新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

脂肪腫と脂肪の塊の違い
 中高齢のワンちゃんの飼主さんが
体にイボを見つけて来院されると、「先生、脂肪の塊ができたみたい」、
または「他の病院で脂肪の塊があると言われていた」と良く耳にします。

 さて、脂肪の塊とは何なんでしょうか?
そもそも、脂肪の塊が皮膚や皮下に出来るものでしょうか?
メタボの人がお腹の周りについているのが脂肪です。
しかし、脂肪の塊というのはほとんどありません。
 犬も猫も、脂肪のかたまりが出来るということは少ないです。
では、脂肪の塊ができたというのは、何でしょうか?
それは、脂肪腫、アテロームがほとんどです。
中には、悪性の腫瘍も含まれています。

脂肪腫


 皮膚に、もしくは、皮膚の下(皮下)に塊がある場合は
可能な限り、獣医師に診断してもらうか、針生検(バイオプシー)検査を
行ったほうが良いと思います。

 この子は、後肢にしこりができ、飼主さんは狂犬病接種時に
脂肪の塊があるので、様子を診てくださいといわれ、心配で来院されたゴールデンです。

 ゴールデンは、腫瘍が良く出来る犬種で、
皮膚、皮下、内臓、骨とありとあらゆる場所に良性・悪性問わず発症して来院されます。
 飼主さんは様子を診ていると大きくなっってきた、でも痛みもなく、びっこもひかず、
元気、食欲もあるので、様子を診ていたと言っていました。
 早速、診察を行うと、後肢の体表リンパ節は腫れておらず、また、痛みもありません。
さらに、腫瘍も柔らかく、確かに、脂肪のような感じでした。

 飼主さんに、脂肪のようだけど、きっと腫瘍の一種だと思うので、
病理検査を行っても良いでしょうかと、相談しました。
飼主さんは痛みが無いならしても良いと言って頂いたので、すぐに飼主さん
立会いの下で針生検を行いました。
 簡易検査の結果、脂肪腫と診断しました。
脂肪腫は良性の腫瘍で、徐々に大きくなること、また、切り取らないと
大きくなっていくことが多いこと。
でも、転移はしないことをお伝えし、治療法を相談しました。
 飼主さんは、腫瘍なら切り取ることを決められました。
その後、手術前の検査を行い、麻酔に対するリスクが低いと診断し、手術日を決めました。
 手術は日帰りの手術で、術前に痛み止めを服用していただき、
手術となりました。
 手術は40分で終了し、3時間後には退院となりました。

 手術し切除した腫瘍を飼主さんに診ていただき、病理検査をお願いいたしました。
病理の結果は『脂肪腫(良性の腫瘍)』と診断されました。
病理結果をお返しし、検査結果のお話をし、10日後、抜糸となりました。
スポンサーサイト
犬の膵炎
ワンちゃんが吐くことは少なくありません。
しかし、1日に何度も吐くことは、そうそう無いと思います。
 この子は1日に10数回、吐いていると来院されました。
1日に何度も吐く子の一番多いのは、異物です。
2番目には肝炎、膵炎、胃腸炎です。
 飼主さんに、異物の可能性の有無を確認し、念のため、レントゲンを撮らせて頂きました。
異物があるような画像は見られず、内臓疾患を疑い、血液検査を行いました。
病院内で10分ほどで結果が出るので、すぐに結果を見ても多きな異常はありませんでした。
 でも、ワンちゃんは何度も吐いているので、血液検査やレントゲンで見つからない病気を
疑い、エコー検査を行いました。
 エコーの結果、肝臓や、腎臓に異常は無く、
もちろん異物も無く、もう少し、詳しく見ると、膵臓の領域、
またその周辺に異常が認められました。

犬の膵炎

 この画像を見てすぐに分かる方は多くないと思いますが、
膵臓周囲、もしくは血管に異常が認められ、膵炎を疑い、動物専門の検査センターに
膵炎の酵素測定を依頼すると同時に、飼主さんに入院、点滴の必要性があること、
また、手術などの必要性はないことをお伝えし、今後の方針を決めました。

 飼主さんの希望は、遠方からのお越しだったので、通院が難しいこと
また、帰宅しても面倒を見てあげられないことから入院、治療となりました。
 早速、膵炎の検査を依頼し、入院点滴両方を行いました。

