新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

マイボーム腺腫の形成外科
 眼の周りにイボのあるワンちゃんが来院されることがあります。
飼主さんは、「前からあるけど、気にしないから、そのままなの」と
お話をされる方がいらっしゃいます。

 この子は、以前、同じ場所にイボができ、
他の病院で切除したのですが、その後に再発したけど
また、取っても再発すると考え、そのままにしていたそうです。
 紹介で、本院に来院され、眼のイボがかなり大きくなっていること、
イボはきちんと切り取れれば再発は無いことをお伝えし、手術となりました。
 イボの正体は『マイボーム腺腫』です。
良性の腫瘍ですが、どんどん大きくなります。
 この子も、どんどん大きくなり、角膜に当たるので心配されていたそうです。

マイボーム腺腫

 このように内側まで大きくなっています。
マイボーム腺腫 柴 オペ後 1

 マイボーム腺腫は内科的には治癒せず、やはり外科的に(切り取るしかないです)。
前の病院では表面だけ切り取り、マイボーム腺の除去まで行わなかったのが
再発の原因です。
 今回は飼主さんも、ワンちゃんが12歳と高齢になっているので
これで手術は最後にしたいとおっしゃているので、完全切除を計画しました。
 しかし、この大きさのイボなので、切り取るというと
下のマブタの半分がなくなり、美観的にも、生活的の支障が出るので、
切除後、形成術を行うことになりました。
 人のほうでは、美容形成が普通になっており、手術を経験されている方も
少なくないと思います。
動物のほうでも、腫瘍の切除後、以前は、そのままの美的にどうかと思うような姿で
手術が割っていましたが、現在は、動物も治せる所は治そうというのが最近の見解です。
 この子も、眼という非常に見た目も重要な部位なので形成外科を行いました。

 マイボーム腺腫 柴 オペ 後 2

マイボーム腺腫

 手術法は『前進皮弁法』といい、しっかりとマージンを取り、
その後、皮膚に切れ込みを入れ、切除した部分を補い、溶ける糸で
皮弁を形成し、なるべく、元の状態に戻す方法です。
 この方法で元の状態に近づけ、飼主さんがワンちゃんを見る度に心が痛くならないように
する手術法です。

マイボーム腺腫 柴 オペ 割面

 切除した腫瘍は中に角質がたまり、診断は『マイボーム腺腫』でした。
悪性所見はないので、これで一安心です。
 最近、腫瘍の手術でも取れば終わりではなく、術後の見た目も考慮し
飼主さんと手術に関してお話をしています。
 この子の飼主さんも当初は見た目はどうでも良いと言われていましたが
やはり、毎日、ましてや、これから一生、見るとなると見るたびに手術のことを思い出し
心を痛めるので、やはり手術後の見た目も重要だと思います。

 本院では手術、特に腫瘍などの際は、術後のことも考え
形成外科も行っています。
特に顔の周囲の手術には細心の注意を払い、また、可能な限り
形成外科の手術法を取り入れています。

 腫瘍が良性で、見た目も元に戻り、飼主さんも喜ばれていると思います。
見た目が一番ではないですが、見た目が改善できるなら、心の痛みにならないので
積極的に形成外科を行うと良いのかも知れませんね。
スポンサーサイト
A.コッカーの緑内障
 アメリカンコッカースパニエルはとても愛されている犬種です。
しかし、獣医学から見ると眼の病気の多い犬種でもあります。

 この子は、昨年の春に眼がおかしいと来院されました。
診察をすると、右目だけが異常に赤く、涙も出ていました。
すぐに、眼圧を測定すると8mmHg(正常は12~20mmHg)と低く
炎症などからぶどう膜炎と診断しました。
コッカーは眼の病気が多いので、精密検査を行い、
弱令性白内障が見つかりました。
 この病気は先天性の白内障で、若い犬が白内障を起こし、
眼が見えなくなる病気です。
 この子も、コッカーという犬種から遺伝性に発症したと思われました。
本院では、専門の機械が無いことから、白内障の乳化術は
大学にお願いいたしました。

