新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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猫の皮脂腺上皮腫の外科手術
 犬のように、老齢の猫にもイボができます。
とくに、猫の皮膚に出来る腫瘍には悪性の腫瘍が多いといわれています。
 
 この子は、15歳の猫で、腎臓疾患を抱えて来院されていました。
ある日、お尻に穴が・・・と来院されました。

 猫の皮脂腺上皮腫 術前

 診察させていただくと、このようにお知りの斜め上にイボがありました。
飼主さんもかなり心配な様子だったので、病理検査を行うことになりました。
病理検査には、針生検、バイオプシーガンでの検査、生検、スタンプ検査など
いろいろありますが、今回は、イボの一部を切り取る、生検を行いました。
 その結果、『皮脂腺上皮腫』といって、良性と悪性の中間に位置する腫瘍と診断されました。
 皮脂腺の腫瘍は腺腫、導管腺腫、上皮腫、癌に分けられます。
このなかで、転移、再発の危険性のあるのは、上皮腫と癌と言われています。
 犬では、多く見られますが、猫での発症は多くありません。

 飼主さんに、皮脂腺上皮腫は良性とはいえない、腫瘍で、
転移をすることもある腫瘍なので、可能であれば、手術も考えてはとお伝えしました。
飼主さんも、15歳の老猫で、内臓に持病のある子なので手術をすることに悩まれていました。
 飼主さんは、ご自宅で家族と相談し、徐々に大きくなってきたこと、
現在の持病が管理できていることから、手術を行うことにされました。
 術前検査でも、持病があり、貧血もありながら、麻酔に耐えれると判断し
手術を行いました。

 手術は、腫瘍周囲のマージンを切り取り、排便障害を起こさないよう
肛門の筋肉を残存し、障害が起こらないよう、腫瘍を切り取ることになりました。
 手術中の写真です。

猫の皮脂腺上皮腫 術中

手術は、全身麻酔で行われました。
手術時間は、肛門括約筋を切除せず
肛門の機能を温存したまま、排便障害も残らず、約40分で終了しました。

 皮脂腺上皮腫 術後

 老齢の猫や犬の腫瘍の手術を行う場合、ほとんどの飼主さんが悩まれます。
手術をすると痛いし、麻酔の危険も考え、さらには、本当に必要な手術かどうか。
 今回も、飼主さんは、かなり悩まれ、何度か相談をし、最終的に手術を行いました。

 自分のことであれば、すぐに決めれるのに、
ペットのことになると決めれないとおっしゃいます。

 みなさん、同じように決めれないので、早い決断を迫られない場合は
時間をかけて、獣医師と相談のうえ、決めることをお勧めします。
 
 お年なのに、痛いことをしてごめんね。

 
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小型犬の股関節の成長板骨折の外科手術
 超小型犬が多く飼われはじめています。
とくに、プードルの『ティーカッププードル』が
ブームに乗って飼育頭数が増えています。

 そこで、問題になるのが、膝の病気(膝蓋骨脱臼)、
股関節の病気(レッグペルテス)、脳の病気(水頭症)、
などなど、上記以外にも多くの病気が見つかります。

 この子は、1週間前から左肢をびっこ引き、良くなったり
悪化したりすると来院されました。
 飼主さんに「どこか痛がりますか?」と聞いても、
「どこを触ってもいたがりません」と答えが。
整形外科の病気は、触診で90%くらい病変が分かるとも言われています。
でも、飼主さんが痛い場所を特定できるのは、50%くらいでしょうか。

 早速、触診をさせて頂き、股関節に異常が見つかりました。
股関節のレントゲンを撮らせて頂くと、大腿骨頭の成長板部位での骨折が認められました。
 この場所での骨折は、猫でも起こる骨折で、手術での整復は可能ですが、
成長期の骨折では手術が上手くいっても、将来、関節炎を起こし、
再手術が必要になることも少なくありません。

 飼主さんと、手術を行うか、ケージレストと外固定を行い、
内科的に治す方法を選択するか相談しました。
 相談は、色々話し合い、ワンちゃんにとってどれが良いか数日かかりました。
結果、痛いことは1回だけにしたい、出来れば、再手術はしたくない、
また、歩けるようになれば良いというものでした。

