新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

プードルの帝王切開
 私自身も、プードルを4頭飼っており、
そのせいか、病院にプードルの患者さんも多く来院されます。

 また、プードルの出産も多く、この子も、妊娠し、
出産となりました。
 犬は、『安産の神様』とも言われますが、
犬種によっては、そうではない種類もいます。

 この子のお母さん、姉妹も出産の際、
難産で帝王切開となりました。

 この子も、出産の予定日になり、
体温も徐々に落ち、そろそろかと構えていても
食欲はあるし、巣作りもしないので、飼主さんも心配になり、来院されました。
 たしかに、体温は37度を切り、そろそろかと思わせる感じはありました。
年のため、超音波を使い、胎児の心拍を数えると低くなっていました。
 飼主さんもその場に立会い、全様を見ていただいていました。
すぐに飼主さんと話をし、もう少し、様子を見る、ホルモン剤で様子を見る等など
お話をした結果、このまま帝王切開ということになりました。

 早速、血管を確保し、血液検査を行い、お腹の毛を刈り、
手術に備えました。
 手術は、胎児が4頭なので、飼主さんもお手伝いしてもらいました。
もちろん、手術を手伝ったわけではなく、取り出し子供をさすってもらう役です。
 それでも、飼主さんは緊張されていたと思います。
手術から約50分で手術は終了し、その後、1時間でお母さんと、
生まれたばかりの赤ちゃん4頭と一緒に退院されました。


プードルの赤ちゃん

 首に付けているヒモは出産の順番です。
なんと、4頭とも女の子ばかりでした。
 みんな同じカラーで、元気な子ばかりです。

 今後、2頭を大切にしていただける、飼主さんに
お譲りしたいと考えていらっしゃいました。
 このお母さんも、7頭生まれた中の1頭で、
今でも、兄弟たちとお会いできるので、楽しいとおっしゃっていました。
この子達も、良い飼主さんに恵まれ、飼主さん同士も
良いお付き合い出来れば良いですね。
 飼主さんも良い飼主さんにもらわれていく事を
寂しさ半分でお話されていました。

 現在、親も元気で、あかちゃんも元気にすくすく育っています。

 
スポンサーサイト
ソケイヘルニアの外科適応
 小型犬がお腹を飼主さんに触られ、
うれしそうにしているのを良くみかけます。
 その時に、お股の付け根がポコッと出ているのに
気づくことがあります。
 本院では、子犬の時に見つけることが良くあります。
そこの場所は、『鼠径・ソケイ』といいます。
『鼠径:ソケイ』とは、足の付け根の部分で、僕たちが開脚すると
すごく痛い場所です。
 ソケイは字のごとく、鼠(ネズミ)が通るくらい小さい穴という意味です。
オスの場合はここを精巣が通り下降するので、ごく、わずかな穴が開いていますが
メスの場合、ほとんど閉じています。

 この子は、以前から穴が開いており、
今までかかりつけの病院で、手術の必要は無いといわれ様子を見ていたそうです。
しかし、徐々に、その場所が腫れてきて、ピンポン球くらい大きくなり
心配になり、本院に来院されました。

 ソケイヘルニア 術前
 
  寝かせると、ポコッと出ているように見えませんが、
普通の姿勢でいると、かなりポッコリと出ています。
 手術は、ソケイ部を切開し、ソケイ輪から出ているものを確認し返納し、
ソケイを縫い縮めます。

ソケイヘルニア 術中.

