新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

犬のワクチンアレルギー
 毎年、狂犬病や5種、8種、9種といった犬用の混合ワクチンを
接種されている方が多くいらっしゃいます。
 本院でも、毎日のように、ワクチン接種を行っています。
その際、ワクチンを接種した後に、ワクチンアレルギーが起こるかも
知れないので、接種後はワンちゃんをよく見ていてくださいとお話します。

 この子も、毎年、ワクチン接種にいらっしゃいっていました。
今回も、ワクチン接種後にアレルギーが起こるかも知れないので
様子を見ていてくださいと伝えました。
 ワクチン接種後、1時間くらいして飼主さんからお電話がありました。
「先生、なんか元気なく、顔が腫れてきたかも」と。
きっと、ワクチンアレルギーなので、時間があれば、来院してくださいとお伝えしました。
ワクチンアレルギーとは、ワクチンに入っているアジュバンドという物質に
体の免疫が反応し、起こる副作用です。

このように、お顔が腫れています。
ワクチンアレルギー2


 この副作用には、とても危険なものと、あまり危険でないものがあります。
とくに、重要なのがアナフィラキシーといって、
注射して、数分で起こるショック状態を呈したアレルギーです。
 本院では、人の予防接種と同様に接種後、5分以上は病院で待機していただきます。
この間に、何か症状が出ても、病院であれば、処置が可能であり、かつ、治癒できます。

 しかし、自宅での対処法は何も無いのが現状です。
もうひとつの危険ではないアレルギーとは?
 本院でも年に数回、起こりますが、
ムーンフェイス(顔面の腫脹)痒み、ムクミ、震え、嘔吐など
いろいろな症状が認められます。
 
 ワクチンアレルギーは、ほとんどの場合、
接種してから12時間以内に起こることが多く、
翌日に起こることは少ないといわれています。

 この子は、別の状況で顔面が腫れて
お顔がお月様のように腫れています。
いわゆる、ムーンフェースです。

 ワクチンアレルギー 2

  ワクチンは、人も犬もフェレットもワクチンアレルギーが起こる可能性があります。
ワクチンの種類よりも、その子のもつ、感受性によるところが多いのかも知れません。

 まずは、ワクチンアレルギーのことを良く知り、
担当の獣医師と相談のうえ、接種の後のお話をされてください。

 また、以前にワクチンアレルギーが起こった経験のある飼主さんは、
接種前に、担当獣医師と相談のうえ、投薬後の接種、ワクチンの変更など
ご相談され、安全に接種をされると良いと思います。

 今回、お顔が腫れたワンちゃんたちは翌日には元気にしていました。
飼主さんも、ビックリされていました。
 病名を聞いて、安心されていました。
スポンサーサイト
モルモットのアポクリン腺癌の外科手術
 モルモットを飼育されている方が増えています。
エキゾチックはハムスター、フェレット、小鳥、ウサギがメインでしたが
欧米のように、モルモットを飼われる方が多いように思えます。
 本院でも、モルモットの患者さんが増加しています。
とくに、皮膚病から外科手術が必要なものまで、多種多様になっています。

 この子は、6歳の男の子のモルモットで、数カ月前から皮膚に腫瘍があり、
最近、床に触れて出血をすると来院されました。
 診察をすると、皮膚の腫瘍が大きくなり、先端の部分から出血しています。
飼主さんと、手術に対する、麻酔のリスクをお話し、術前検査を行いました。
レントゲン、血液検査ではとくに異常は無く、飼主さん立会いの下、
腫瘍切除の外科手術が行われました。

手術前はこのように、かなり大きくなっており、腫瘍の先端から
出血もありました。

 アポクリン腺癌 術前

 アポクリン腺癌 術前  2

 手術を行わないと、毎日、腫瘍と床が摺れて出血を起こします。
しかし、年齢が6歳と高齢になっているので、飼主さんも手術には
かなり、慎重になっていました。
 手術には、術前検査を行い、血液検査、レントゲン、超音波検査を行い、
手術の概要、術後の注意点など、また、金銭的なお話を行い、飼主さん立会いの下、
手術が行われました。

 手術は、点滴の確保、術部の毛刈り、消毒が行われ、
麻酔が管理できた状態で、始められました。
 
 アポクリン腺 術中1

 手術は、皮膚の切開から、出血を伴うため、止血と切開が同時に行える
半導体レーザーを用い、行われます。
 手術は、血管の豊富な腫瘍の外科なので、
一般的な手術器具で行うより、出血量も少なく、安全に行えます。

 アポクリン腺 術中2

 周囲から腫瘍を剥離し、栄養血管を残し、この血管はかなり出血するので、
吸収糸で縫合し、さらに、半導体で切り離します。
 
 切り取ったものは、病理検査に出し、
結果は『アポクリン腺癌』でした。
悪性の腫瘍病変で、病理の結果は転移(脈管浸潤は認めず)、さらに、
腫瘍境界も明瞭で、マージンも完全に切り取れていました。

 アポクリン腺 病理

 皮下は吸収糸で縫合し、皮膚はステープラーという
糸での縫合の代わりになる、医療用ホッチキスのようなもので留めています。

 アポクリン腺癌 術後
 
 術後は、麻酔から覚めるのを飼い主さんに確認していただき、
安心されてから、3時間くらい、点滴を行い、当日の夕方には帰宅となりました。
 
 術後は、元気に過ごしており、1週間後には抜糸?ステープラーを外して終了です。

 現在、この子は、何も無かったかのように元気にしており、
手術部位も気にせず、ご飯も食べています。

 飼主さんも、元気な姿をみて、手術をして良かったとお話をされています。
肝臓に癒着していた脾臓の腫瘍
 毎日、様々な病気で来院されます。
この子は、15歳になる、雑種のワンちゃんで、
先ほどまで元気で、食欲もあり、別に病気なんて無いと飼主さんは
思われていたようです。
 でも、自宅で急にいきなり倒れて来院されました。

