新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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マイクロチップの装着
 先日、飼主さんが慌てて病院にお電話をいただきました。
内容は、札幌の実家で犬が居なくなったというものでした。
居なくなったとは親戚の方が散歩に行き逃亡したようです。
 飼主さんは、すこしパニックになっているようなので、お話をさせていただきました。
 保護センター、警察、区役所、保健所にワンちゃんが居なくなった旨を
お伝えし、近所にいることが多いので、近くを捜索してくださいとお伝えしました。
 2日後、近くの方が保護していただいて無事、帰宅できました。
このように、愛犬がいなくなった時、ほとんどの飼主さんが困ると思います。

 そういった事をふまえ、現在、犬、猫、うさぎなどにマイクロチップを入れようと
獣医師会をはじめ、自治体も活動を行っています。
これには、愛犬や愛猫が居なくなった時だけではなく、捨てられる動物を減らすことにも
つながると考えられています。

 本院でも2年前からマイクロチップを導入し、徐々にではありますが、
希望される飼主さんが増えてきています。
 装着はいたって簡単です。

 1.皮膚を消毒
 2.皮下に挿入
これで終了です。

 ライフチップ本体

 ライフチップ 装着法

 病院によっては、鎮静や麻酔が必要なところもありますが、
本院では今まで、ネコちゃんにも装着させていただいていますが、
痛がらず、出血もありません。
手続きは、病院がすべて行うので、飼主さんは、ワンちゃんの体調の良い時に
来院していただいて、飼主さんの前で挿入します。
 時間は1分くらいです。

 以前は、マイクロチップがMRI撮影時に干渉するといわれていましたが
現在、そのようなことも無く、本院でも問題はないです。
 
 今後の課題は、マイクロチップを入れても、
そのチップを認識するリーダーという機械をすべての動物病院が持っていないということです。
現在、マイクロチップを装着できる病院では、ほとんどリーダーがあると思いますが、
いまだ、動物病院の中には、マイクロチップを装着できない病院もあるのが事実です。

 千歳のように、自治体がリーダーを持っていると、飼主さんも安心されますが、
どこの病院でも、その子が誰の愛犬か愛猫か分かると良いですね。
また、これを期に、捨てられる犬、猫が減れば良いのですが・・・。
マイクロチップを入れる時に、このようなことを考えながら、入れています。
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うさぎの不妊手術
 現在、不妊手術(去勢・避妊手術)が可能な動物は犬・猫・うさぎです。
それ以外の動物はファームから出す時点で既に手術済みか、専門の方しか
できない手術になっています。
 本院では、鳥、霊長類(お猿さんなど)、お魚などは専門医を紹介し
そちらでの処置をしていただいております。

 犬、猫の不妊手術に関しては、飼主さんにも情報が結構、あるので、
手術希望の方は担当医とゆっくり相談していただいています。
 しかし、うさぎなどのエキゾチックは情報が少ないのが現状です 。
また、どの病院で手術ができ、どのような手術をするのかはわからないのが現状です。
今回、このようなことを考慮し、うさぎさんの不妊手術を取り上げてみます。

 うさぎさんの不妊手術、とくに避妊手術は本院では卵巣子宮全摘手術を行います。
これは犬・猫と同様の手術方法で、卵巣も子宮もすべて取り除く手術です。
この手術を受けることで卵巣も子宮も体の中から無くなるので、将来、卵巣や子宮の
病気にならないという利点があります。
もちろん、卵巣のみ取り除けば不妊にはなるのですが、現在の動物医療では
子宮疾患も怖い病気なので同時に切除するようになってきました。

 実際の、手術法はというと、術前に健康診断をさせていただいております。
とくに、血液検査、レントゲンなどを行います。
問題がなければ、飼主さんと手術の概要、術後の注意点などをお話します。
その後は、手術当日になります。
 手術は血管確保を行い、導入薬を投与し、全身麻酔となります。
全身麻酔は吸入麻酔で、今までのように気管チューブの挿入は行いません。
これには賛否両論があるようなので、その辺りに関しては
飼主さんと事前にご相談のうえ、納得していただき手術となります。
 (挿管に関しては、また詳しくお話しいたします。)