 ソケイから出ていたのは、お腹の中の脂肪でした。
病院によっては、この脂肪を切り取り、縫って終了の病院もありあますが、
本院では、脂肪は元の場所に戻し、ソケイを縫い、穴を閉じ、
皮下脂肪を縫い、皮膚を縫い終了です。
こうして見ると、結構大きく、出ているのがわかります。


ソケイへヘルニア 術後

 術後は、その日に退院となります。
12時に預かり、5時に退院しました。
 その後、10日後に抜糸を行い、元気にしています。
この子は女の子で、不妊手術もされていました。
 可能であれば、不妊手術の際、同じ切開で、この手術は可能なので
一緒にしてあげると良かったのですが。
 本院では、ほとんどの場合、不妊手術と一緒に行います。
今回は、出ているヘルニアが大きかったこと、また、
不妊手術をされていたので、飼主さんと相談の上、
ヘルニアの上からアプローチしました。
 
 もし、ソケイに何かあれば、先生と相談し
可能であれば、不妊手術の際、一緒に閉鎖しえもらうのが
良いかも知れません。

 この子は、少し、太っていたので、
飼主さん太っているのもこの疾患の要因の一つになったと考えられ
減量に励むとおしゃっていました。
 要因ではないのですが、飼主さんががんばろうと思うことは
とても良いことなので、励ましを行いました。

 無理せず、減量を楽しんでくださいとお伝えしました。



胆嚢・粘液嚢腫
 粘液嚢腫(ねんえきのうしゅ)とは
胆嚢の中に入っている、胆液(胆汁)がネバネバと粘調度を上げ
胆嚢自体が収縮出来なくなる状態を示しています。


 本院では、エコー検査の回数が多く、
血液検査で異常を認めない胆嚢疾患を数多く診察しています。
 この子も、以前から肝臓の血液検査では異常も無く、
レントゲン、尿検査でも異常が認められず、健康体と考えられていました。
 年に1度の健康診断で、腹部エコー検査を実施したところ、
胆嚢中に白いものが見つかり、胆泥(たんでい)と診断しました。
 胆泥があるから、すぐに手術などは行いませんが、
悪化し、粘液嚢腫になったり、胆石に移行したり、胆管肝炎に移行する場合もあるので、
内服薬をお出しし、経過観察することになりました。

 2ヵ月後、再検査でエコー検査を行い、
胆嚢が『キウイフルーツの輪切り状』と呼ばれるエコー像になっており、
飼主さんに、粘液嚢腫であることをお伝えし、手術の話も行いました。
 粘液嚢腫の手術は開腹して、胆嚢を全摘出します。
手術自体は、経験のある先生が行えば、問題はありませんが、
手術の難しさとは別に、術後の悪化が多いことが問題になります。
 
 手術の合併症、術後の経過、術後の最悪の事態も全てお話し
理解された上での手術となります。
 飼主さんと30分以上お話をし、しっかりと理解された上で手術となりました。
血液検査で、肝臓の数値、凝固系、蛋白などの手術に関する検査を行い、
また、手術の際、胆嚢を切除するだけでなく、今後の指標にもなるので、
肝臓の一部(ごくわずか)を取り、病理検査に出すこともご理解いただきました。

 手術は無事、終了しました。
お腹を開けた際の、胆嚢の写真です。


胆嚢切除
 
 カンシで摘んでいるのが大きくなった胆嚢です。
この胆嚢を切除し、半分に割ったのがこの写真です。


 胆嚢 割面

 このように、中は黒く、がちがちに固まっています。
こうなると、胆液は胆嚢から総胆管を流れなくなり、
肝臓に異常をきたします。
 粘液嚢腫が悪化すると、胆嚢破裂を起こし、最悪は死にいたります。

 手術は総胆管の開通を確認し、肝臓の一部を生検し
ドレーンを留置し、お腹を閉じました。
 術後、ドレーンからの排液もなく、黄疸も出ずに
軽度の肝数値の上昇を認めたものの、無事、3日後には退院されました。
 飼主さんも熱心で、毎日、お見舞いに来られ、元気になる姿を
喜ばれていました。
 現在、この子は胆管肝炎の合併症はあるものの、
元気に、過ごしています。
  