 これらの結果から、大腿骨頭のピンを使用した手術ではなく、
大腿骨頭切除術を行うこととなりました。

 手術が決まると、術前検査を行い、当日は、朝ごはんを抜き、お水の制限もします。
手術前には、血管を確保し、点滴を始めます。
さらに、ペインマネージメントという、痛みのコントロールを行います。
抗生物質などを投与し、手術に入ります。

 手術前に、毛を刈り、麻酔を行った後に、消毒します。
さらに、手術部位の皮膚の細菌の購入を防ぐため、切開ドレープを張り
術部に毛や菌が混入しないようにしておき、皮膚を切開します。
 皮膚は約3~4cm切開し、筋膜、筋肉を剥離し、股関節にアプローチします。
この写真は、股関節にアプローチし、股関節を外転させ、骨折部位を確認しています。

 成長板骨折 術中1

 さらに、骨折部位を確認し、整復が出来ないと判断し、
大腿骨頭を切除します。
 切除は、サージタルソーといって、整形外科の特別な器具を使用すると
約10秒で切り離せます。
 数年前までは、この機械がなく、骨のみや、糸ノコで切除していました。
それにくらべ、早く、正確に、安全に手術が進める事が可能になっています。

 \成長板骨折 除去後
 切除後は、整形用のヤスリを使用し、角を落として、関節に負担がないようにしています。

 このあと、手術は、筋肉を元の状態に縫い合わせ、筋膜も元の状態に戻します。
さらに、皮下をきれいに戻し、皮膚を縫合します。

 切り取った大腿骨頭はこのように、骨折部位で変形を起こしています。

 骨頭

 術後は、綿や、包帯などでロバートジョーンズ包帯を行い、麻酔を覚まします。
手術時間は、40~50分程度で終了します。
入院は、1泊で済みますので、飼主さんも寂しいのは1日だけなので、
すこし、我慢していただきます。

手術し、切除した部分は、このように変形していました。
また、骨癒合も始まっており、整復は不可能でした。

 骨頭

 大腿骨の骨頭骨折は、ほとんどが整復可能ですが、
成長期の骨折は、変形し、癒合することが多く、年を取ってから
変形性関節症になることも少なくありません。
 今回も、病院側としては何とか、整復を考えましたが、
年を重ねた後、痛みや不具合が生じる可能性を飼主さんと考慮し
骨頭を切除することになりました。

 手術に踏み切るまで、何度と無く、飼主さんと相談を繰り返し、
最終的にこの方法をとりました。
 飼主さん、ワンちゃんにとって、最善の方法を考えていますが、
飼主さんの意向、考え方などを含め、治療法を選択するようにしています。

 手術を終え、飼主さんも安心されたようで、
「何かお聞きしたいことは?」とお尋ねしても、
「何もありませんよ。」とお答えいただくと、こちらも安心します。

 抜糸から、すぐに、リハビリがあるので、飼主さんも
ワンちゃんも忙しくなるので、つかの間の静かな時間を過ごしてくださいね。

 
自己多血小板血漿の骨折への応用
 最近、人でもアンチエイジングや、若返りなどを
テレビや雑誌で取り上げられています。
 その中でも、病院でしか出来ない治療のひとつに多血小板血漿を利用した
傷の治療、潰瘍の治療、口腔外科の治療、さらに、骨折、靭帯の損傷への利用が
進められています。

 もともとは、1990年代後半に、顎の骨を歯の治療で削った後に、
人工骨を入れていましたが、副作用などの問題から、自己の骨、血液などを
利用した治療が始まりました。
PRPの効能は多々あり、
 PDGF:血管新生、コラーゲン産生
 VEGF:血管内皮細胞の増殖・新生
 PDGF:細胞増殖、血管新生、コラーゲン産生
 EGF :上皮細胞の成長促進、血管新生、損傷治癒を促進
 TGF-β:上皮細胞・血管内皮細胞の増殖・新生、損傷治癒を促進

 現在、動物医療でも、取り入れられてきており、
本院でも骨折の手術時の疼痛管理、大きな皮膚欠損を伴う、腫瘍の手術の際に使用しています。

 自己多血小板血漿とは、別名(PRP)とも呼ばれ、
本院では、傷の再生医療、歯肉の欠損、また、海綿骨と併用し、
骨折部位での再生に使用しています。

 骨折での骨再生の効果は難しいと言われていますが、
海綿骨との併用を行い、再生医療として使用しています。
今回は、ウサギの骨折に利用し、疼痛管理、再生を目的に行いました。