 手術は、注射、導入、麻酔を行い、お腹の毛を刈り、術部を切開しましす。
切開はお腹の真ん中(正中)を約3~5cmほど切開します。
その後、子宮、卵巣を切除し、出血を確認のうえ、お腹を閉じます。

 この写真は、子宮のみお腹から取り出した状態です。
うさぎの避妊 術中

 さらに、卵巣を切除し、体から切り離します。
この写真は子宮、卵巣を切除した状態です。
 うさぎの子宮卵巣摘出術

 このように、卵巣子宮を切除し、出血を確認のうえ、筋層(腹膜)、皮下織、皮膚を縫合します。
皮膚以外は吸収糸を使用します。
これは皮内縫合を行った後の状態です。

うさぎの皮内縫合

 この後、皮膚を縫合し終了となります。術後の翌日に帰宅となります。

 術後、傷を気にする子にはエリザベスカラーやバイトノットを使用しますが、
傷を気にしない場合は何もつけず、そのままにしておきます。
うさぎはカラーなどを嫌い、ストレスになりご飯を食べなくなることが知られているからです。

抜糸は約7~10日後に行います。
もちろん、麻酔などの必要性はなく、1分くらい終了します。

 金額も犬の不妊手術と変わらないくらいです。

 若いうさぎさん(1歳未満)の不妊手術は子宮間膜に脂肪がつかず
子宮道静脈が明確にわかりますが、1歳を過ぎると明らかに脂肪が沈着し
わかりにくくなります。
 不妊手術を考えている飼主さんには、若いころの手術をお勧めしています。
犬と違い、若いころに不妊手術をした場合の乳腺腫瘍の発生率はいまだ
良く分かっていませんが、発せ率が低くなるといった論文もあることから
将来の病気の予防につながるかもしれませんね。

 不妊手術はお腹を開ける大きな手術です。
皮膚のイボをとる手術とは違うので、良く考えて、先生と相談のうえ、
手術に臨むことをお勧めしています。


 

 
酸素室の有用性
 現在、本院ではお歳をめしたワンちゃん、ねこちゃん、
また、心臓病を患った子の手術が増えています。
 手術前に、術前検査を行い、麻酔のリスク、点滴の種類、
事前に飲んでいただく薬、麻酔薬などを考慮し、安全に努めています。
 さらに、麻酔管理を安全なものにするため、貧血、心臓病、腎不全などの
、基礎疾患を持った子には、術前1~3時間前から酸素室に入っていただき
『酸素化』を行っております。
 また、術後も酸素室に入っていただき、心臓などの負担を軽減しています。
もちろん、肺炎などの呼吸器疾患、心臓病などの循環器疾患、
熱中症などにも使用しています。

 酸素室.

 この子は、眼と腫瘍の手術を受ける予定で、健康診断を行ったところ、
重度の心不全が見つかり、術前に飼主さんと相談し、心臓を守るために
事前に心臓に作用するお薬、心臓を守るお薬は使用し、また、十全に酸素室で
酸素化を行い、無事、手術が終わった後も、酸素室で様子をみていました。
 
 手術の後、3時間くらい酸素室に入っていただき、当日の夜に
酸素室から出し、呼吸などに問題がないことを確認し、飼主さんと帰宅されました。
翌日、飼主さんと一緒に来院し、食欲もあり、元気もあると、喜んでいらっしゃいました。

 現在、本院では、自宅での酸素吸入を可能にするため、
試験段階ではありますが、酸素発生装置の貸出を行っております。
 問題点は、酸素発生装置が重いこと、また、自宅での酸素テントの設置が難しいことです。
これらを克服するれば、病院での治療と変わらず、自宅での治療が可能になります。
動物にとっては、慣れない病院より、慣れた自宅のほうがストレスも無く、良いこともあります。
しかし、すべての患者さんが自宅での治療が可能ではないので、そのあたりは担当獣医師と
相談のうえ、決められることが重要だと思います。

