新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

創外固定を使用した交通事故による脱臼の整復術
 交通事故による外傷は昔に比べ、減っていますが、
年に数回、交通事故の症例が来院されます。

 この子も、隣の市で保護された時には
飼主さんの側から離れて1か月も経っていました。

 隣の市の保健所で保護されていました。
かなり痩せ細って、元気もありませんでした。
また、右の後肢の足首に外傷があり、開放性の脱臼と
骨折を起こしていました。

 まずは、体の状態を確認し、事故による
肝不全、気胸、脱水などを点滴、入院を行い、改善しました。

 飼主さんには、健康状態が改善してきたので、肢の手術の話をしました。
また、ワンちゃんも痛いのか食欲がありませんでした。

 これが、手術前の状態です。

 脱臼術前1

 肢を少し曲げると皮膚の間から骨が見えています。

 脱臼術前2

 このような脱臼の場合、感染症を伴うので、プレート、
髄内ピンなどは危険なので、創外固定がベストと言われています。
可能な限り、生理食塩水、もしくは、ラクトリンゲル液で
感染部位を洗浄します。
 その後、感染している部分を避けて、創外固定用のピンを挿入します。
今回は、ハーフピンを使用し、タイプ1bを使用しました。
 ダブルクランプは使用せずに行いました。

 これが、術後の写真です。

 術後1

 クランプしたピンは、骨折部位がレントゲンでもわかるように
カーボンのピンを使用しています。

 術後2

黒いピンがカーボンのピンで、銀色のピンがステンレスです。
 ステンレスのピンも良いですが、カーボンのほうが軽く、
レントゲンに写らないので、骨折の状況がとてもわかるといわれています。

 この子は、交通事故の外傷の治療を行いながら、
安静にしてもらい、自宅での療養を行っています。

 早く歩けるようになると良いですね。
スポンサーサイト
皮脂腺上皮腫の外科手術
 犬の皮膚には、皮膚病とも腫瘍とも分かりにくいものがあります。
この子も、1か月前から毛が抜けるとお近くの病院で診ていただいて
検査も行い、皮膚病を行っていました。
 しかし、徐々に悪化したので、本院へ紹介で来院されました。

 見た目は、このように、皮膚病のように見えます。

 皮脂腺上皮腫

 手術前で毛を刈った後なので
分かりにくいかもしれませんが、皮膚炎のようにも見えました。

 飼主さんには、皮膚炎ではないこと、
また、腫瘍の可能性が高いことをお伝えし、手術をとなりました。

 手術は、20分くらいで終了し、1週間後に抜糸となりました。

 病理検査の結果は、『皮脂腺上皮腫』(Sebaceous epithelioma)
でした。
 この腫瘍は、稀にリンパ節に転移することもある低悪性度の腫瘍でした。

 このように、一見は皮膚病にも見える腫瘍があります。
また、術前検査でも皮膚炎と病理結果が出る場合もあるので
要注意の腫瘍です。

 飼主さんも皮膚炎と思い、ゆっくりと経過を診ていましたが
心配になり、来院されました。
 手術により、確実に切除でき、転移も認められませんでした。

腫瘍といっても、見た目は悪くなかったり、
院内の検査では、腫瘍と診断されないものもあります。
 この子も、かかりつけの先生で針を刺して検査されたようですが、
腫瘍ではないと言われたようです。
 これは、診断が間違っていたのではなく、
針検査(FNA,吸引バイオプシー)の正答率が低いのです。
ある報告では、正答率は60%とも言われています。

 本院でお願いしている病理検査の病理医の先生は
針検査、細胞診は行いませんという方もいらっしゃいます。
理由は、やはり誤診が多くなるからだとおっしゃっていました。

 もちろん、細胞診で確定診断が出ることも多々ありますが、
皮膚の腫瘍、肝臓の腫瘍などは、判定に困ることもあります。

 飼主さんも、皮膚病だと思い、診察されていましたが、
心配で来院され、手術まで行い、安心されています。

 術後、10日後、抜糸をおこない、現在は、毛も生えて来て
手術をされて良かったとおっしゃています。
 病理の結果、転移もなく、再発もないので、
飼主さんは安心されています。

