新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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子宮蓄膿症の内科療法
 犬と猫には子宮蓄膿症といって
発情後の子宮に大腸菌などが入り込み
感染を起こした状態にる病気があります。

 子宮蓄膿症 巨大

 本院でも月に数例、来院されます。
この疾患に対する治療法は今も、昔も外科療法が
ベストと言われています。
 
 しかし、ベストではあるけども
ベターではありません。
 
 本院でも外科手術を行い、完治を目指すことが
多いですが、内科療法もあることは飼主さんにお伝えしています。

 現在、内科療法には
1.PGF2α
2.カルベゴリンークロプステノール
3.アグレプリストンークロプステノール
上記の3方法があります。

 本院では、1.と3、を使用しておりますが、
1.に関しては使用した経験のある先生は予後が悪いとか、
あんまり、良くなかったという経験があると思います。
 私自身も、副作用の経緯からあまり、おすすめはしておりません。

 3.のアグレプリストンは日本には未発売のお薬で
海外では、フランスで動物用薬として発売されています。
ヨーロッパの一部の国とオーストラリアで発売されています。

 アリジン


 アグレプリストンという動物薬は、もともとは
堕胎薬として発売されています。
作用は、合成プロジェステロン拮抗薬で、プロジェステロンの結合力は3倍で
プロジェステロンに結合し、プロジェステロンの作用を一時的に抑制することが
可能である。
 子宮蓄膿症の犬に投与すると黄体期から脱し、細菌の増殖が抑制され
プロジェステロンのの支配を受けていた子宮頚が弛緩するため排膿が促進される。
(J-VET,2011.3から一部引用)
投薬には入院が必要なく、皮下に注射を数回(症状による)投与すれば可能です。

 副作用はほとんどなく、注射部位の痛みが少しある程度です。
効果のほどは、文献上ですが、日本の文献では開放制の場合、治癒率は92.6%
(27頭中25頭)、閉塞性の場合、66.7%(9頭中6頭)でした。
海外の文献では60%(20頭中12頭)というものもあり、さまざまでした。
 
 では、良いことばかりかというと、そうではありません。
1.効果の発現までに時間がかかる。
2.必ず治癒するとは限らない。
3.赤ちゃんを産めるのは5歳まで。
4.日本未発売なので、どこの病院でも治療ができない。
5.再発率の高さ。

 上記の副作用なり、マイナス面も考慮し
内科的療法、外科的療法を選択されるのが良いかと思います。
 いままでは、高齢の子、麻酔のリスクの高い子、子供を産ませたい子に
悲しい結末や、望まない治療になっていましたが、現在、特にここ数年は
この薬の発売により、治療の選択肢が多くなりました。
 
 選択肢が増えるということは、とてもよいことですが、
その分、担当獣医師との話し合いがさらに大切になります。

 子宮蓄膿症の治療に疑問を持った場合は、
担当獣医師もしくは、スタッフまでお声をお掛けください。
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短鼻腫の呼吸障害の外科手術(鼻孔拡大術)
 フレンチ・ブルドックの流行を受けて
パグ、ペキニーズなどのお鼻の短い犬種が増えています。

 特に、フレンチブルドッグ、パグは呼吸を苦しそうに
行っているのを見たことがあると思います。

 これらは、呼吸障害と言われ、犬種の特徴でもある
鼻が短いことで上手く呼吸ができません。
中には、ブヒブヒ言わない子や、『いびき』をかかない子もいます。
しかし、ほとんどの短鼻腫の子は両方、することが多いですね。

 本院では、飼主さんと相談しいびきや呼吸を改善するため、
お鼻の美容形成術と軟口蓋といわれるお口の中のビラビラしたものと
切除する手術を行っています。

 今回は、フレンチブルの呼吸器障害で苦しんでいた
ワンちゃんのお鼻の形成術を紹介します。

 まずは、術前のお顔のアップからです。
このように、カワイイお顔をしていますが、鼻の穴が
あまり開いていないのが分かるかと思います。
 これでは、空気を鼻から吸いにくく、苦しいのかもしれません。

短鼻種の鼻の手術前

 手術は、北大の外科の先生が行っている手術法を使用します。
教科書的にはメスを使い、鼻の一部を切り取り縫合するとあります。
北大の方法はメスを使わず、パンチ生検用の器具を使い鼻の大きさを
大きくすします。
 手術時間は10~15分くらいです。

 手術後はこのように、手術前と比べかなりお鼻の穴が大きくなっています。

短鼻種の鼻の手術後

 手術後は半日、入院を行い、当日にお返ししますが、
この子は、夜の時間に手術を行ったので翌日の朝にお返ししました。
飼主さんも手術時間中は病院に居ていただき、麻酔が覚めると同時に
面会をされ、安心されていました。

 短鼻種で呼吸障害に悩まれている方は
これからの暑い季節、熱中症対策に向けて様々な対象法を
考えていただいていると思います。
 その中に手術の考えてみていただくことも有用かもしれませんね。