人と違い、動物は病院が自分を治してくれる場所という認識が強ければ良いのですが、
ほとんどの子は、ストレスになると思われます。
 また、すべての子が入院、治療が可能であるとは限りません。
人のように『在宅治療』『ホスピス』などもあってよいと思います。
また、本院でも上記のような治療法を取り入れており、飼主さんからも
そういった選択があることを喜ばれています。
 今後、人と同様に、治療の選択が広がり、かつ、自分の子に合った
治療法をもっと選べることが必要になると思います。

 この子が酸素室に入った際は、飼主さんもびっくりされていましたが
術後の様子を見て安心されていました。
 心臓病を持ち、手術に踏み切れない、また、悩まれている方には
少しでもリスクを軽減できる1つの方法だと思います。

 
手術時の縫合法
 皮膚を切る手術を受けた場合、ほとんどが縫合と言って皮膚を縫います。
その際、皮膚を縫う糸はどこの病院もナイロン製のナイロン糸を使用するか、
本院でも使用しているステープラーといって、金属のホッチキスのような器具を使い
皮膚を合わせます。
 本院では、縫い跡が残らないように皮膚を縫合する前に
皮内縫合、もしくは真皮縫合を行っております。
この縫合法により、術後の縫合部の痒み、痛みが少なく
また、縫合した痕も残りづらいといわれています。
 縫合する糸は、溶ける糸(吸収糸)を使用しています。
吸収糸は、30~120日で溶けるものがほとんどで、
縫う場所、縫い方などを考慮し、その都度、変えて縫合しています。
本院でも、吸収糸はいつも10種類くらい、用意して手術に取り組んでいます。
 
 この写真は、腫瘍切除後に皮内縫合を終えた状態です。
人の場合、この後、テープで皮膚を止めて、手術は終了ですが、
動物の場合、そうはいきません。
この後に、数針、ナイロン糸で縫合して終了です。

皮内縫合

 ただ、この縫合をすると多少、手術時間がかかることが問題です。
麻酔に対して問題のあるこ、また、心臓や、内臓に大きな障害を持ち
麻酔時間を気にしないといけない子に関しては、この縫合を割愛しています。

 このように、現在の医療は術後の美容も考え、
縫合法、縫合糸、皮膚の張力などを考慮し縫う時代に入りました。
 手術したあとは、ほとんどの飼主さんが手術部位を見たくなり
また、手術の痕があると、かわいそうな気持ちになります。
自分の傷より、愛犬・愛猫の傷のほうが数倍、心がいたいので
なるべく、手術したことを思い出さないように、縫合できると良いと思っています。

 この子も、現在、抜糸をおこない、
手術痕がほとんど残っていないので、喜ばれています。
 
 お腹を出して寝ていても、手術痕が気にならないとおしゃっています。
少しでも、体の傷、心の傷にならないようになればよいですね。


 
 
犬のアポクリン腺腫の外科手術
 犬は汗をかかないとよく聞きますが、本当でしょうか?
答えは、『外れではないですが、汗をかきます、微妙な答えですね』。
犬にも汗腺があり人より少ないので、汗をかかないといわれるようになったのでしょうね。
汗腺の代表が『アポクリン腺』です。

 この子は、顎の下に直径2cm大の『水ぶくれ』ができていると来院されました。
以前にも同じ場所に、水ぶくれができ、腫瘍の疑いがあることをお話していました。
 今回も、つぶれては大きくなりを繰り返すことから、心配されて来院されました。

 このように、下あごに腫瘤が認められました。

犬のアポクリン腺腫

 中身は水分が入っているように、プクプクしています。
前回のときは、飼い主さんとお話をし、針で中の水を抜いただけで終わりました。
また、腫れるので、よく見ててくださいと、その時にお話をしていたところ、
約2週間で腫れて来院されました。
 
 この子は、年齢が11歳の高齢なので、術前に胸部レントゲン、心電図、胸部超音波検査と
血液検査を行い、他に大きな病気を持っていないことを確認し、飼い主さんと再度、手術に関して
お話をしました。
 手術は、再発がないことを第一に考え、完全切除をすることになりました。
手術にさきがけ、血管を確保し、点滴を始め、手術になりました。
 飼い主さんは、本院で以前にも大きな手術を受けているので、安心されて一時帰宅されました。

