新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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犬糸状虫症の治療
 春先になると、狂犬病とフィラリアの予防のシーズンですが、
フィラリア予防は知っていても、もし、フィラリア症になった場合、
治療はどうするのでしょう?

 本院では、フィラリア予防の投薬前に、必ず、抗原検査を行います。
抗原検査とは?読んで字のごとく、フィラリアの成虫(親虫)の抗原(エキスみたいなもの)を
簡易検査キットで見つける検査です。
 もし、心臓にフィラリアが寄生していると、血液中に抗原を親虫が出し続けるので、
夏でも、冬でも、時間に関係なく、出し続けています。
なので、もし、心臓に成虫が居れば、検査にひっかかるということです。

 この子は、前年に予防薬を飲ませておらず、
今年は予防をしたいので、フィラリア予防薬が欲しいと来院されました。
 飼主さんに、抗原検査をさせていただく旨をお伝えし、同時に、健康診断の
血液検査を行いました。
血液検査では特に異常は認めず、また、この結果からフィラリアを予想するような
異常値も認められませんでした。

 採血から、すぐに検査キットを用い、5分後にはこのように、Cの横には青いラインが、
その下のTの横にはピンクのラインが入りました。

 犬糸状虫 検査

 C:コントロール
 T:テスト

 この検査の見方は、Cに青いラインが入るのは、検査が上手くいった証で、
Tにピンクのラインがはいるのは、フィラリアの成虫の抗原が血液中にあることを示しています。
ほとんどの、ワンちゃんの結果は、陰性(フィラリア抗原は無く)、青いラインのみです。

 検査後、飼主さんにこの結果をお見せし、フィラリアの成虫が心臓に居ることを
お伝えし、治療法をお話しました。

 治療法は、大きく分けて2つになります。
1.内科的治療・・・フィラリア治療薬(犬用)を使用し、成虫を殺す方法
           子虫のみ殺し、親虫の寿命を待つ方法
2.外科的治療・・・頚静脈からフィラリアの親虫を引き出す(つり出す)方法。
            
 1.は感染数(心臓の成虫)が少ない場合に行います。
 2.は感染数が有意に多い場合に行います。
 では、感染数はどのように判断するのでしょうか?
それは、超音波検査を用い、感染数をおおよそで換算します。
同時に、肺高血圧症、弁膜症、心筋症などの有無も調べます。
飼主さん立会いの下、超音波検査を行い、感染数を確認しました。
感染数は肺動脈の起支部に数匹確認できました。
また、肺高血圧や血液の逆流などがないことも確認しました。
 感染数が少ないこと、他の心臓疾患がないことから、
飼主さん相談し治療に対する、リスクなどを考慮し
1.の内科的治療を選択しました。

 内科的治療法は、動物用に発売されている、イミトサイドという、
フィラリアの成虫を殺すお薬を使用します。
この薬は発売後、10数年経過し、現在、安全に使用するために、
大学の先生が研究を行い、変法という形にはなっていますが、
より、安全に、確実に、痛くなく使用できるようになりました。
 本院でも、この方法で、年に数度、フィラリア治療を行っていますが、
現在まで、1例の死亡例も出さず、駆虫できています。
 しかし、全ての飼主さんに、もしもということがあること、
また、副作用もあることなどをお伝えし、疑問などがあれば、治療する前に
すべてクリアにしてから、行いましょうと言っています。

 飼主さんにとっては、一生に一度あるかないかのことなので、
可能であれば、お一人でお話を聞くのではなく、ご家族などもいらっしゃれば
一緒に説明を聞いてくださいと言っています。

 治療は2日間の入院で無事、終了し、治療後、2ヵ月後の超音波検査では
フィラリアの成虫は心臓から居なくなり、一緒に超音波の画面を見ていた飼主さんも
喜ばれたのと同時に安心されていました。

 この子は、フィラリアの成虫(親虫)は駆虫できましたが、子虫が居るので、
子虫の駆虫を行うために1ヶ月に一度、予防薬を飲んでいただいています。

 フィラリアの駆虫は良い薬が出来たとはいえ、ワンちゃん本人にとっては
副作用がおきるかも知れない大変な治療法なので、予防のほうが断然、
安全で、確実な方法なので、フィラリア予防をお勧めしています。

