新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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細菌性脊椎炎の内科療法
 7歳のワンちゃんが元気なく、なんかおかしいと来院されました。
飼主さんにお話を聞くと、最近、抱っこすると『キャン』と鳴いた、
また、階段の上り下りをしなくなった、寝ている時間が多くなったとおしゃっていました。

 早速、診察をすると、腰骨を触ると、
痛みがあり、嫌がります。
 飼主さんに、ヘルニアなどの脊髄疾患を疑い、
レントゲンを撮らせていただくようにお願いすると、快諾されました。

 レントゲンを撮ってみると、このように、脊椎に変形が認められました。

細菌性脊椎炎

 この写真ではわかりづらいので、拡大した写真です。
細菌性脊椎炎 アップ

 このように、腰椎の1番目と2番目の間に明るくなる部分があります。
ヘルニアの場合、このような骨の変形は認めれません。
また、血液検査でも、異常所見は認められません。

 ヘルニアの場合、抗炎症剤、ビタミン剤、エラスポールなどを使用し
改善するか、手術をするかで改善します。
しかし、細菌性脊椎炎は抗炎症剤などで一時は改善しますが、
治ることはなく、逆に悪化することがあります。

 細菌性脊椎炎の原因は、歯石、歯槽膿漏が原因とも言われています。
心臓病、脊椎炎、肺炎なども歯石が原因の場合が多くあるので、
歯は大切にしないといけないと言うのは人も犬も猫も同じようです。

 この子は、飼主さんにヘルニアでは無い事、
治療に時間がかかることをお伝えし、当日から抗生剤の服用を始めました。
 3日後には徐々に元気になり、飼主さんも喜ばれていました。
治療は約4週間、抗生剤を飲み続けていただき、治療は終了となりました。

 後足がおかしいと、ヘルニアと考えがちですが、
ヘルニアに似た脊椎の病気があるため、早いうちに
診察、診断をつけていただくことが良いと思います。

 この子は、その後、元気にしています。
この病気が悪化することは無いと思いますが、
歯は大切にとお伝えしました。
 飼主さんも、自分の歯も見てもらいに行かれたようです。
 
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アテローム(粉瘤)
 犬の皮膚にイボが・・・。
皮膚に腫瘍が・・・。
以前、脂肪腫と言われました・・・。
と来院され、皮膚を良く見ると、『アテローム(粉瘤)』という
診断が付くことがしばしばあります。
 アテローム:粉瘤:keratoacanthoma(角化棘細胞種)はすべて
同じ病気の呼び名です。

 『アテローム』とは皮膚の一部が袋状になり、
その中に、角質・脂肪などが溜まり、破裂したりして、
中身が出てくることのある『皮内角化上皮腫』という良性の腫瘍です。
 『アテローム』は中に脂肪や角質が溜まることから
脂肪種と混同されがちですが、脂肪種はまさに脂肪の塊の腫瘍です。
アテロームは中に角質などが詰まった、袋です。
ですから、根本的に異なるものです。
 また、治療法も異なります。
 

 この子も、以前、「脂肪種ですねといわれ、イボの中から
脂肪のような白いものが出てきて小さくなり、再発を繰り返す」と
飼主さんが心配され、来院されました。

 よ~く見ると、やはり『アテローム』でした。
毛を刈り、近くで見るとこういう状態です。
この子のアテロームは破裂して、表面から少し、角質が出ている状態でした。


アテローム2
アテローム1

本院ではアテロームの治療は皮膚を切開し、
皮膚の中の袋を摘出する方法で完治します。
内服、注射などは行いません。
 しかし、この子のように、何度も破裂を繰り返した症例は
上記のような外科適応は難しく、やはり手術しかないと思われます。

 この子の飼主さんにも再発を繰り返し、
癒着が起こっているので、皮膚切開による、嚢(袋)の摘出は難しいことを
お伝えし、手術を行いました。
 
 手術は、袋ごと切除し、皮膚を縫合し終了です。
半日入院でお昼に預かり、夕方に帰宅されました。
術後も順調で、病理検査の結果を待っているところです。


アテローム 病理

 
 病理の結果はIntracutaneous cornifying epithilioma;皮内角化上皮腫でした。
いわゆる、良性の腫瘍(良い腫瘍)でした。
 腫瘍は良性と悪性に分けられますが、良性も悪性も腫瘍は腫瘍なので
大きくなる新生物です。
 違いは転移するか転移しないかです。
良性は転移せず、悪性は転移の可能性があることです。

 アテロームは様々な犬種に起こり、
再発を繰り返す傾向にあります。
 この子の飼主さんにも他の場所に同様のものができれば
小さいうち、破裂しなければ、手術は必要なく、診察時間の中で
処置が行えることをお伝えしました。
 
 ゴールデン、シーズー、M、シュナウザーに多く見られる疾患です。
皮膚にできものがあれば、早々に獣医師に相談してみてください。
 
 この子は性格も良い子で、おとなしいので、
アテロームが出来ても、手術ではなく、皮膚切開で
治癒するので、今まで以上に愛犬を触りまくってくださいねと
お伝えしました。

