新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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ツルーカットという病理検査法
 癌、ポリープといった、体にできる腫瘤の悪性、良性の判断には
必ず、病理検査という顕微鏡検査が必要になります。

 この病理検査には、針生検といって、細い針で腫瘍を刺し、
針の中に入った腫瘍細胞を病理検査に出して、結果を確認する方法。

 腫瘍自体を、麻酔下で取り出す生検。

 今回、お話しするツルーカットがあります。
ツルーカットは麻酔の必要がなく、針生検よりも
多く材料が取れるので、その分、より正確な検査ができるといわれています。

 ツルーカット


 また、肝臓がんなどの腫瘍は、細胞が変性しやすく、
病理検査が難しい腫瘍なので、FNA、針生検のような検査では
診断の精度が落ちるとも言われています。

 本院では、肝臓がん、脾臓の腫瘍など腹腔内の腫瘍は
超音波を見ながらフリーハンドでツルーカットを行います。
直径1cm位までなら検査が可能です。

 今回は、雑種の大型犬で急に頭の皮膚が大きくなったと来院されました。
リンパ節などの腫れもなく、外傷もなく、腫瘍性、もしくは、
アレルギー性の疾患を強く疑いました。

 飼主さんと相談のうえ、病理検査を行うことになりました。
おとなしい子は、麻酔や鎮静が必要なく、ツルーカットを用いた
検査が可能です。

 ツルーカット 1

 この検査により、今まで針で検査していた病理検査が
さらに、診断精度が上がり、かつ、正確なけんさが 可能となりました。
腫瘍の術前、病理検査は画像診断と並び、手術に対して、手術法、
手術時間、予後などを決めるとても大切な検査です。

 本院でも飼主さんと相談のうえ、ツルーカットを用いるか、
針を用いた検査を行うか、一部を切除するか決めています。

 病理検査の重要性が動物医学でも高まり、
現在は、遺伝子診断も行っております。
 本院でも遺伝子診断を4社と協力し、行っております。
遺伝子診断に関しては、また、ブログで書きたいと思っております。

 

 
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犬の精巣腫瘍(間細胞腫)の外科手術
 去勢を行っていない犬で、お年を召してくると
タマタマが大きくなったと来院されることが少なくありません。

 この子は、14歳のシーズーで、かかりつけの先生に診ていただき、
手術が必要かもと言われ、心配でセカンドオピニオンに来院されました。
セカンドオピニオンとは、かかりつけ、もしくは、1件目の病院で診察、
診断された後に、心配があったり、相談事があった場合、1件目とは異なる
病院に行き、相談、検査を行うことです。
 本院でもセカンドオピニオンと勧めています。

 精巣腫瘍 術前1

 診察をさせていただき、明らかに精巣が大きくなり、片側だけ大きいように見えますが、
じつは、両方の精巣が大きくなっています。

 精巣腫瘍 術前2

 精巣腫瘍の多くが間細胞腫という、両性の腫瘍、いわゆる癌ではありません。
また、高齢の去勢していない犬に多く発生します。
 精巣腫瘍の40%がこの腫瘍とも言われています。

 精巣腫瘍の手術のアプローチは、術前に病理検査を行うか、行わないかで変わってきます。
人の場合、術前の病理検査はほとんどの場合、行いますが、動物の場合、
お金の問題、痛みの問題、麻酔の問題などを解決しないと、人と同じようには
病理検査ができません。

 この子は、術前の病理検査は行わない形で、手術になりました。
手術は、術前検査をさせていただき、、麻酔のリスク判断を行いました。
 手術は、精巣の状態を見て、陰嚢(玉袋)もしくは、総漿膜といって、
精巣を取り囲むように保護している膜を切除するか決めています。
 この子は、癒着などはなく、切除可能だったので、精巣のみ切り取りました。
術前検査でも、転移は認められませんでした。