 診察台では、しっぽを振って、喜んでいますが、
実際は、低血圧になり、虚脱をお越し来院されたのです。
 人と同じように、犬や猫にも高血圧、低血圧があり、
動物の血圧を専用で測定する器具も発売されています。
 飼主さんに、血圧の低下による、虚脱であることをお伝えし、
低血圧になる、原因を何点か説明し、年齢、犬種、今までの病気などから
考えられる疾患をお話しました。

 血液検査、レントゲン、超音波検査にて虚脱の原因が分かりました。
虚脱の原因は、脾臓の腫瘍でした。
脾臓は、後大静脈の近くで肝臓と癒着し、直径8cm大になっていました。
 手術前検査のときは、さらに、心電図を行い、手術をしますが、
今回は、虚脱を伴い、さらに、超音波検査で肝臓に癒着を起こしているため、
事前に、CT検査も行いました。
 結果は、他の臓器への転移も認めず、さらに、後大静脈への癒着もありませんでした。

術前検査では、軽度の貧血と悪性を示唆する病理結果が出ていましたが、
手術に問題は無いので、手術が行われました。
 手術中の写真になります。

脾臓腫瘍 腹内

切除した脾臓はこのように、大きな腫瘍ができており、
病理検査に出しています。

 脾臓腫瘍 病理

現在は、無事に退院され、元気に過ごしています。
飼主さんも、今まで元気に過ごしていたのに、急に倒れてビックリされたと思います。

 元気だから、病院に行かないというのは、人も同じですが、
ある程度の年齢になったら、人と同じように、健康診断を行うのも良いかもしれませんね。

 でも、病気が分かるのが怖いという方もいらっしゃるので、
そのあたりは、微妙でしょうか。

 発症の日に診断が付き、手術も無事に終了し、
1日の入院で済んでよかったですね。
飼主さんも15歳の高齢なので、手術に関しても心配されていましたが、
退院後も元気に過ごせているので、安心されたようです。
抜糸まで、ご自宅でゆっくりとしてくださいね。
重度の外耳道炎の垂直耳道切除術
 外耳道炎とは、犬や猫の鼓膜までの耳道で、いわゆる耳垢が溜まるところです。
この部分に、細菌や、酵母、食事アレルギーなどで、炎症が生じるのが外耳道炎です。

 日ごろの診察でも、多くの犬が来院されます。
とくに、耳を振る、耳を掻いている、耳がくさいと来院されます。

 この子は、小さい頃から外耳道炎を患い、近くの病院で
ずっと診察を続けていた大型犬です。
 自宅での治療は、小さい頃の耳の治療の痛みか、
嫌なことをされた思い出があり、飼主さんには一切、
耳を触らせない子になってしまったようです。

 耳の診察は、耳のかゆの原因物質を特定し、
さらに、原因物質を除去することから始まります。
 この子は、細菌性外耳炎で、原因菌は、E.coliといって大腸菌でした。
さらに、検査の際、感受性試験を行い、どの抗生剤が効果があるのかという検査を行います。

外耳道炎 術前 1


 結果、今まで使用されてきた抗生剤がほとんど効かず、耐性菌となっていました。
飼主さんに、結果をお伝えし、今後の方針を相談しました。

 1.抗生剤の飲み薬を使う。
 2.抗生剤の注射を行う。
 3.同時に耳の洗浄を行う。
 4.自宅での耳の洗浄を行う。
 5.外耳道を切除もしくは、全耳道切除を行う。

 飼主さんの希望は、1.と3.でした。
2.は可愛そう、4.自宅で耳を触らせないので無理。
5.これも可愛そうでした。

 治療は1.3を行うことになりました。
数ヶ月は、良い状態が続きましたが、お盆の頃から悪化し、
耳を掃除する、穴さえ無くなった状態になっていました。

手術前の検査を行い、12歳のご高齢でしたが、麻酔の管理に問題なく、
手術当日となりました。
 手術は、現在、慢性炎症で見えなくなった垂直耳道を切除し、
水平耳道を見える状態に戻し、今後の耳道洗浄を行えるようにします。
 まずは、耳の皮膚を切開し、元々あった垂直耳道を確認し、
垂直耳道に沿って、耳道を広げていきます。

 外耳道炎 術前 2

 耳道を切開していくと、軟骨が慢性の炎症で大きな硬い骨になっているので、
特別な器具を使用し、骨を砕きながら、元の状態に戻していきます。
 水平耳道が見えたら、縫合を行い、終了です。


 外耳道炎 術前 3

 術後は、このように、耳を洗える状態にもどします。
この手術とは別に、恒久的に耳の穴をなくす、全耳道切除術がありますが、
この手術は、術後に、顔面の神経が麻痺したり、よだれが大量に出たりするので、
本院では、最後の手段として、残しています。

 
 術後、飼主さんは、耳のニオイが著しく軽減したこと、
術後から耳を気にしないこと、などすべてにおいて手術後、
心配していたことが無くなり、安心されたとおっしゃっていました。

 現在は、感受性試験で効果のあった抗生剤のみ投与し、
耳を振る回数も減り、元気にしています。
術後の神経麻痺なども無く、過ごしています。

copyright 2005-2007 新千歳動物病院のブログ all rights reserved. powered by FC2ブログ. designed by sherrydays.