 入院をし、翌日には元気になり、吐く回数も改善していきました。
入院から3日目には、嘔吐も無くなり、食欲もあり退院となりました。



 膵炎は、現在、どこの病院でもすぐに膵炎と分かるような検査機器は無く
また、今まで言われていたような、アミラーゼ、リパーゼも膵炎以外でも上昇することから
特異的な酵素ではなくなっています。
 
 本院では、臨床症状、血液検査、超音波検査を行い、これで分かる場合は
飼主さんに超音波増をお見せし、入院していただくことが多いです。
 膵臓の酵素は東京の検査センターでしか検査が出来なく、
また、採血後、数日を要するので、膵炎の診断は時間がかかります。
そのため、超音波検査で可能な限り、診断を付け、治療の方向性を示します。
 
 膵炎は、治療までの時間が大切な疾患ですが、早々の確定診断が難しい疾患です。
そのため、リアルタイムで分かる、超音波検査が有効と思われています。

 まずは、嘔吐、下痢、食欲不振がある場合は、どんな子も膵炎を
念頭においておくことが良いかもしれません。
食道チューブの設置(口以外からの食事法)
 犬と猫がご飯を食べなくなった時、
どうにかして食べさせないと体力が持たない場合があります。
たとえば、口、顎などの病気をして、お口から食べさせてあげれない、
また、食欲が無く、あげようとしても顔を背けるなど、人でも同じような事があります。
本院でも、このような事が少なくありません。
 その場合、簡単な方法は、液状にしたフードをスポイト、注射ポンプなどを使い、
強制的にお口に入れる方法、また鼻からチューブを入れて液状のフードを入れたりもします。
しかし、現在、本院では鼻からのチューブ、いわゆる鼻チューブは使用していません。
鼻チューブは簡単で麻酔もいらず、設置が可能ですが、動物が嫌がることが多いです。
特に、猫に鼻チューブを入れると、ストレスと鼻からチューブを入れることにより、
その後、食欲がなくなるケースが少なくないので、この方法は使用していません。

 犬、猫に、栄養を与えないといけない場合、食道チューブを使用することが多いです。
当初、飼主さんからはかなり抵抗がありますが、入れてみるとほとんどの飼主さんから
喜ばれ、また、設置した犬、猫も嫌がらず、良い結果が得られます。
 
 食道チューブは、読んで字のごとく、首から食道に細いチューブを入れ、
胃の手前まで挿入し、チューブを介して、栄養、薬などを入れることができます。
 麻酔までは必要なく、軽微な鎮静のみで設置が可能です。

食道チューブ

このように、左の頬の奥に穴を開け、そこからフィーディングチューブを挿入し、
皮膚から出た先にをチャイニーズフィンガーという方法で結びます。
 これを使用し、飼主さんはお水、栄養剤、お薬などを与えることができます。
飼主さんが心配するほど、動物は嫌がらず気にせず居てくれるので
飼主さんからもびっくりされます。
 猫ちゃんの場合、腎不全、肝リピドーシスなどの疾患の際に役立ちますし、
お薬が苦手で飲ませると、泡を吹いて飲んだかどうだか分からない子にも役立ちます。

 現在、食道チューブは日本ではさほど、多く利用されていないのは
飼主さんがこのような方法をあまり知らされていないのと、動物病院の先生も
されない方が多く居るのが現状なんでしょう。
 確かに、見た目は想像以上に痛々しいですよね。
僕の犬猫でも、これをしますと言われると少し考えますね。
 食道チューブは特に猫に有用な方法で今後、使用頻度が増える治療の1つになると思います。
 こういった治療法もあること、また、使用経験のある飼主さんのお話を聞くと
皆様に喜ばれる治療法の1つなので今後とも本院では飼主さんの選択の1つとして
お話をしようと思います。
 現在、この子も飼主さんも元気にしていらっしゃいます。
また、飼主さんもあれは良い!!と言っていただいています。
もちろん、ワンちゃんも気にせず、着けてもらっていますよ。
 
ダックスの術後縫合糸肉芽腫の摘出術
 M、ダックスは人気のある犬種第1位です。
しかし、この子のように免疫疾患が多い犬でもあります。
免疫疾患というと、アレルギー性皮膚炎というのが有名ですが、
ダックスはアレルギー皮膚炎よりも、膠原病(リウマチ疾患)、血液疾患(AIMHA)、
などの疾患のほうが多いのかも知れません。