 大学で、すぐに手術を行い、眼は見えるようになりましたが、
術後、半年で、ぶどう膜炎を再発し、緑内障にもなりました。
大学と連携し、なんとか、治療していましたが、
先週、急に眼圧が上がり、来院された際には、眼圧が上昇しすぎて
急遽、大学での精査を行い、緑内障により、視覚がなくなり、
緑内障の手術が必要と診断されました。
 大学と飼主さんと、本院と3者で相談し、本人での外科的治療となりました。

 術前です。
緑内障 コッカー
 緑内障により、瞳孔が散大し、目やにも出ています。

緑内障 コッカー2

 このように、強膜は血管が怒張し、いわゆる『牛眼』となっています。
手術は緑内障の場合、大きく分けて2つに分類されます。

1.視覚が残り(見えている場合)・・・眼房水の産生を抑制、流出を促進する方法
2.視覚がなく、改善できない場合(見えていない、もしくは手術しても改善が見込めない場合)
   
 今回は大学でERG(網膜電位)の検査で視覚はなくなっていること、
また、視覚の開腹は見込めないことから、2、の手術になりました。
 
 2、には  ○シリコン義眼挿入術
        ○毛様体破壊術
        ○ゲンタマイシンの硝子体内注入術
        ○眼球摘出術
 などがあります。

 上記の中で、どれがベストかは全て飼主さんとお話をしますが、
今回の場合、白内障手術により、人工レンズが入っていること、
見た目も重視、また経済的なこと、再発しないことなどを考え、
義眼と薬液注入のどちらかでしょうねと飼主さんと相談しました。

 飼主さんは色々、悩まれ薬液注入を選択されました。
手術は、本院でも良く行う手術で、難しい分類には入りませんが、
かなり眼圧の上昇していた子なので、術後、眼を一時的に塞ぐ
手術も行い、手術は無事終了し、術後、3時間後には帰宅されました。

緑内障 コッカー3

 術後は、眼をこすらないように、エリザベスカラーを付けていただき、
痛み止め(抗炎症剤)を飲ませていただき、1週間後に抜糸となりました。

 このように、緑内障は犬の場合、ほとんどの子が
点眼薬でコントロールできなくなります。
この子は、飼主さんも熱心で大学まで行かれ、超音波乳化術と
人工レンズを入れていただいていますが、術後、ぶどう膜炎を起こし
緑内障になり、手術となりました。

 コッカーの若令性白内障は遺伝的な要素が強く
この子も遺伝的な疾患と思われます。
 緑内障は早期に見つけると、点眼薬でのコントロール
もしくはレーザーにての眼圧のコントロールも可能になりました。

 怖い病気ですが、早期に見つければよい結果につがることも多いので
コッカー、ダックス、シーズー、プードルの飼主さんは目と目を合わせてにらみっこしてください。
 何かおかしいと思う点があるかもしれません。

 この子は、術後、片方の目が健在なので点眼薬とともに
元気に過ごしています。
膀胱癌の外科手術
 秋から冬にかけてワンちゃんがおしっこに血が混ざると
来院されることが多いです。
きっと、1日に飲む水の量と、排尿回数、気温によるものだと思います。

 この子も、おしっこに血が混ざると来院されました。
もちろん、元気も食欲もしっかりあります。
 本院ではおしっこに血が混ざると来院された場合、
必ず、2つの検査を行います。

1.膀胱、前立腺、子宮などのエコー検査(超音波検査)
2.尿検査

 レントゲンは?と思われるかも知れませんが、
レントゲンは状況により、する場合もありますが、
必ず検査を行うというわけではありません。

 この子も、いつものように、膀胱のエコー検査を行い、
膀胱内に直径0.8cm大の腫瘤が見つかりました。
同時に尿検査を行いました。
 そのときのエコー画像がこちらです。


膀胱腫瘍 編集

この子は初診時に膀胱に腫瘤があることで、精密検査となりました。
検査は、膀胱洗浄を行い、膀胱内の尿を集め、遠心分離を行い、
その沈んだ細胞を病理の先生に提出します。
 本院では、この方法と同時に、尿道から内視鏡用の器具を利用し
エコー下で細胞を摘んで取ってきます。
 この方が誤診がなく、病理検査の精度が上がります。
結果は数日で出ました。
 膀胱の中の腫瘍の約90%が悪性の腫瘍なので、
この子も、『移行上皮癌』いわゆる膀胱癌でした。
 この結果をすぐに飼主さんにお伝えし、
治療法を提示しました。