 皮膚のしこりは必ずしも、悪性の腫瘍ではないですが、
治りの悪い、しこり、皮膚病は、腫瘍を疑ったほうが良いのかも
しれませんね。

 
パピヨンの脊髄神経に発生した腫瘍の外科手術
 パピヨンが後肢を麻痺で来院されることは少なく、
Fブル、Mダックス、Wコーギーが多く来院されます。

 パピヨンの場合、関節疾患がほとんどで、
飼主さんは、後肢をかばうとか、足を上げているとおっしゃいます。

 この子は、以前から、眼の網膜萎縮症で来院されており、
見えないながらも、とても活発に生活していました。

 しかし、数日前からヨロヨロしたり、食欲が無くなり
飼主さんは心配になり、来院されました。

 診察では、神経学的検査で腰の異常を認め、
脊髄、脊椎の疾患を疑い、飼主さんとお話を行いました。
飼主さんも、確定診断を行いたいと希望されたので、
大学病院でMRI検査をおこなうことになりました。
検査は、初診から2日目のことでした。

 結果は、脊髄神経に腫瘍のようなものが出来ていることが
分かりました。
 どういった腫瘍かは、手術時に確認できますが、
術前に検査が難しい場所であることを飼主さんにお話しました。

 飼主さんは、ご夫婦ともに、手術、病理検査を希望され、
検査から2日後に、手術となりました。

 手術は飼主さんも別室でお待ちしていただき、
ラミネクトミー、ヘミラミの両方を行い、患部を開けました。

これがラミネクトミーを行っている術中写真です。

脊髄腫瘍 ベントラル

 この後、ヘミラミでさらに、脊髄神経を見やすくします。
今回は、神経の腫瘍を切除するのが目的なので、かなり大きく
切開、開創します。

 ヘミラミ

 この状況からさらに、拡大切除します。

 ヘミラミ 拡大

 脊髄神経が目視できる状態です。
硬膜を切開し、MRIでエンハンスしていた場所を確認します。

 硬膜切開

 硬膜を切開すると、炎症を伴う脊髄神経が確認できました。
腫瘍と思われる組織を一部取り、院内で、病理検査を行います。
その結果、やはり腫瘍が考えられました。
飼主さんに、手術で腫瘍をすべて
取り除くことが難しいですが、歩けなくなることが無いように
するため、部分切除を行うことを相談しました。

 飼主さんも顕微鏡を見ていただき、さらに、腫瘍の説明を行い、
納得されましたので、神経障害のないレベルで切除しました。

 腫瘍切除

 手術は2時間と長くなりましたが、
10歳とは思えないくらい、早く、麻酔から覚めました。
 飼主さんも覚めたワンちゃんと面会された後、安心され帰宅されました。

 術後は、モルヒネのような鎮痛剤を使用し、痛みを
可能な限り感じさせず、2日間の入院となりました。

 手術から2日後に、歩けるくらいまで、改善し
飼主さんも大喜びで一緒に帰宅され、現在は、自宅療養中です。
 自宅ではリハビリを行っていただいています。

 腫瘍は、病理の結果、抗がん剤や放射線療法が効果の少ない腫瘍でした。
今後は、飼主さんと相談のうえ、治療と経過を診ていくことになりました。

 初診から、手術まで4日で終わる、動物医療でも
人の医療でもないくらい、早期診断、早期治療ができた子でした。

 これも、飼主さんの協力と、大学病院の協力の賜物です。

 退院後、すっかり元気になり、元気な姿を病院に見せてくれるので
とても安心しております。
 

copyright 2005-2007 新千歳動物病院のブログ all rights reserved. powered by FC2ブログ. designed by sherrydays.