 この子は、2歳半で近くの病院で避妊手術を受け、
6歳のときに、血尿で他の病院で尿管を巻き込んだ癌と診断され
投薬で様子を診ていたのですが、やはり、『癌』と診断を受け、心配になり
本院へ紹介で来院された子です。

 6歳の避妊済のダックスで、3ヶ月前から血尿を主訴に通院していたようです。
お腹に腫瘍があるということで、そこの病院で試験開腹行い、尿管を巻き込むような
腫瘍を確認し、癌と診断され、お腹を閉じたようです。
 その後、お薬で血尿は改善したものの、飼主さんは癌と診断され、
とても心配になり、本院を受診されました。

 さっそく、尿管を巻き込むような腫瘍を確認するために精密検査を行いました。
血液検査、胸部、腹部レントゲン、超音波検査、尿検査を行いました。
結果、お腹に癌と思われる病変はなく、膀胱の下に、血流の少ない塊を確認し
飼主さんには、癌の疑いは少ないことをお伝えし、避妊時に使用した糸が
反応し、肉芽腫をおこしたものとお伝えしました。
 飼主さんは癌でなくて安心されたもの、体に変なものがあり、
治るのであれば、何とかしてあげたいと、治るのであれば、手術も構わないと
悩まれた結果、決められたようです。

 このように、皮膚に炎症があり、その下には、手術の際に使用された
糸が触れました。

肉芽腫 術前

 皮膚を切開すると、2ヶ月前に使用された糸がまだ溶けずに
炎症性の肉芽となり、盛りあがっていました。

肉芽腫 皮下

 お腹を開けるとこのように、膀胱にくっついた塊を確認しました。

肉芽腫 開腹 1

 さらに癒着を剥離し、確認すると、尿管を巻き込み避妊時の子宮が確認できました。

肉芽腫 開腹2 全体

 癒着を剥離していくと、子宮頚管を確認し、この場所で溶ける糸(吸収糸)で
念のため、モノクリルという吸収糸を用い、切り離しました。

肉芽腫 膀胱一部切除

 このように、避妊時の子宮の断端は大きな塊のようになっており、
どこが子宮かは分からない状態です。
 また、切り離した子宮は膀胱に癒着を起こし、剥離を試みましたが、
癒着がひどく、膀胱の一部を切除しないといけない状況でした。

 飼主さんには術前に、膀胱を一部切除することもお伝えしていたのと、
手術中に飼主さんも立会いの手術だったので、膀胱の癒着がひどく、
膀胱の一部を切除しないといけないことをお伝えし、膀胱を切除しました。

肉芽腫 膀胱一部切除

肉芽腫 膀胱縫合後

 膀胱の糸も吸収糸を使用し、副反応の無いように、縫合しました。
切り取った子宮と膀胱の一部、また、膀胱に付着ししていた糸を含め
病理検査を依頼しました。

 \肉芽腫 腫瘍塊

 術後、飼主さんはワンちゃんが覚めるのを見ながら、安心されていました。
術前のお話では、最悪、尿管を切り離し、移設することもあるかもというお話だったので、
飼主さんも手術に立ち会われましたが、膀胱の一部切除のみで済んだので、
かなり安心され、喜ばれていました。
 術後は膀胱に尿道カテーテルを留置し、2日後に退院となりました。
手術の翌日から食欲もあり、元気に帰宅されました。
 術後、2日は血尿が続きましたが、その後は、順調に回復されています。

 病理検査では『肉芽腫性炎』と診断され、
避妊時の縫合糸(非吸収・編み糸)を使用されていたことにより、
ダックス特有の炎症性に反応し腫瘤になったものと診断されました。

 今回の手術に使用した糸は全て、吸収性のモノクリルにしていますので、
今後、このような反応性の腫瘤できないでしょう。

 飼主さんは癌でなくて良かった。
また、これからも一緒に居られることを喜ばれていました。
抜糸が済めば、今までのように、元気に過ごせると思います。
 体重が少しメタボ気味なので、心配ですが・・・。

copyright 2005-2007 新千歳動物病院のブログ all rights reserved. powered by FC2ブログ. designed by sherrydays.