 1.外科的治療
 2.内科的治療
 3.ホスピス(緩和療法)

 飼主さんと全ての治療に一長一短があることをお伝えし、
まだ若く、これからまだ先が長いことから1.の外科的治療を選ばれました。
 
 外科的治療には、
1.膀胱全摘出術
2.膀胱部分切除 があります。
 飼主さんと何度か話し合い、2.の部分切除になりました。

 部分切除は、膀胱全てを取るのではなく、
腫瘍とその周囲の組織を取る手術です。
 
 手術は、点滴を開始し、尿道から膀胱にチューブを入れ、
麻酔をかけ、お腹を開けて膀胱にアプローチします。
この子は、かなりのメタボなので、膀胱までのアプローチが大変でした。


 膀胱癌 外観

指で摘んでいるのが、膀胱内の腫瘍です。
外からほとんどの場合、腫瘍が触ると分かりますが、
外観からは腫瘍があるのかは不明です。

 
 腫瘍の周囲を切開し、腫瘍の全体像を確認し、
マージンを決めます。


 膀胱癌 内観
 腫瘍自体はこんなに小さいですが、マージンは大きめに取り
確実に腫瘍と一緒に切除します。
 切除後、切った後を見ると結構、大きく切ったと思いますが、
手術後、切り取れているか、考えるより、良いので、可能な限り
マージンを取り切除しています。
 縫合は、連続縫合を進めていますが、最近の論文では
単層縫合でも連続2重縫合と変わらない張力がると言われており、
本院でも、特別なことがない限り、膀胱は単層縫合を行っています。
縫合糸はPDS(張力が6週間)続く、吸収糸を使用し、縫合を終了しました。

 膀胱癌 縫合後

 このように細かく縫合し、尿道からのチューブを使い、
膀胱を生理食塩水で膨らませ、水が漏れてこないかを確認後、
腹膜、皮下組織、皮膚をそれぞれ縫合し、2日間入院としました。

 膀胱癌 チューブ

 手術後、2日後に退院し、翌日、尿道チューブを抜き、
自宅での治療としました。
 自宅では、帰宅後から元気もあり、食欲もあり、
おしっこの回数も、飼主さんが考えていた以上に回数が少なく、
また血尿も少なく、びっくりされていました。

 病理の結果は、やはり悪性の移行上皮癌でしたが、
マージンは問題なく、脈管転移も認められず、問題ありませんでした。

 今後は、播種のことを考え化学療法をする予定です。
飼主さんは、初めて手術を経験されるので、事前に、手術のこと、
術後のこと、また、予後のこともお話をしていたので、びっくりは無かったと
おっしゃっていますが、心労は想像を越すものと思います。
 自分のことより、大変と全ての飼主さんはおっしゃいます。

 手術も無事終わり、また、結果も良く、飼主さんのお顔をも
元気になったので、少し安心しました。

 膀胱腫瘍は、ほとんどの場合、
膀胱炎の治療で改善し、見つかるまでに時間がかかります。
また、厄介なことに発症年齢も中高齢からで、元気食欲もあります。
 さらに、レントゲンでは見つかりにくく、尿検査でも
ほとんどの場合、上皮細胞が変性しており、腫瘍細胞と鑑別がつきにくいので、
とても厄介な腫瘍です。
 本院では、可能な限り、エコー検査を行い、早々に腫瘍を見つけるようにしています。
また、膀胱結石もレントゲンで見つからない結石もあるので
やはり、初診時からエコー検査を行ったほうが良いでしょうね。

 今回も初診時に腫瘍が見つかり、検査、結果治療まで
最短で終了したので、痛みもない検査ですので、安心して受診してください。
猫の歯槽膿漏
 人の歯槽膿漏は良く聞く病気ですが、
犬でも、猫でも多く見られます。
 この子も、以前から、口がくさいと飼主さんから
言われていたようです。
 