 ブヒブヒ言っている子も可愛いですが、
暑い日に苦しそうにブヒブヒはつらいかもしれませんね。
未去勢犬の会陰ヘルニアの外科手術
 去勢手術を行う犬が多くなっています。
本院では、去勢手術を勧めることはしていませんが、
去勢手術の良い面、もしくは、マイナス面をお話しております。

 去勢手術は獣医の外科領域では
簡単な手術の分類に入りますが、全身麻酔が
必要であり、病気というカテゴリーに入らない手術です。

 そこで、去勢手術に関する知識を飼主さんと
話し合い、総合的に飼主さんに判断してもらっています。

 今回は、8歳になるまで去勢手術をおこなわず、
排便障害を主訴に来院されたMダックスの男の子です。
 排便の最中に、鳴くようになり痛がるように
排便すると来院されました。
 以前に、前立腺腫大で、うんちが細くなり
去勢手術は行っていました。
 
 排便障害の原因を直腸検査(触診)を行ったところ、
肛門の左側に憩室(空洞、部屋)があり、そこにうんちが溜まっていました。
診断は、会陰ヘルニアとなりました。

 会陰ヘルニア 術前


 会陰ヘルニアとは、肛門の両側に会陰部という場所があり
そこの筋肉が低下し、排便の圧力により直腸に憩室が出来てしまいます。
その憩室にうんちがたまり、排便障害になります。
 治療法は、男性ホルモンが一つの要因になっているので
去勢を行うこと、便を柔らかくすること、手術でヘルニアの穴を
閉じることなどがあります。

 本院では、可能な限り、根治療法をと考えているので
手術と去勢を勧めています。
しかし、手術できない子、手術をしたくない子には
レーザー治療、皮下のインプラント、便軟化、蠕動運動促進剤などで
経過を診ることもあります。

 毛を刈った状態です。
会陰ヘルニア 術中 1


 手術には、様々な治療法がありますが、
本院では器具などを術部に入れない治療法を勧めています。
手術時間は約40~60分くらいで終了します。
可能な限り、当日にお返ししております。

 このように、縫合糸を靭帯、筋肉にかけ、
ヘルニアの穴をふさぎます。

 会陰ヘルニア 術中 2

 縫合糸をかけた後は、その糸をしっかりと結んで
ヘルニア孔を閉じます。

 会陰ヘルニア 術中 3

 この子は、左側の会陰部がヘルニアになっていました。
右側も筋肉は薄くなっていましたが、まだ、ヘルニアには
なっておらず予防的に手術するほどでもありませんでした。
 
 手術後はこのように『ッキュ』となっています。
これは、手術により、肛門の括約筋と周囲の筋肉が
くっついた状態に戻った証拠です。
両側のヘルニアの手術後は、まるで『えくぼ』のような
形になっています。
 今回は左側だけなので、片側の『えくぼ』になっています。

会陰ヘルニア 術中 4

 会陰ヘルニアは早期であれば、1回の手術で完治します。
術後は、便軟化剤や食事療法などは必要なく、今までのように
楽しい生活が可能になります。

 この疾患は、男の子に多いとされていますが、
メス犬でも発症し、手術したことがあります。
排便の際、痛がるようになった、便が細くなったなどの
症状がある場合は獣医師に相談してみることも有用かもしれません。
大きくなりすぎた脂肪腫の外科手術
 脂肪腫で手術を行うことは良くあります。
また、診察でも毎日のように脂肪腫と診断しています。
脂肪腫と病理検査などで診断された場合、すべて外科手術に
なることはなく、飼主さんの意向を聞いたうえで、治療法を決めています。

 この子は、11歳のMダックスで、首に以前から
腫瘍があったようです。
かなり大きくなり、自潰し出血も伴い来院されました。

 飼主さんは、年のこともあり手術をしたいけど
出来ないだろうと考えていたようでした。

 初診のときは、腫瘍が大きくなり
腫瘍の皮膚が裂けて出血していました。

リポーマ 術前

 腫瘍の病理検査は脂肪腫で、良性の腫瘍でした。
飼主さんには、脂肪腫という良性の腫瘍なので、
転移はないことをお伝えしました。
腫瘍の切除には血液検査、心電図、胸部レントゲンにて
健康状態を把握し、麻酔のリスクを確認しました。
幸せなことに、健康優良児でした。
 
 さっそく、手術日を決めました。
予約順では、かなり遅くなるので、緊急手術の部類になりました。

 手術は、飼主さん立ち会いのもと行いました。

さっそく、手術前の毛刈りと消毒です。

 リポーマ 術前 毛刈り後

 リポーマ 毛刈り後2

 このように、かなり大きな腫瘍となっていました。
手術は、頸静脈と、その周囲の筋肉の剥離を行いました。

 手術は、電気メス、半導体レーザーを使用し
血管もほとんど傷付けず切除が出来ました。

 取った状態がこの写真です。
リポーマ腫瘤 病理

 手術は約1時間で終了し、かなり大きく切除したので
ドレーンも設置して、手術終了後、その日の夕方には帰宅となりました。
 
リポーマ 切除後 外観

 手術後は約10日で抜糸となりました。
手術後はとても元気で、飼主さんも喜ばれていました。
 手術して良かったと安心されたように
お話をされていました。

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