 切り取った精巣は、このよに、片側のみ大きくなっているようにみえますが、
病理検査では、両方の精巣が腫瘍化していました。

 精巣腫瘍 術後 病理

 手術時間は15分と早く、麻酔からもすぐに覚醒し、
14歳のシーズーとは思えないくらい元気で、当日にお返し可能でした。 
手術後、飼主さんと一緒に歩いて帰宅されました。
翌日から、食欲もバリバリあり、すごく元気だと
術後、飼主さんは喜ばれていました。
 年を召してきて、麻酔の心配もされていましたが、
手術もすぐに終わり、半日で退院でき、安心されていました。

 去勢をしないと、必ず、精巣が腫瘍化するとは限りません。
でも、去勢をしていると、精巣の腫瘍はありません。

 年を召したから、ヨボヨボなので、手術は・・・
麻酔は・・・と考えることは重要なことです。
でも、年齢に関係なく、手術を受けられたり、治療を受けることが
現在の医療レベルでは可能になっています。
 
 
 
犬の脳梗塞
 人の死亡原因、第3位である、脳卒中が犬にもあることは
あまり知られていません。
脳卒中の原因には脳出血、クモ膜下出血、脳梗塞があります。

2006年の厚生労働省発表によると年間約12.7万人が脳卒中が死因で亡くなっており、
うち6割が脳梗塞であると報告されています。
また6割のうち5~10%が1年以内に脳梗塞を再発する危険性があるともいわれています。

 さて、犬の場合は、人と同様なのでしょうか?
犬の場合、脳梗塞は見つけにくいので、発症率が把握できないようです。

小脳 脳梗塞

この子は、5歳のMダックスの女の子で、急に吐き気があり
右に倒れるようになり、心配で来院されました。
 MRIの画像診断で、小脳の部分に梗塞が認められます。
左側に梗塞病変が認められることから、右側に傾く傾向がありました。
 
 脳梗塞は、外観、症状から判断することは難しく、
やはり、MRIなどの画像診断に頼ることが多い疾患です。
 本院でも、発作がある、ケイレンを起こす、頭が傾く、
目が揺れているなどの症状を示し、来院される方は多くいます。

 そのほとんどが、急性で、かつ飼主さんは、かなりの不安を感じ
来院されます。
 悪化するのか、良くなるのか、この状態は改善するのか、不安ばかりです。
本院でも、可能な限り、飼主さんの不安を取り除くため、
画像診断を行っています。
 ただ、画像診断の問題点は、麻酔が必要なこと、画像診断が¥7~8万かかること。
MRIは、大学病院しか近くにないことなど、まだまだ、簡単にかいかないこともあります。
しかし、飼主さんと相談のうえ、お金の問題、時間の問題など
すべて考慮し、飼主さんも希望されたため、発症後、すぐにMRIを受けることができました。

 今回の小脳の脳梗塞は、日が経つにつれ、改善しています。
人と同じように、脳梗塞が起こることは分かっていますが、
人と同じような症状、また治療法、後遺症があるかは、今後の研究により
詳しくなっていくと思われます。

 この子の飼主さんも、MRIの結果を見て、安心されたようです。
脳梗塞の場合、ほとんどの子が72時間以内に改善しています。
 現在は歩けるようになり、日々、改善しているので、
自宅療養を行っています。

 後遺症が無いようなので、僕も飼主さんも安心しています。
この子のように、すぐにMRIが撮れて診断が出る子は良いですが、
時間、お金の問題などで診断を受けれない脳疾患の子もたくさん来院されています。
今後は、人のように簡単に、誰でもMRI検査が受けれるようになる日が来るのを
待っている、開業獣医師でした。

半導体レーザーを用いた無麻酔の皮膚腫瘍の手術
 年々、皮膚にイボができたワンちゃんの来院が多くなっています。
以前までは、局所麻酔、全身麻酔を使用し、外科的に切除していました。
その後、液体窒素を利用した無麻酔の切除を行い、飼主さんからも
喜ばれていました。
 本年から、半導体レーザーを利用し、無麻酔で皮膚の腫瘍を切除可能になりました。