 
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異物による連続性の嘔吐
 毎日のようにワンちゃんが嘔吐すると来院されます。
この子も、不定期に嘔吐すると来院されました。
 腹部レントゲンを撮らせていただきましたが、
特に異常所見はなく、不定期に嘔吐するという原因は分かりませんでした。
食欲、元気もあるので、飼主さんと相談し、飲み薬で様子を診ました。
 1週間後、飲み薬を飲んでいると吐かないが、止めると吐くと来院されました。
飼主さんと、再度、お話をしたところ、以前、梅干を食べたかも・・・。
梅干ですか?ウンチに出ました?間違いなく食べました?と質問すると、
飼主さんは、食べたと思うけど、自信は無く、またウンチには出ていないと。
 超音波で胃の中、腸の中を確認しましたが、腸には詰まっておらず、
胃の中は、超音波検査を行いましたが、胃の中はガスが溜まっているので、
超音波では診断はつきませんでした。
 もともと、超音波は空気、ガスに弱いので、胃の中の異物を見つけることは難しいですね。
飼主さんと相談し、異物の疑いがあることをお話をし、催吐剤を使用し、吐かせるか、
内視鏡を使用し、胃の中を確認するか決めていただきました。
 1.催吐剤の使用・・・必ず、嘔吐するが、異物が出るとは限らない。
              何回、吐くか個人差があるので、犬にとってはつらい。
              麻酔が要らず、安い。
 2.内視鏡で確認・・・犬はつらくない。
              異物の確認が可能、物によってはつまみ出せる。
              麻酔が必要、高い。

 上記の点を話し合い、必ず、胃の中に異物があるとは限らないこと、何も無いかも知れないのに
何度も吐かすことはつらい、何回も吐いて出てこなくても異物が無いと診断出来ないなどから
内視鏡での検査、治療になりました。
 早速、飼主さん立合いの下、内視鏡を入れてみました。
胃の中は泡だらけで、良く見合えない状況でしたが、内視鏡を入れて、10分くらいで
黒い物体を胃底部で発見しました。
 何かは良く分かりませんが、胃の中にあってはいけない物なので、バルーンをという
器具を内視鏡の横から挿入し、摘んで胃から出してきました。
 出てきたのは、なんと、梅干の種???

梅干の種

 黒くて何だか分かりませんが、飼主さん曰く、『うちの梅干の種』ということです。
すぐに胃の中のガスを抜き、他に異物が無いことを確認し、麻酔を切りました。
10分後には覚醒し、その日の夕方に飼主さんと一緒に帰宅されました。
 その日の夜ご飯は少なめですが、翌日からいつものように生活が出来ますよと飼主さんに
お伝えすると、とても嬉しそうに、愛犬を抱きしめながら帰宅されました。

 このように、ワンちゃんは何を食べるか、また、飲んでいるか分かりません。
また、自宅で、何度も吐いているのに、異物が出てこない事も多くあります。
 この子は、催吐処置をしても、梅干の種は吐かなかったでしょうね。
内視鏡が無ければ、お腹を開けることもある疾患なので、良かったですね。

 一度、異物を飲んだ子は、また、異物を飲んで来ることが多いので、
これからは今以上の注意が必要でしょうね。
きっと、本人は覚えていないでしょうから。
ネコの消化器型リンパ腫
 昔よりも少なくなってきた腫瘍の1つにネコのリンパ腫があります。
犬も同様にこの腫瘍がありますが、昔にくらべ少なくなっていません。
 なぜ、ネコにこの腫瘍の発生が少なくなったのでしょうか。
それは、この腫瘍の要因の1つが猫白血病ウイルスが原因であったためです。
 ここ10年で、ワクチンの接種、また、飼主さんの意識の変化があり、ウイルス陽性猫が
本院では目立たなくなっています。
 しかし、この子が罹患した消化器型リンパ腫はここ数年、増加傾向にあります。 
平均発症年齢は10~12歳で、白血病抗原陰性猫が多いようです。
 症状は食欲不振、体重減少が多く、吐き気で来院することは稀です。
また厄介なことは、来院されるまでに1~3ヶ月経過してからの子が少なくないのが問題です。
 診断は画像診断で分かることが多く、レントゲンでは分かる頃には
すでに、触診(触っても)分かる程度になっています。
よって、本院では超音波検査で診断が出ることが多く
この子も、超音波検査でこのように、腸が変形し、軽度の腹水が認めれました。

