北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。
プロフィール
Author:動物病院 院長
関西出身 48歳 獣医学博士 獣医麻酔外科学会 評議員 獣医腫瘍学会 獣医皮膚科学会 妻、子供、犬4頭、猫2頭、フェレット1匹 と暮らしています。 趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
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癌、ポリープといった、体にできる腫瘤の悪性、良性の判断には 必ず、病理検査という顕微鏡検査が必要になります。 この病理検査には、針生検といって、細い針で腫瘍を刺し、 針の中に入った腫瘍細胞を病理検査に出して、結果を確認する方法。 腫瘍自体を、麻酔下で取り出す生検。 今回、お話しするツルーカットがあります。 ツルーカットは麻酔の必要がなく、針生検よりも 多く材料が取れるので、その分、より正確な検査ができるといわれています。 また、肝臓がんなどの腫瘍は、細胞が変性しやすく、 病理検査が難しい腫瘍なので、FNA、針生検のような検査では 診断の精度が落ちるとも言われています。 本院では、肝臓がん、脾臓の腫瘍など腹腔内の腫瘍は 超音波を見ながらフリーハンドでツルーカットを行います。 直径1cm位までなら検査が可能です。 今回は、雑種の大型犬で急に頭の皮膚が大きくなったと来院されました。 リンパ節などの腫れもなく、外傷もなく、腫瘍性、もしくは、 アレルギー性の疾患を強く疑いました。 飼主さんと相談のうえ、病理検査を行うことになりました。 おとなしい子は、麻酔や鎮静が必要なく、ツルーカットを用いた 検査が可能です。 この検査により、今まで針で検査していた病理検査が さらに、診断精度が上がり、かつ、正確なけんさが 可能となりました。 腫瘍の術前、病理検査は画像診断と並び、手術に対して、手術法、 手術時間、予後などを決めるとても大切な検査です。 本院でも飼主さんと相談のうえ、ツルーカットを用いるか、 針を用いた検査を行うか、一部を切除するか決めています。 病理検査の重要性が動物医学でも高まり、 現在は、遺伝子診断も行っております。 本院でも遺伝子診断を4社と協力し、行っております。 遺伝子診断に関しては、また、ブログで書きたいと思っております。
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人の死亡原因、第3位である、脳卒中が犬にもあることは あまり知られていません。 脳卒中の原因には脳出血、クモ膜下出血、脳梗塞があります。 2006年の厚生労働省発表によると年間約12.7万人が脳卒中が死因で亡くなっており、 うち6割が脳梗塞であると報告されています。 また6割のうち5~10%が1年以内に脳梗塞を再発する危険性があるともいわれています。 さて、犬の場合は、人と同様なのでしょうか? 犬の場合、脳梗塞は見つけにくいので、発症率が把握できないようです。 この子は、5歳のMダックスの女の子で、急に吐き気があり 右に倒れるようになり、心配で来院されました。 MRIの画像診断で、小脳の部分に梗塞が認められます。 左側に梗塞病変が認められることから、右側に傾く傾向がありました。 脳梗塞は、外観、症状から判断することは難しく、 やはり、MRIなどの画像診断に頼ることが多い疾患です。 本院でも、発作がある、ケイレンを起こす、頭が傾く、 目が揺れているなどの症状を示し、来院される方は多くいます。 そのほとんどが、急性で、かつ飼主さんは、かなりの不安を感じ 来院されます。 悪化するのか、良くなるのか、この状態は改善するのか、不安ばかりです。 本院でも、可能な限り、飼主さんの不安を取り除くため、 画像診断を行っています。 ただ、画像診断の問題点は、麻酔が必要なこと、画像診断が¥7~8万かかること。 MRIは、大学病院しか近くにないことなど、まだまだ、簡単にかいかないこともあります。 しかし、飼主さんと相談のうえ、お金の問題、時間の問題など すべて考慮し、飼主さんも希望されたため、発症後、すぐにMRIを受けることができました。 今回の小脳の脳梗塞は、日が経つにつれ、改善しています。 人と同じように、脳梗塞が起こることは分かっていますが、 人と同じような症状、また治療法、後遺症があるかは、今後の研究により 詳しくなっていくと思われます。 この子の飼主さんも、MRIの結果を見て、安心されたようです。 脳梗塞の場合、ほとんどの子が72時間以内に改善しています。 現在は歩けるようになり、日々、改善しているので、 自宅療養を行っています。 後遺症が無いようなので、僕も飼主さんも安心しています。 この子のように、すぐにMRIが撮れて診断が出る子は良いですが、 時間、お金の問題などで診断を受けれない脳疾患の子もたくさん来院されています。 今後は、人のように簡単に、誰でもMRI検査が受けれるようになる日が来るのを 待っている、開業獣医師でした。