 ウサギの骨折は、皮質骨が薄く、鳥の骨のような構造をしていることから
折れやすく、治りにくいので、手術をしない病院もあるようです。

 この子は、他の疾患で通院されており、
どこから落ちたかは分かりませんが、骨折されて来院されました。

 PRPの使用法は、骨折した部分に海綿骨を移植する際、
海綿骨にPRPを混ぜる方法を行っております。
 この子は、傷の治癒も遅く、抜歯が終了した時に、
注射針を使って、骨折部位に注入しました。

 PRPの注

 PRPは人の場合、美容形成で使用されており、
治療には¥10万くらい、かかるところもあるようですが、
 本院では、犬、猫、ウサギに使用する際は、体重にもよりますが、
¥5000~¥10000で行っております。

 ウサギの採血

 問題点は、10ml近くの血液を採取することくらいでしょうか。
ウサギさんの場合は、10mlは多いので、6~8mlくらい首から採取します。
もちろん、点滴を行い、採血した分を補っております。

 この子は、現在、順調に回復し、骨折も治癒し
今までのように歩けるようになると思います。

 今まで、ウサギの骨折、皮膚の欠損などで、
断脚、安楽死などを行っていた子に、様々な治療の方向性、選択があるようになり、
飼主さんも、治療の選択肢が増え、よいことだと思います。

 心配されている飼主さんも、治療後、元気に帰宅され
安心されていました。
血管外膜細胞腫の拡大切除
 犬の皮膚の下(皮下)にできる腫瘍には
脂肪腫にはじまり、多種多様な腫瘍が発生します。
 とくに、7歳以降のシニアの犬には多く見られます。

 この子も、皮膚の下にあった小さなイボが徐々に大きくなり
ここまで大きくなり、さすがに飼主さんも心配になり、手術を希望されました。

 血管外膜細胞腫 術前

 腫瘍は良性でも悪性でも小さいうちに切除したほうが良いのは
同じですが、お年を召してくるとなかなか手術に踏み切れないのは当然ですね。
 この子の飼主さんも、「手術をしないと大きくなるしね」とお話をされながらも
なかなか踏ん切りがつかず、ここまで大きくなりました。
 最後は、近所の方から手術したほうが良いんじゃないと言われ
心に決めて来院されました。

 腫瘍は『血管外膜細胞腫』といって、悪性度は低いながら
細胞レベルで増殖し、完全に切り取れず、再発を繰り返し、悪化をする
優しそうな顔をした、腫瘍です。

 飼主さんには、完全に切り取るには、筋肉も皮膚も
飼主さんが考えている以上に大きく切開することをお伝えし、了解していただきました。
 もちろん、術前検査はしっかりと、血液検査、レントゲン、心電図、などを行い
麻酔・手術に耐えれることを確認し、飼主さんにも安心していただきました。

 腫瘍自体は、約2kgくらいある大きなもので、
筋肉にも癒着、浸潤し、想像以上に手術時間がかかりました。
 しかし、麻酔管理もよく、手術が2時間かかり、手術が終わったと同時くらいに
覚醒し、翌日の午前には帰宅されました。

血管外膜細胞腫 術後

 手術は、再発予防のため、マージンといって、
腫瘍の周囲から約2cmほど、大きく切り取ります。
しかし、皮膚の周囲は大きく切り取れても、奥側(腹腔)には
大きく切り取れません。
 それでも、筋肉を腫瘍と一緒に切除し、マージンを取りました。

 術後は、ドレーンを装着し、帰宅していただきました。
自宅では、ドレーンから排出される、漿液をガーゼできれいにしていただき、
抗生剤、痛み止め、止血剤などを飲ませていただきました。

 現在、術後、6日ですが、手術の傷もきれいに治ってきました。
順調に回復しています。

 年を召したワンコなので、飼主さんも、飼主さんの近所の方もかなり
心配されていましたが、今は、食欲もあり、元気もあり、散歩もしています。
 地域の看板犬のようなので、早く良くなり、みんなに元気な姿を見せれるとよいですね。

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