 お尻の傷が早く治ると良いですね。

猫の臍ヘルニア
 臍ヘルニア(デベソ)ともいいますが、生まれつき、臍帯(臍の緒)が
取れた後、そこの部分が少し隙間が開き、そこから脂肪などが出てくる病気です。

 犬では、小型犬に多く、チワワ、パピヨン、シーズーなどが
ワクチンの接種時に見つかることが多い、病気です。
しかし、猫では稀で、この子も健康診断の際、見つかりました。

 本院では、この臍ヘルニアの穴から、腸、脾臓などが飛びだした
犬を数回、診察し、緊急手術を行っているので、なるべく、手術をお勧めしています。
もちろん、手術しないからといって必ず、腸や脾臓が飛び出る訳ではありません。
また、臍ヘルニア=手術というわけでもありません。
 手術に関しては、飼主さんとよく相談し、決めています。

 この子は猫ということもあり、また、飼主さんのほうから
徐々に、ヘルニアの穴が大きくなり、その穴から何かが出てきているという事で
手術になりました。
 手術は、去勢手術も同時に行いました。


 猫の臍ヘルニア 

 このように、毛を刈ると直径2cmくらいのものが
ポコッと出ているのがわかります。
 この手術は飼主さん立会いの下、行われました。
手術は簡単で、皮膚を切開し、皮下脂肪を分けて、臍帯部に
くっついている腹腔内脂肪を剥離し、溶ける糸で腹膜を縫い、
穴を閉じて皮下脂肪を縫い合わせ、皮膚も縫い終了です。
 術中の写真です。


 猫の臍ヘルニアの術後

 このように、穴から脂肪が出てきているのがわかります。
現在は脂肪のみですが、この穴から腸、もしくは脾臓が飛び出してくると
食欲が無く、異常におなかを痛がり、丸まっていると飼主さんが連れて来られます。

 猫では珍しい病気ですが、犬では結構、この病気と知らず
飼っている方も少なく無いようです。
 
 もし、お腹にポコッとあるようでしたら、ご相談してください。
この子は、術後、少し元気がないようでしたが、今は元気になりました。
飼主さんも安心して、お腹をさすれるようになり、良かったですね。


手術後の(フェレットの)副腎腺癌
 このブログでも何度か紹介したフェレットの副腎腺癌ですが。
この子は、昨年の12月に左の副腎に腫瘍が見つかり、摘出手術を受けた症例です。
この手術に関しては、過去のタイトルから確認してください。

 副腎腫瘍の手術は左の副腎を切除し、
『腺癌』と診断され、1ヵ月後の定期検診に来院されたときの発毛状況です。

 これは、術前の状態。

フェレットのオペ前


 術後1ヶ月の発毛状態です。
フェレットの術後 発毛状態

フェレットの術後 発毛2
 
 飼主さんは大喜びで来院されました。
「先生、こんなに毛が増えて、体重も・・・」という状況でした。
 飼主さん曰く、「顔も変わったと」とおしゃっていました。
きっと、全身の毛が増えて、かつ、毛質も変わるので、そういう風に見えるのですね。

 おなかの毛も刈りましたが、術後1ヶ月でこのようにボーボーになっています。
 
 フェレットの副腎腫瘍は良性のものと、悪性のものがあります。
術前に病理検査を行い、良性であれば、『リュ-プリン』のような
内科療法も選択できますが、悪性の場合、内科療法では難しいものがあります。
 しかし、術前の病理検査が難しいの現状です。

 本院では、副腎に腫瘍が見つかった場合は、本院では、外科手術を念頭に置いて
治療させていただいていますが、年齢、健康状態、飼主さんの考えなど
すべてを考慮し、内科・外科の治療法を考えています。
 
 この子の場合、内科療法をしていれば、
少しの改善は認められるもの、悪性腫瘍なので、
『リュープリン』を始めとする、治療を選択しないで良かったと
飼主さんも私も認識した症例でした。

 フェレットの副腎疾患に関しては
担当の獣医師と、飼主さんが様々なことをしっかりと話し合い、
ベストの医療を目指して行ければ幸いです。
 
 この子に関しては、
手術は飼主さんも本人も大変だったと思われますが、
治ってくれて良かったと思います。
 2ヵ月後にまた、検診がありますが、
この状態がずっと続くと良いですね。

脊髄軟化症
  『脊髄軟化症』という言葉を聞いてすぐに理解される飼主さんは、多くないと思います。
本院では、外傷(事故)、重度のヘルニアなどで年に数回、診察されます。

 この子は交通事故にあった、小型犬です。
事故後、他の病院に入院し、改善しないので、紹介で本院へ来られた症例です。
 すぐに、レントゲンを撮ると、胸椎が骨折し、脊髄損傷も強く、後肢の麻痺も確認されました。
本院での手術の前に、大学での脊髄損傷の程度を確認してもらうためにCTをお願いいたしました。
これが、その際のCT像です。