 この子は、12歳のシーズーで皮膚に良性の腫瘍が多数できています。

皮膚 術前

 このように、小さなイボが数個ありますが、全身では
30個近く、イボがありました。

 昨年までは、麻酔をかけて腫瘍を切除していましたが、1年で経つとまた、
異なる部位に出来るので、いたちごっこになっていました。
 飼主さんも、やはり高齢の麻酔を心配されていました。

 そこで、半導体レーザーを使用し、イボを蒸散してしまいます。
切り取るというより、蒸発させるいうことになります。
数百度になるで、ワンちゃんは熱いより、ピリッとした感じなのでしょう。
念のため、痛がる子には局所麻酔を使用したり、事前に冷やしておいたりもします。

 レーザーを当てる時間は数秒で終了します。
この子は、元々、おとなしい子なので、すべてのイボの治療で数分で終了しました。
施術後はこのようになっています。

 皮膚腫瘍 術後

 なんとなく、イボがあったところは分かりますが、
飼主さんは、とても喜ばれていました。
 麻酔前の検査も必要なく、朝ごはんも食べれて、術後も元気にしていました。
もちろん、手術よりも診療費は安くなります。

 ワンちゃんにとっても飼主さんにとっても良いことばかりです。
問題点はないのでしょうか?
 1.大きな腫瘍は、やはり外科的に切除するほうが良いでしょう。
 2.悪性の腫瘍に関しても、マージンをとって切除すべきでしょう。
 3.元気な子には不向きでしょう(じっとして頂くことが前提に)なるので)

 上記に当てはまらないと、ほとんどの症例に使えるかと思います。
本院では、事前に、イボの性状、診断をつけてから、飼主さんの同意を得て
行っております。
 
 お年を召したワンちゃん、エキゾチックの飼主さんに好評を得ています。
人と同様に、どんどん新しい技術、医療器具が開発されています。
 それらを使用することにより、動物と飼主さんに負担が減ればと考えています。

犬の椎間板ヘルニアの手術の時期
 犬の椎間板ヘルニア手術にいつ踏み切るかは
獣医師と飼主さんと相談のうえ、決めることがほとんどです。

 現在、椎間板ヘルニアにはグレードを症状から分類しています。

 グレードⅠ:疼痛・知覚過敏
 グレードⅡ:歩様失調、姿勢反応の異常
       自力歩行が可能な不全麻痺
 グレードⅢ:自力歩行が不可能な不全麻痺
 グレードⅣ:対完全麻痺、排尿制御失調
       深部痛覚あり
 グレードⅤ:対完全麻痺、排尿制御失調
       深部痛覚なし

 本院では手術を行う場合、グレードⅡから行っております。
逆に、グレードⅤの症例でも手術を行わないこともあります。
 では、その選択はどうしているのでしょうか?
 画像診断、神経学的検査、飼主さんの意見です。
この3点を重視し、手術に踏み切るか、もしくは、内科療法を行うか決定しています。

 今まで、グレードⅤの症例で手術を行わず、何とか歩けるようになった症例もいます。
しかし、文献的には手術を行わないと高率で歩けない状態が続くと言われています。

 ヘルニア=手術 ではありません。
本院でも、内科療法を行い、ほとんどの患者さんが歩けるようになっています。
 内科療法には
・ステロイド
・エラスポール
・エキソコルポール
・ビタミン剤
・サプリメント などがあります。

 本院では上記の薬に半導体レーザーとケージレストを組み合わせて
内科療法を行っています。

 今回のヘルニアの子は、1年前にヘルニアと診断し、内科療法で改善し、
その半年後に再発し、これも内科療法で改善し、3回目の再発で手術を行った子です。

 グレードはⅡで、歩くことは可能なMダックスでしたが、
今までのように、痛みが引くことが無く、飼主さんも心配され、
CTでの画像診断を行いました。

CTでの結果は、椎間板物質が髄腔の50%を占めており
すぐにでも手術をしたほうが良いということでした。
飼主さんも、歩けるワンちゃんを見ていて、手術は・・・と
考えていたようですが、CTの画像をご覧になり、手術を決められました。