ネコのリンパ腫

 この子は、異物も疑ったため、飼主さんも立会い、試験開腹となりました。猫のリンパ腫 開腹

 このように、正常な腸はほとんど無く、リンパ節の腫大が認めれました。
腫瘍の一部と、リンパ節を切除し、飼主さんとその場で相談しました。
正常な組織がほとんどないこと、腸管切除・吻合術をしても、化学療法が必要なこと
などを相談し、手術を終え、お腹を閉じました。
 
 このように、猫の消化管型リンパ腫は、ほとんどの場合、外科的切除は不可能で
早期に見つけて、診断し、化学療法に踏み切るか、もしくは、残りの人生を
楽しく生きる術を見つけるかになります。
 飼主さんは、ネコちゃんが、怖がりで何度も入院し、化学療法を行うことが
この子のためにならないと判断し、残りの人生を楽しく生きるほうを選択されました。
 
 猫の消化器型リンパ腫は、発見されたときには、かなり進行していることが多く、
また、老齢の猫が多いため、化学療法を選ばれる方は多くないように思えます。
 この疾患の早期発見はやはり、画像診断、とくに超音波が一番だと思いますが、
犬と違い、猫には狂犬病やフィラリアなどの予防などを行う機会が多くありません。
そのためか、この疾患は発見が遅く、見つかりにくいのかも知れません。

 本院では、可能限り、超音波検査などで早期に見つけるようしています。
また、消化管型リンパ腫と診断された場合にも、飼主さんと、その猫の性格、経済的な問題なども
含め総合的に考え、治療方針を決めています。
 
 この子の飼主さんと、術前、術後とご家族を交え、かなりお話を行いました。
その結果、入院点滴するような化学療法でなく、自宅で療養できるような
治療を選択されました。
 診断が付いたときの飼主さんは、かなり動転し、泣きじゃくっていましたが、
ご家族と一緒に来院され、相談されたときには、この治療でと決断されていました。

 癌は人でも、『ホスピス』のように、癌と戦わない治療もあるように
動物にも、戦わず、一緒に余生を過ごす方法があっても良いと思います。

 現在、この子は術後、翌日にはご飯を食べだし、怒るほど元気になっていたので、
そのまま、自宅に飼主さんと一緒に帰宅されました。
今も、自宅で、飲み薬を使用しながら、家族に見守られゆったりとした時間を過ごしています。
 飼主さんの気持ちになると、癌の治療の選択は苦渋の選択であり、
どちらも選べないと思います。
 このように、癌と付き合うという選択も良いのではと思えた子でした。
飼主さんと1日でも多く、一緒に居られる時間が持てたらよいですね。
食べると危険
 食べると危険なものは、チョコレート、ぶどう、ネギ類など
ワンちゃん、ネコちゃんを飼っている方ならご存知かと思います。

 しかし、それ以外にも危険な落とし穴があることはあまり知らていません。
 それは、熱の入った骨とヒヅメです。
おやつを売っているお店にはヒヅメが店頭に並んでいるのをごらんになったことが
あるかとおもいます。
 このヒヅメが実は厄介者です。
生のヒヅメは馬の産地に行けば、蹄鉄をつける際に出ますが、
これらは、厩舎に暮らす動物の特権でなかなか手に入りません。
でも、お店には燻製されたヒヅメが売られています。
燻製(熱を入れた)のが問題です。

 この子は、飼主さんがいままでと同様に、ご褒美にと
ヒヅメを買ってきてもらい、かじっていました。
ある日、飼主さんがお口の中をのぞいてみると、あれ?歯が折れている。
急いで、来院されました。
 お口の中を見てみると、このように、歯がたてに割れています。