 手術は、下あごの腫瘍を完全切除するもので、
血管、神経が多いので、その部位を避けながら慎重に切除しました。
これが、切除後の状態です。
 
アポクリン腺の切除後.jpg

 麻酔も安定しており、切除後はこのように結構、大きな穴があいてしまいました。
毎日、見る顔なので、縫合はなるべく、傷が残らないように皮内縫合を行い
かゆみも少なくなるよう特別な縫合を行い、手術を終了いたしました。

 アポクリン腺腫の縫合

 術後はすぐに起き上がり、4時間後に飼主さんが来院され
一緒に歩いて帰宅されました。
 翌日、診察させていただいた時には、食欲も元気も戻り、
高齢でありなが麻酔、手術の影響も見られず元気な姿を見せていただきました。

 高齢になればなるほど、腫瘍も多くなり、手術の機会も増えます。
この子のように、今までに本院で手術をされている場合は飼主さんも
安心されて麻酔を受けられますが、初めての場合はお歳が気なる方が多くいらっしゃいます。
 高齢と麻酔のリスクは比例しますが、お歳をめしたから、麻酔ができないということはないですね。
若くても麻酔をかけるリスクが高くなる子もいますし、20歳でも麻酔をかける場合もあります。
 そのあたりの心配事は担当獣医師とよく話し合い、
飼主さんの心配、疑問を取り除いてから麻酔、もしくは手術に臨まれるとよいでしょうね。

 この子は、術後、すごく元気で、手術と一緒にスケーリングも行い
お口もきれいになり帰宅されたので、飼主さんは喜ばれていました。
また、腫瘍も良性の腫瘍だったので安心されていました。
多中心型リンパ腫
 14歳のワンちゃんが、飼い主さんと一緒に来院されました。
今までに乳癌、皮膚がんなどを克服し、数日前まで元気に
飼い主さんと生活されていました。
 ところが、数日前から食欲が落ちてきて、散歩も行きたくないと
来院されました。
 診察をさせていただくと、とくに異常所見はないので、
血液検査、レントゲンを行いました。
 結果は、白血球が軽度上昇している以外に問題はありませんでした。
しかし、飼い主さんがいう、「この子が食べないのはおかしい」という一言が気になり、
超音波検査を行いました。
飼い主さんも立ち会っていただき、超音波検査を見ていただきました。

脾臓の腫瘍

 このように、脾臓の腫瘍に血管が入り込み、血流が認められました。

検査の結果、脾臓に直径2cm大の腫瘤が見つかりました。
 検査後、飼い主さんと超音波で認められた腫瘤に関してお話をしました。

1.針を刺して検査するか。
2.試験開腹をして検査するか。
3.飲み薬で様子をみるか。     で相談しました。

 飼い主さんは、ご主人が癌で手術をし、現在、元気がないこと、
また、この子を誰よりもご主人が可愛がっていることから、検査を選ばれました。
検査の方法も相談し、試験開腹を選択されました。
 試験開腹までに、心電図、心臓の検査(超音波検査)、レントゲン検査を行い
他に腫瘍、リンパ節の腫脹がないことを確認し、検査を終了しました。

 手術は、試験開腹と言って、脾臓に何ができているのか、
また、他の臓器に異常がないか、さらに、取り切れるものなら取るという
検査と治療を兼ねた方法です。
 試験開腹には飼い主さんも立ち会い、手術は始りました。
お腹を開けて、脾臓をみると、明らかに腫瘤が認められました。

多中心型リンパ腫

腫瘤に割面をを入れて院内で顕微鏡で検査すると、ほとんどがリンパ球で占められていました。
診断は、『リンパ腫(悪性リンパ肉腫)』でした。
 血液系の腫瘍で、多くが多中心性の型です。
この型は、ワクチンや、健康診断の際、体表(体の表面にあるリンパ節)が腫れて
見つかることが多く、この子のように、体表リンパ節が腫れず診断されることは稀です。
 手術後、2日で退院し、大好きなお父さんと元気にしています。

 しかし、現在、この病気と戦うため、抗がん剤治療を始めています。
1日でも、大好きなお父さんと一緒にいるため、また、癌に負けないことを
お父さんに見せるため、小さな体で必死に頑張っています。

 何とか、1日でも長生きできるように、手助けができたらなと思っております。

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