北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。
プロフィール

Author:動物病院 院長
関西出身 48歳
獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員
獣医腫瘍学会
獣医皮膚科学会
日本獣医師会
札幌小動物獣医師会
妻、子供、犬3頭、猫2頭、フェレット1匹
と暮らしています。
趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー
自転車
バイク
川下り
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毎年、狂犬病や5種、8種、9種といった犬用の混合ワクチンを
接種されている方が多くいらっしゃいます。
本院でも、毎日のように、ワクチン接種を行っています。
その際、ワクチンを接種した後に、ワクチンアレルギーが起こるかも
知れないので、接種後はワンちゃんをよく見ていてくださいとお話します。
この子も、毎年、ワクチン接種にいらっしゃいっていました。
今回も、ワクチン接種後にアレルギーが起こるかも知れないので
様子を見ていてくださいと伝えました。
ワクチン接種後、1時間くらいして飼主さんからお電話がありました。
「先生、なんか元気なく、顔が腫れてきたかも」と。
きっと、ワクチンアレルギーなので、時間があれば、来院してくださいとお伝えしました。
ワクチンアレルギーとは、ワクチンに入っているアジュバンドという物質に
体の免疫が反応し、起こる副作用です。
このように、お顔が腫れています。

この副作用には、とても危険なものと、あまり危険でないものがあります。
とくに、重要なのがアナフィラキシーといって、
注射して、数分で起こるショック状態を呈したアレルギーです。
本院では、人の予防接種と同様に接種後、5分以上は病院で待機していただきます。
この間に、何か症状が出ても、病院であれば、処置が可能であり、かつ、治癒できます。
しかし、自宅での対処法は何も無いのが現状です。
もうひとつの危険ではないアレルギーとは?
本院でも年に数回、起こりますが、
ムーンフェイス(顔面の腫脹)痒み、ムクミ、震え、嘔吐など
いろいろな症状が認められます。
ワクチンアレルギーは、ほとんどの場合、
接種してから12時間以内に起こることが多く、
翌日に起こることは少ないといわれています。
この子は、別の状況で顔面が腫れて
お顔がお月様のように腫れています。
いわゆる、ムーンフェースです。

ワクチンは、人も犬もフェレットもワクチンアレルギーが起こる可能性があります。
ワクチンの種類よりも、その子のもつ、感受性によるところが多いのかも知れません。
まずは、ワクチンアレルギーのことを良く知り、
担当の獣医師と相談のうえ、接種の後のお話をされてください。
また、以前にワクチンアレルギーが起こった経験のある飼主さんは、
接種前に、担当獣医師と相談のうえ、投薬後の接種、ワクチンの変更など
ご相談され、安全に接種をされると良いと思います。
今回、お顔が腫れたワンちゃんたちは翌日には元気にしていました。
飼主さんも、ビックリされていました。
病名を聞いて、安心されていました。
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毎日、様々な病気で来院されます。
この子は、15歳になる、雑種のワンちゃんで、
先ほどまで元気で、食欲もあり、別に病気なんて無いと飼主さんは
思われていたようです。
でも、自宅で急にいきなり倒れて来院されました。
診察台では、しっぽを振って、喜んでいますが、
実際は、低血圧になり、虚脱をお越し来院されたのです。
人と同じように、犬や猫にも高血圧、低血圧があり、
動物の血圧を専用で測定する器具も発売されています。
飼主さんに、血圧の低下による、虚脱であることをお伝えし、
低血圧になる、原因を何点か説明し、年齢、犬種、今までの病気などから
考えられる疾患をお話しました。
血液検査、レントゲン、超音波検査にて虚脱の原因が分かりました。
虚脱の原因は、脾臓の腫瘍でした。
脾臓は、後大静脈の近くで肝臓と癒着し、直径8cm大になっていました。
手術前検査のときは、さらに、心電図を行い、手術をしますが、
今回は、虚脱を伴い、さらに、超音波検査で肝臓に癒着を起こしているため、
事前に、CT検査も行いました。
結果は、他の臓器への転移も認めず、さらに、後大静脈への癒着もありませんでした。
術前検査では、軽度の貧血と悪性を示唆する病理結果が出ていましたが、
手術に問題は無いので、手術が行われました。
手術中の写真になります。

切除した脾臓はこのように、大きな腫瘍ができており、
病理検査に出しています。

現在は、無事に退院され、元気に過ごしています。
飼主さんも、今まで元気に過ごしていたのに、急に倒れてビックリされたと思います。
元気だから、病院に行かないというのは、人も同じですが、
ある程度の年齢になったら、人と同じように、健康診断を行うのも良いかもしれませんね。
でも、病気が分かるのが怖いという方もいらっしゃるので、
そのあたりは、微妙でしょうか。
発症の日に診断が付き、手術も無事に終了し、
1日の入院で済んでよかったですね。
飼主さんも15歳の高齢なので、手術に関しても心配されていましたが、
退院後も元気に過ごせているので、安心されたようです。
抜糸まで、ご自宅でゆっくりとしてくださいね。
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