新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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良性の脂肪腫
 腫瘍の手術が毎年、増加しています。
とくに、大きくなってからの腫瘍の手術が増えています。
 この子は、半年前に皮膚に2か所腫瘍があり、触診と細胞診で
皮下の脂肪腫と診断されていました。
ただ、飼主さんの意向で手術に踏み切らずに自宅で様子を見ていたようです。
その間、腫瘍は徐々に大きくなり、半年前の4倍近くになっていました。
 さらに、腫瘍の一部は頸部の大きな血管である、頚静脈にも癒着し、
もう1つの腫瘍は筋肉と筋肉の間(筋層)に入り込んでいました。

 頸部の腫瘍はこのように、見た目は大きくありません。
脂肪腫 術前

 しかし、切除を始めてみると、頚静脈に癒着しており、
頚静脈を温存するか、悩んだ挙句、手術に立ち会っていただいていた飼主さんと
その場で相談し、温存する方法を選択しました。

 脂肪腫 術中

 手術は何とか、無事、頚静脈を温存し、1つ目の腫瘍は終了しました.
このように、血管を温存し、筋肉の一部を取り除き、この場所の手術はおわりました。
脂肪腫 術中 2

 さらに、左肩の腫瘍の切除になります。
術前から飼主さんには、腫瘍の発生部位が深いこと、また、筋肉の下から発生していることから
時間がかかる手術だとお伝えし、立ち会ってもらいました。
 手術は、皮膚をu字切開し、筋肉を2枚切り離し、その下にある、腫瘍を分離切除しました。
その際の写真がこのようになっています。

脂肪腫 術中3

この子のように、脂肪腫を早期に発見し、手術に踏み切っても、
筋肉の間に入り込み、手術が難しくなる場合も少なくありません。
飼主さんの心情から、麻酔時間の短縮、手術の痛み、費用の問題などを考慮し
最初に見つけた腫瘍の大きさから倍近くになった場合は、手術を考えてくださいと
お伝えしています。
 
脂肪腫 術後.

 このように、結構、大きな手術になりました。
でも、10日後には無事、抜糸を行い、このような状況になっています。

 脂肪腫の抜糸後

術後10日でこのくらいなので、さらに毛が生えてくると、もっと手術した部分は良くなるとおもいます。
現在、腫瘍外科は切り取ることだけではなく、術後のケアも必要になっています。
いわゆる、形成外科というものです。
 この子も、大きく切り取り、肩の部分を毎日、飼主さんが見るので、きれいに縫合、形成を行いました。
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耳にできた腺癌の外科手術
 犬は年をとると、体のあちこちにイボが出来たりします。
この子も6歳の時に耳にイボができたものの、大きくならないので
様子をみていたそうです。
 たまたま、他のことで来院され、耳のイボもついでに診て欲しいと言われ
診察しました。
 初診時の写真です。

 耳介部の腺癌術前

 このように、小さなイボで、ほとんどの方が気にしません。
また、このイボは飼主さんの話ですが、半年前からあったと言います。
ということは、半年間、大きくもなっていないので、普通は気にしません。
しかし、飼主さんと相談し、ビーグルであること、下顎のリンパ節が軽度腫れていることから
検査を行いました。
検査は、病理検査と言って、腫瘍の一部をメスで少しだけ切り取り、ホルマリンにつけて
病理検査に送るだけです。
 病理検査は4日後に出ました。
検査結果は『腺癌』でした。

 『腺癌』は悪性腫瘍で、転移も起こるややこしい腫瘍です。
乳癌もこの腺癌の一種です。

病理検査を確認し、飼主さんに結果をお返しすると同時に今後の方針を話し合います。
1.手術を行う(外科的に腫瘍を切り取る)
2.何もせず、経過観察を行う。
3.放射線療法・抗がん剤
4.サプリメント

 上記の中から飼主さんと相談し、1の外科手術を行うことになりました。
理由は、まだ、若く、この先も長いこと。
腫瘍を切除し、生活の質は低下しないこと。
半日しか入院せず、退院できること。
患者への負担が少ないこと。
 マイナスは、半年も大きくなっていないので、しなくてもよいのでは?
手術費用がかかること、耳とはいえ、痛いことです。
 これらを鑑みても、したほうが良いことが多いので、手術になりました。
手術は、マージンを考え、また、術後の耳の形状(かっこ)を考え手術を行いました。

耳介部の腺癌術後 1

このよう、なるべく耳の形がおかしくならないように切除しました。
術前に飼主さんとカットラインの話をしておいたので、術後、びっくりされていませんでした。
 手術は、抜糸が必要ないような特別な縫合を行い、1週間、カラーというものを装着し
治療は終了しました。

耳介部の腺癌術後 2

念のため、術後の病理検査を行い、マージンも十分にあり、再発・転移はないと結果が返ってきました。
飼主さんにも結果をお返しし、安心されたようです。
 飼主さんも、結果を確認し、半年前からあったイボがまさか悪性腫瘍であるとは
夢にも思っていなかったらしく、びっくりされていました。
また、検査をし、手術までされて良かったと安心されていました。


