報告例があります。
この子は、お鼻にできたメラノーマでした。

 飼主さんと、病理検査の結果を踏まえ、治療法を話合いました。
飼主さんは、大きくなることを心配され、外科的に切除する治療法を
選択されました。

 手術は、全身麻酔下にて行いました。
どうしても、鼻は血管が豊富なため、出血がありましたが、
電気メス、半導体レーザーなどを使用し、30分で手術は
終了しました。
 その日の夕方、元気に帰宅されました。

メラノーマ術後


 手術で切除した腫瘍を病理検査に提出した結果、
腫瘍は切り取れており、悪性所見は認められませんでした。
 良性の腫瘍であることから、転移もなく、
1週間後に無事、抜糸もできました。

皮膚がん、黒色腫、メラノーマ様々な呼び名がありますが、
犬の場合、皮膚にできたメラノーマは、ほとんどが良性なので
マージンをしっかりと切除できれば、再発・転移は少ないです。

 また、皮膚がんは黒いものと思いこまれている方が多くいらっしゃいますが、
この子のように、白いメラノーマも少なくありません。
これは、皮膚のメラニン色素の細胞が腫瘍化するため、黒くなると
言われていますが、犬の場合、脱顆粒して白くなるものが多いように思えます。

 この子も、白い腫瘤だったので、飼主さんも不安では無かったようですが、
診察時に、メラノーマの疑いをお伝えしたところ、かなりびっくりされたようでした。
 初診から、検査、手術まで早々に終わり、
飼主さんも、かなり安心されていました。
 
 イボが全て悪性ではありませんが、中には良性でないものもあるので、
病理検査をお勧めしています。
 ほとんどの腫瘍の検査は、全身麻酔は必要ありません。
また、検査で切除する大きさも1~2mm位とかなり小さいものです。
もちろん、多く取れれば、良いですが、悪性良性の判断であれば
少しでも診断できます。
 金額も¥3000~¥8000なので、何万円もかかることはありません。

 検査に関しては、担当獣医師と相談のうえ
決断されてみてはいかがでしょうか?

 
犬のアトピー性皮膚炎とは?
 アトピーという言葉は人の皮膚病であるということは
ほとんどの方が知っているかと思います。

 犬にもアトピーはあるの?と疑問に思う人もいるかと思います。
犬にもアトピーはあります。

 人のアトピーとほとんど変わらないといわれています。

犬のアトピーは、以前はIgEが関与しており、
アレルギー疾患として扱われてきました。
しかし、最近はIgE抗体が上昇しない患者も多くいることから
アトピーとアレルギーは別物であるといわれています。
 (参考文献、JofDeramatology、2011;38:784-790)

人のアトピー性皮膚炎の定義は増悪・寛解を繰返す、
そう痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ。

 現在では、皮膚のバリア機能低下によるドライスキンをベースに、
アレルギー反応や様々な刺激反応によって生じると理解されています。
皮膚のバリア機能が低下すると外部からの刺激を受けやすく、
アレルギーの原因物質などが侵入して炎症が起こりやすくなるのです。
アトピー体質として遺伝的な要素の関与が知られてきましたが、
近年、皮膚のバリア機能低下にはフィラグリン遺伝子
の異常が関与することも明らかにされています。

①かゆみの有無
②特徴的な皮疹と皮疹の分布状況
③慢性・反復性の経過を経ているか
の3つの診断基準が示されています。
 これら3つの基準を満たせば、
症状の程度を問わずにアトピー性皮膚炎と診断します

 皮膚のバリア機能低下を是正するためのスキンケア、
アレルギーを是正するための原因・悪化因子への対策、
そして炎症やかゆみを抑えるための薬物療法と、
3方向からのアプローチが治療の基本となります。

 現在、犬と人のアトピーの治療は、ほぼ同じです。
異なることは、数年前からインターフェロンを使用した治療が
行われていることです。

 これは、『インタードッグ』という犬用のインターフェロンが
発売され、治療として使われています。
また、最近では使用頭数も増加し、論文や使用例なども報告されています。

 本院でも、使用して5年近くなります。
発売当初から使用しています。
 当初は、メーカサイドも情報が無く、私たち獣医師が質問しても
ほとんどの質問に答えれ無かったことを記憶しています。
 
 7月に全国で行われたインタードッグのセミナーでは
かなりのノウハウが発表されていました。
 このセミナーの内容に関しては、
後々、記載したいと思います。


 

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