 胆嚢粘液嚢腫は珍しい疾患ではありません。
腹部エコー検査でよく見かける疾患です。
また、確定診断も難しくありませんが、いつ、外科手術を行うかは
議論されている点です。
 粘液嚢腫になっていても、ぜんぜん臨床症状にあらわれない子も多く
たまたま見つかるパターンが多いのです。
 今回は飼主さんとその辺りの事をよく話をおこない、
外科手術になりました。
 手術に関しては、簡単、難しいは関係なく、
しっかりと獣医師と相談してから行うことが重要なことだと思います。

 下記に胆嚢粘液嚢腫の論文を転記いたします。

胆嚢摘出術を受けた犬23頭を含む胆嚢粘液嚢腫の犬30頭での長期的結果を確認するために回顧的研究を行なった。23頭の犬には全身性疾患の症状がみられ、7頭には臨床症状がなかった。血清ALTとALP活性、血清総ビリルビン値、そして総WBC数の中央値は胆嚢が破裂していない犬よりも破裂している犬の方が有意に高かった。超音波検査が破裂を検出する感度は85.7%であった。全体的な周術期死亡率は胆嚢摘出術を受けた犬に対して21.7%であり、破裂のあった犬の死亡率の方が有意に高いということではなかった。退院した犬18頭全ての臨床症状は完全に解消されていた。12頭中9頭で1つ以上の血清肝酵素活性の持続的な上昇が検出され、12頭中6頭には、肝臓のエコー源性に関して持続する異常所見がみられた。平均追跡期間は13.9ヶ月であった。

結果から、胆嚢摘出術は胆嚢粘液嚢腫に対し効果的な治療法であることが示唆される。周術期死亡率は高いが、退院後の予後は優良である。胆嚢破裂は緊急手術を要するが、良好な結果の妨げとなるものではない。
鼻腔内腫瘍
 犬の鼻水、くしゃみ、鼻血は獣医師にとって
大切な症状です。

 本院では、ワンちゃんが鼻水、鼻汁、鼻血を主訴に来院されると
必ず、鼻の中の腫瘍(鼻腔内腫瘍)のお話をします。
 犬は風邪をひかないので、鼻にまつわる病気といえば、
鼻炎(アスペルギルス、クリプトコッカス、アレルギー、細菌性、ウイルス性)が多いと思われます。
 
 この子は1週間前から鼻汁が多く出ると来院されました。
10歳の大型犬です。
 飼主さんは「風邪をひいたのかな?」と来院されました。
犬は風邪に似た病気はあるけど、風邪は引かないことをお伝えし
診察に入りました。
 鼻汁は片方の右の鼻からのみ出ていました。
それ以外、特に異常所見は認められませんでした。
検査をお勧めしましたが、飼主さんは大した事じゃないとお薬を希望されました。
 抗生剤、抗炎症剤をお出しし、「良くならなければ来院してください」と
お伝えし、念のため、鼻の腫瘍のこともお伝えしました。
 1週間後、鼻汁は変わらず出るので、再診されました。
すぐに、血液検査、レントゲン検査、鼻水の培養を行いました。
しかし、特に異常は認められず、飼主さんに精密検査をお勧めしました。
 症状が2週間も続いているので、検査を行いました。

 検査は、お鼻のレントゲン、スメア検査、MRIです。


 佐藤サム MRI

このように、MRI画像では、脳の近くまで
お鼻の腫瘍が入り込み、神経障害も出ている状況でした。
 飼主さんに、手術、化学療法、放射線療法のお話を行いましたが
自宅で、最後まで見てやりたいとおっしゃり、対処療法を選択されました。

 その後、治療の甲斐なく、2ヵ月後に天国にめされました。
最後まで自宅で看病され、悔いはないようでした。

 本院では鼻水、鼻汁などの症例は、
必ず、腫瘍を念頭において診察しております。
 
 ワンちゃんの鼻水、鼻汁が続くと感じたら
腫瘍を思い出してください。
そして、獣医師に相談してみてください。
 

copyright 2005-2007 新千歳動物病院のブログ all rights reserved. powered by FC2ブログ. designed by sherrydays.