年々、皮膚にイボができたワンちゃんの来院が多くなっています。 以前までは、局所麻酔、全身麻酔を使用し、外科的に切除していました。 その後、液体窒素を利用した無麻酔の切除を行い、飼主さんからも 喜ばれていました。 本年から、半導体レーザーを利用し、無麻酔で皮膚の腫瘍を切除可能になりました。 この子は、12歳のシーズーで皮膚に良性の腫瘍が多数できています。 このように、小さなイボが数個ありますが、全身では 30個近く、イボがありました。 昨年までは、麻酔をかけて腫瘍を切除していましたが、1年で経つとまた、 異なる部位に出来るので、いたちごっこになっていました。 飼主さんも、やはり高齢の麻酔を心配されていました。 そこで、半導体レーザーを使用し、イボを蒸散してしまいます。 切り取るというより、蒸発させるいうことになります。 数百度になるで、ワンちゃんは熱いより、ピリッとした感じなのでしょう。 念のため、痛がる子には局所麻酔を使用したり、事前に冷やしておいたりもします。 レーザーを当てる時間は数秒で終了します。 この子は、元々、おとなしい子なので、すべてのイボの治療で数分で終了しました。 施術後はこのようになっています。 なんとなく、イボがあったところは分かりますが、 飼主さんは、とても喜ばれていました。 麻酔前の検査も必要なく、朝ごはんも食べれて、術後も元気にしていました。 もちろん、手術よりも診療費は安くなります。 ワンちゃんにとっても飼主さんにとっても良いことばかりです。 問題点はないのでしょうか? 1.大きな腫瘍は、やはり外科的に切除するほうが良いでしょう。 2.悪性の腫瘍に関しても、マージンをとって切除すべきでしょう。 3.元気な子には不向きでしょう(じっとして頂くことが前提に)なるので) 上記に当てはまらないと、ほとんどの症例に使えるかと思います。 本院では、事前に、イボの性状、診断をつけてから、飼主さんの同意を得て 行っております。 お年を召したワンちゃん、エキゾチックの飼主さんに好評を得ています。 人と同様に、どんどん新しい技術、医療器具が開発されています。 それらを使用することにより、動物と飼主さんに負担が減ればと考えています。
犬の椎間板ヘルニア手術にいつ踏み切るかは 獣医師と飼主さんと相談のうえ、決めることがほとんどです。 現在、椎間板ヘルニアにはグレードを症状から分類しています。 グレードⅠ:疼痛・知覚過敏 グレードⅡ:歩様失調、姿勢反応の異常 自力歩行が可能な不全麻痺 グレードⅢ:自力歩行が不可能な不全麻痺 グレードⅣ:対完全麻痺、排尿制御失調 深部痛覚あり グレードⅤ:対完全麻痺、排尿制御失調 深部痛覚なし 本院では手術を行う場合、グレードⅡから行っております。 逆に、グレードⅤの症例でも手術を行わないこともあります。 では、その選択はどうしているのでしょうか? 画像診断、神経学的検査、飼主さんの意見です。 この3点を重視し、手術に踏み切るか、もしくは、内科療法を行うか決定しています。 今まで、グレードⅤの症例で手術を行わず、何とか歩けるようになった症例もいます。 しかし、文献的には手術を行わないと高率で歩けない状態が続くと言われています。 ヘルニア=手術 ではありません。 本院でも、内科療法を行い、ほとんどの患者さんが歩けるようになっています。 内科療法には ・ステロイド ・エラスポール ・エキソコルポール ・ビタミン剤 ・サプリメント などがあります。 本院では上記の薬に半導体レーザーとケージレストを組み合わせて 内科療法を行っています。 今回のヘルニアの子は、1年前にヘルニアと診断し、内科療法で改善し、 その半年後に再発し、これも内科療法で改善し、3回目の再発で手術を行った子です。 グレードはⅡで、歩くことは可能なMダックスでしたが、 今までのように、痛みが引くことが無く、飼主さんも心配され、 CTでの画像診断を行いました。 CTでの結果は、椎間板物質が髄腔の50%を占めており すぐにでも手術をしたほうが良いということでした。 飼主さんも、歩けるワンちゃんを見ていて、手術は・・・と 考えていたようですが、CTの画像をご覧になり、手術を決められました。 手術は、飼主さん立合いの下、関節突起を3個、椎弓を2個 かなり大掛かりに手術を行いました。 手術が終わるまで飼主さんはワンちゃんの側に居て頂き、 帰宅は手術後2日で退院となりました。 手術後、2日後には歩けるようになり、毎日、 飼主さんは喜んでリハビリをしています。 また、術後は、半導体レーザーで理学療法を、 自宅では、リハビリをしていただいています。 術後の早期の帰宅と、術後の回復に早さを見て 飼主さんも、すごく喜ばれています。 ヘルニアになったときは、獣医師とよく相談し、 グレードに関係なく、手術、内科療法、理学療法を 考えれると良いでしょうね。
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