 現在は、とても元気に過ごしており、抜糸もせずに済む縫合法を行ったので、
手術した部分も気にせず、形も気なる程度ではないとおっしゃっていただき、安心しています。
猫の潜在精巣の手術 パート2
 男の子の去勢手術を行うことが多く、
術前検査の際、精巣(タマタマ)が陰嚢(玉袋)に入っているかを確認します。
この検査は、単に精巣が2個あるか、触る検査です。
 今までは、犬に多く、片側の精巣が落ちてこず、探すことが多かったですが、
なぜか、最近、猫に多く来院されます。
 潜在精巣は犬の場合、遺伝性であると示唆されていますが、
猫の場合は症例自体が多くないので、わからない部分が多いです。

 この子も片側が陰嚢の中に落ちてこず、皮膚の下で止まっていた珍しい子です。
本院でも猫の潜在精巣の手術を行っていますが、今までは、すべてお腹の中にありました。
この子も、片側しか落ちてきていないので、超音波を使い、お腹の中を捜しましたが
精巣が見つからず、探したところ、おまたの付け根に引っかかっていました。
 飼主さんと相談の上、立会で手術を行いました。

 猫の潜在精巣 術前

 少しわかりづらいので、アップの写真です。
猫の潜在精巣 術前アップ

 僕の指で摘まんでいるのが、皮膚の下(皮下)にある精巣です。
手術は、陰嚢の中にある、正常な精巣を取り出し、その後、おまたの付け根の精巣を取り出しました。
 その際の写真がこちらになります。

猫の潜在精巣 術中

 取り出した正常の精巣と皮下にあった精巣です。
大きいのが陰嚢の中にあった精巣です。

猫の潜在精巣 術後

犬に比べ、猫の潜在精巣は発生率が少ないようです。
海外の文献では発生率は0.1~1.0%とかなり低いようです。

 本院では、猫の潜在精巣を最近、よく見かけるため、
発生率は上昇しているのかも知れません。
 この子は潜在精巣が皮膚の下にあったため、お腹を開けずに退院されました。
また、退院も当日の夕方に飼主さんに抱かれて帰宅されました。

 このように、犬、猫では潜在精巣なるものが多く発生しております。
もし、虚勢を希望される方は、再度、触って確認するのもよいかもしれません。

 猫の去勢手術では、1か所のみ切開しますが、
この子は、おまたの皮膚も切開してしまい、可哀想でしたが、
立ち会った飼主さんは、早く見つかり、手術ができたので、
全然構わないとおっしゃってくれました。

 飼主さんも、ねこちゃんも疲れさまでした。
後足の指の断指手術
 38kgの大きなラブラドールが爪がおかしいと来院されました。
爪を見ると変形し、舐めて赤く変色していました。
 
 このように爪も変形し、皮膚も黒ずんでいます。
ラブの指 術前

 飼主さんは他の指もこのようになっているので
飼主さんと相談の上、内科療法をおこないました。
1週間後には、他の指は良くなりましたが、この指だけは
治らず、炎症を起こしているようでした。
 飼主さんと、再度、相談し、爪の変形だけではなく、肉球もおかしいので
病理検査を行うことになりました。
 病理の結果は『扁平上皮癌』といって、悪性の腫瘍でした。
この腫瘍は、根っこが大きく、小さく切り取っても再発する厄介な腫瘍です。
飼主さんと、手術に関して話あい、大きく切り取ることで再発がなく、元気に過ごせますよと
お話をしました。
 しかし、飼主さんはこの子が大きなワンコなので、術後、指が無くなると歩けないのでは?と
かなり心配されていましたが、手術が上手くいけば問題なく今までのように、走れますよとお伝えしました。
飼主さんは、一度、家に帰宅され、家族会議を開いたようでした。
結果、再発が怖いのと、可能なら1回で手術が終わるほうが良いと考え断指を選択されました。
 手術は中足骨は残し、歩行の障害にならないよう、かつ、マージンを多くとり切除しました。

 ラブの指 術後2.

 このように術後は3本の指で立っています。
40Kg近い体重もしっかりと支えられ、散歩も今までと変わらずに歩けるようになっていました。
飼主さんも、今までと変わらず歩けること、また、病理検査の結果も
『扁平上皮がん』と悪性の腫瘍ではあるものの、マージンを十分に切り取れており、再発はなく
転移はないと診断され、かなり喜ばれていました。

 今までの腫瘍外科は、切り取れば良いと言われていましたが
最近では見た目、術後のQOL(生活の質)が重要といわれています。
 今回も、見た目、QOLが重要な手術でした。
とくに大型犬の場合は、散歩に行けなくなると飼主さんも大変なので
散歩も今までと同じように行けることが重要でした。
 
 この子は、とても元気で、散歩も大好きな子なので
今までのように、元気に散歩に行けるようになり、幸せそうでした。

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