折れた歯 

 飼い主さんとお話をしたところ、「そういわれてみれば、おやつとか、お食事を
右側で咬んでいなかった」とお話をされました。
 飼い主さんと相談し、歯を抜くか、割れた部分だけとるか相談しました。
この場合、歯随まで割れいる部分が入り込んでいるので
一部を取り除くより、 抜歯を行い、痛み自体を取ってあげることが重要であることを
お伝えし、翌日、スケーリングと抜歯を行いました。

 抜歯、スケーリング、ポりッシングまで行い、1時間の麻酔が終了しました。
麻酔後、3時間後に退院され、その後は、抜いた方の歯も使い、噛んで食べていると
飼い主さんは喜んでいらっしました。
犬の副腎疾患
 人には内分泌疾患(ホルモンの病気)が多いことはご存知だと思います。
犬や猫ではどうなんでしょうか?
 じつは、人と同じくらい病気があるんです。
しかし、今まで内分泌疾患は研究も治療もされてこられず
また、診断を付ける事が難しいと言われてきました。
 ここ数年、検査機器の精度が上がり、また、内分泌疾患を専門に
研究されている獣医が増えてきたこともあり、本院でも年々、多くなっている疾患の1つです。

 この子は、特に異常もなく、元気、食欲もある8歳のシーズーです。
病院にはフィラリアの検査と狂犬病の接種に来院されました。
 当院では、フィラリアの検査時、飼主さんの希望があれば血液検査を行っています。
もちろん、詳しい検査から簡単な検査まで飼主さん相談のうえ、決めていただいています。
このワンちゃんの飼主さんも、お年めしてきたので、検査をご希望されました。
 検査結果は病院内に検査機器があるので、10分くらいで出ました。
結果は、肝酵素の上昇が認められたことを飼主さんにお話しました。 
 飼主さんは、現在、元気なので、また、検査した際、
肝酵素が高いと精密検査を行うと帰宅されました。
 翌月、飼主さん自身も肝酵素が高く、心配になり来院されました。
ワンちゃんは変わりなく元気です。
 早速、血液検査を行った結果、前回の検査と変わりませんが、
再度、肝酵素の上昇が認めれました。
 飼主さんと相談し、お腹の超音波検査を行いました。
結果は、副腎の腫大が認めれました。 直径 8mm(正常・・・<7mm)

副腎疾患
 
 このように、左の副腎が正常範囲よりも大きく、腫大していました。
右側は逆に小さく、3mmでした。
 副腎が大きくなっているということで、副腎ホルモンの測定や、精密検査を行いました。
精密検査の結果は、すぐに出ました。
 診断は『中枢性クッシング症候群』です。
脳に異常があり、副腎自体が腫れて大きくなり、副腎ホルモンを大量に出す病気です。
現在、この病気は、完全治すことができなく、コントロールする病気です。
薬は、トリロスタン、ミトタンなどホルモンの分泌を抑制する薬を飲ませます。
 この治療の問題点は、投薬治療後も定期検査が必要なこと、
また、治療薬が高いこと、日本で手に入らない薬でることです。。
 本院では上記のお薬を、常備していますが、
この病気と診断された場合、飼主さんと良く話し会い、今後の治療方針、
検査、治療費などをご理解されるまで話し合います。

 この飼主さんは、治らなくても、将来、苦しむことが嫌なので、
治療を決められました。
 治療を決めるまで、ご家族の方と相談したり、
ご家族も来院され、お話を聞いていただき、最終的には2週間くらい悩まれ
治療を決めました。

 副腎疾患は腫瘍性であれば、外科的に切除すればよくなるのですが、
腫瘍性でなければ、手術というわけにはいかないので、簡単ではない疾患です。

 この病気の初期症状はお水をたくさん飲む、お腹周りが太い、皮膚病が治らない、
脱毛が激しいなど、皮膚にまつわる症状が多く出るので、皮膚病と間違われることもあります。
 診断は、超音波検査が有効ですが、超音波だけでは確定診断にならないので、
総合的に診断しなければなりません。

 この子は、現在、肝数値も低下し、今までと変わらず、元気にしています。
飼主さんの肝数値はどうなったんでしょうか。。。


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