 現在、糖尿病で来院されており、毎日、インシュリンを自宅で
打っていただいています。
 当初は、糖尿病が落ち着いたら歯石も取りましょうと
お話をしていました。
本院では、犬も猫も糖尿病と診断された場合は、
メスの場合は不妊手術(避妊)をしていただき、また、
スケーリングも行います。
 これは、糖尿病患者さんは、ホルモンのバランスが崩れ
血糖のコントロールが難しく、また、子宮蓄膿症になりやすいからで、
スケーリングを行うのは、口のなかで、炎症があるとこれも
血糖のコントロールが難しいからです。
 この子も、歯石を取りましょうねと飼主さんとお話をしていたら、
このように、左の頬が腫れて、中から血が出てきました。


猫の歯槽膿漏術前


毛を刈ってみると、このようにパンパンに腫れて、中には血膿が多量に溜まっていました。


猫の歯槽膿漏 術前2

 このようになった原因は、歯石が溜まり、歯槽膿漏になったのもありますが、
糖尿病により、感染症が悪化したのもあると思います。
 すぐに、皮膚を切開し、血膿を排出し、中を洗浄し、
歯槽膿漏の歯を抜いて、スケーリング、ポリッシングを行いました。
術後は、抗生剤で感染症を予防し、現在は毛もはえて来て
切開の跡も分からなくなっています。

 現在は、インシュリンを打ち、同時に発生した
副腎疾患も治療しています。

 猫の糖尿病は最近、多くなり、経口血糖降下剤で様子を診ている子、
また、インシュリンを接種していただいている子も多くいます。
中には、日本のインシュリン(人の遺伝子組み換え)では血糖をコントロールできなく
海外から豚由来のインシュリンで糖尿病をコントロールしている子もいます。

 飲み水の量が増えたら、要注意です。
あれ?と感じているのであればすぐに連絡ください。

 また、中高齢になる猫ちゃんの飼主さんは
猫の口臭には気を配ってくださいね。
口臭がある子は、何らかの病気を持っていることが少なくありません。
中には、病気が無いのに匂いのある子もいますが。。。
 猫の死亡原因の上位に入る、腎不全も口臭から始まる子もいますので。

眼球の傷
 散歩中に他の犬が寄って来て、
咬まれそうになったことがあるという方もいるかと思います。

 この子は、近所を散歩していて、通りすがりの犬に咬まれ
それを止めようとした飼主さんも咬まれ病院に行かれました。
飼主さんが、病院の開く前に血相を変えて来院されました。

 お話を聞くと、散歩中、相手方の犬が飼主さんのワンちゃんに
近づき、いきなり噛み付いてきたようです。
 そこで、飼主さんが無我夢中で止めに入り飼主さんも怪我をしたようです。
すぐに診察に入りました。
明らかに右目から出血があり、眼球も左にくらべ小さくなっています。
 眼の検査を行い、眼の膜(強膜)に傷があり、そこから
眼の中の液(硝子体液)が抜け落ちて、眼圧が落ちているようです。
 状況をお伝えし、治療法を確認しました。
血液検査、レントゲン検査では特に異常は認められず、
すぐにフラップを形成し、経過を観察しました。


 咬み傷による、眼球のダメージ

 受傷後はこのように、右目が左眼に比べ小さくなっていました。
また、出血も多く、最悪の事態も考えましたが、受傷後、7日目から
徐々に眼が元の大きさに戻り、2週間後には元に戻りました。
飼主さんも、僕より、先に、眼が元に戻ってきたと喜ばれて来院されました。

 この子は、運も良かったのと、早い治療が効をそうしたのだと思います。
散歩中に咬まれる、ドッグランで咬まれるなどの事例が年々、増えています。
咬まれるのも痛いですが、咬んだほうの飼主さんも犬好きの方なので、
心労を考えると、一昔前に『うちの子に限って』というのがあったように、
犬でもそのようなことがあるかもしれません。

 今回は、無事に治ったので、大きな問題になりませんでしたが、
昨年は、このように咬まれたワンちゃんが失明したケースもあります。
 お互いに、気をつけるしかありませんね。
傷つけられるほうも、傷つけたほうも、苦しいと思います。
うちの子に限ってと思わず、共同生活を楽しめればと思います。

 この子の飼主さんの喜びようが今でも眼に浮かびます。
治ってくれて、本当に良かったですね。


copyright 2005-2007 新千歳動物病院のブログ all rights reserved. powered by FC2ブログ. designed by sherrydays.