ブーマーCT
このように、胸椎が完璧に骨折し、脊髄の損傷も重度でした。
すぐに、大学での手術を行い、無事、整復されましたが、
術中に脊髄の損傷の程度が悪く、術後、軟化症になることも告げられていました。

 術後、3日後、徐々に呼吸もできなくなり、軟化症に陥り、
治療の甲斐なく、亡くなりました。
 このように、早々に治療、手術を行っても、軟化症を治すことはできません。
可能ななのは進行を止めるくらいでしょう。
 脊髄神経は治ることはありません。

 もし、ヘルニア、脊髄損傷などで、治療される場合は
早期発見、早期治療が重要になるでしょう。
 内科療法で様子を診ることも大切ですが、手術で治るものを
しない手はないでしょう。
 外科適応か、内科適応かは難しい判断ですが、
本院では、可能な限り、画像診断、神経学的検査をしっかりと行い、
ベストの治療に心がけております。 
 下記に海外の論文からの抜粋です。
 

 脊髄軟化症は、急性脊髄傷害に続発する脊髄の出血性梗塞である。
脊髄軟化症は限局性、または広汎性かもしれない。
広汎性は典型的な神経症状の頭側への移動(上行性症候群)に関係し、しばしな致死的である。
 7頭の罹患犬の回顧的研究で、5頭の広汎性脊髄軟化症は椎間板突出に関連し、1頭の限局性脊髄軟化症は繊維軟骨塞栓に関連し、もう1頭は明らかな原因が無かった。
 脊髄造影像は、6頭(86%)に見られた様々な程度の脊髄内への造影剤浸潤、および/または6頭(86%)に見られた脊髄の腫脹だった。限局性脊髄軟化症の1頭で、唯一見られた脊髄造影像は脊髄の腫脹だった

外傷または椎間板ヘルニアに続発する重度の脊髄損傷のある犬87頭の医療記録を再調査した。椎間板ヘルニアの犬70頭のうちで手術が行なわれたのは64頭であった。結果から、脊椎骨折や脱臼の為にDPPがなく対麻痺となっている犬の予後は要注意であり、椎間板ヘルニアの犬では運動機能回復の見込みがより高いことが示唆された。運動機能が回復した犬の3分の1に、断続的な失禁が認められた。 J Am Vet Med Assoc 2003;222:762-769
ウサギのエンセファリトゾーン
 ウサギさんの飼主さんが以前から考えると増えています。
とくに、ミニウサギが流行?したせいもあるかも知れません。
また、千歳の場合、少し郊外に行けば、『子ウサギを譲ります』と
看板なども見受けられます。

 この子は、ペットショップで購入されたミニウサギです。
夜中に、頭が傾き、立てなくなり、夜間救急病院で診察を受け
本院に転院されてきました。
 このように右に頭が傾いています。

ウサギのエンセファリトゾーン


 微胞子寄生虫エンセファリトゾーン・カニキュリは、一般にウサギに感染します。
ほとんどの感染は、最初無症候性で進行しますが、
結果として多くのウサギはその後発症するといわれています。
 この病気の3つの主な型が認められます。

○眼型は、水晶体に過度のダメージやぶどう膜炎があるとき、白内障に関与
○神経型は、軽度なウサギの行動変化から、重度前庭疾患まで存在
○腎臓型に関与する症状は、慢性進行性腎疾患

 ウサギのエンセファリトゾーン症の鑑別診断は難しく、
エンセファリトゾーン症の動物は、血清反応陽性で予測されるが、
ほとんど見たところ健康なウサギも血清反応陽性なので、この検査は特異性がなく、
その結果は他の診断所見に照らし合わせて考慮すべきである。
 抗体がなければ、臨床医が他の鑑別疾患を考慮する理由とすべきである。
アルベンダゾールやフェンベンダゾールなどの薬剤は、E.カニキュリ感染に効果があると証明されている。
 支持療法と抗炎症薬剤療法も、必要なエンセファリトゾーン症の型もあるかもしれない。
  (一部、転記)

  
 この子は来院時はふらつき、飼主さんが支えないと倒れる状況でしたが、
3日間、注射を行い、支えが無くても倒れなくなり、その後はフェンベンダゾールの
液体(日本に無いので、海外から輸入)と抗炎症剤の投与をがんばって続けていただき
1ヵ月後には頭の傾きは残るものの、元気になり、体重も増え、飼主さんも
すごく元気になり、治療を終了いたしました。

 飼主さんも、ネットなどで、死ぬかも知れないと不安がっていましたが、
治療を進めるにつれ、元気になる、この子を見て不安も解消し、少し斜頚は
残るものの、それでも、生きているので、良かったとおしゃっていました。

 この治療は、必ず上手く行くとは限らないですが、飼主さんが
がんばっていただいたので、元気になれたと思います。

 次に会うときはもっと大きくなっていることを楽しみにしていますね。

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