 手術は、飼主さん立合いの下、関節突起を3個、椎弓を2個
かなり大掛かりに手術を行いました。

ヘルニア術中

 手術が終わるまで飼主さんはワンちゃんの側に居て頂き、
帰宅は手術後2日で退院となりました。

 手術後、2日後には歩けるようになり、毎日、
飼主さんは喜んでリハビリをしています。
 また、術後は、半導体レーザーで理学療法を、
自宅では、リハビリをしていただいています。

 術後の早期の帰宅と、術後の回復に早さを見て
飼主さんも、すごく喜ばれています。

 ヘルニアになったときは、獣医師とよく相談し、
グレードに関係なく、手術、内科療法、理学療法を
考えれると良いでしょうね。
猫の停留精巣(cryptochidism)の発生率
 猫の去勢を望まれて来院されるネコちゃんの飼主さんには
ここ数年、猫の停留精巣(潜在精巣・陰睾)が多くなっているので
必ず、タマタマを触診させて頂いています。

 本院では去勢や不妊手術を強制することはありませんが、
ネコちゃんの飼主さんの多くが病気のこと、外に出たがること、
家の中でマーキングをすることなどから希望される方がほとんどです。

 この子も、去勢手術を希望され来院された1歳のMIXネコちゃんでした。
本院の獣医師は去勢を行う、すべての犬、猫、ウサギ、モルモットの精巣を手術前に
必ず、触診を行います。

 この子の場合も、術前検査を行い、血液検査、心電図、レントゲンでは異常を
認めなかったのですが、タマタマがあるべき所にありません。。。

 超音波検査などを行う場合もありますが、この子は皮膚の下に引っかかっていました。
写真で見ると、指でつまんでいるのが、皮膚の下にひっかかった精巣です。

 猫の皮下精巣 術前

 普通は、玉袋に2個の精巣が入っています。
ところが、この子は1個しか入っておらず、皮膚の下にありました。

 手術は、陰嚢の切開と皮膚の切開を行い、
皮膚の下にある精巣を取り出し、半導体レーザーで切除します。

 猫の皮下精巣 術中

 切り取った精巣はこのように若干、大きさが違います。
皮膚の下にあった精巣は、若干、小さいのが分かるかと思います。
腫瘍化はしておらず、無事、切除できました。

 猫の皮下精巣 術中
 
 現在、猫、犬において、停滞精巣、停留精巣、陰睾と呼ばれる疾患の発生率は
海外の論文で発表されています。
 これは、イギリスの動物病院で実施された、大掛かりな報告です。

 Incidence of cryptorchidism in dogs and cats.
  Yates D, Hayes G, Heffernan M, Beynon R.
RSPCA Greater Manchester Animal Hospital, 411 Eccles New Road, Salford M5 5NN.
Over a period of 54 months, 3518 dogs and 3806 cats were castrated; 240 of the dogs and 50 of the cats were cryptorchid.

  猫は3808頭のうち、停留精巣は 50頭いた事になるようです。
ということは、1000頭分の1頭です。
 要約すると、犬の発生率は 1%程度
       猫の発生率は 0.1%程度


 しかし、本院での発生率は、もっと高いように思えます。

 手術は、皮膚の下にあるタイプと、お腹にあるタイプと、
また、超音波で分かっているタイプ、CTなどを使用しても
分かりにくいタイプと様々です。
 手術も、先生の経験などにより、異なるので、担当獣医師と相談してみてください。

 この子は、飼主さん立会いの下、手術が行われました。
飼主さんは、初めて手術に立ち会うことを心配されていましたが、
手術を終えられ、出血も少なく、麻酔からも早く覚められ、安心されていました。
 また、本院では、精巣が正常な位置にない手術は
可能な限り、飼主さんの立会いをお願いしています。
 無理な場合は、他の部屋で手術の状況を確認できるようにもなっています。

 無事に、手術が終わりよかったですね。

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