それ以外の動物はファームから出す時点で既に手術済みか、専門の方しか
できない手術になっています。
本院では、鳥、霊長類(お猿さんなど)、お魚などは専門医を紹介し
そちらでの処置をしていただいております。
犬、猫の不妊手術に関しては、飼主さんにも情報が結構、あるので、
手術希望の方は担当医とゆっくり相談していただいています。
しかし、うさぎなどのエキゾチックは情報が少ないのが現状です 。
また、どの病院で手術ができ、どのような手術をするのかはわからないのが現状です。
今回、このようなことを考慮し、うさぎさんの不妊手術を取り上げてみます。
うさぎさんの不妊手術、とくに避妊手術は本院では卵巣子宮全摘手術を行います。
これは犬・猫と同様の手術方法で、卵巣も子宮もすべて取り除く手術です。
この手術を受けることで卵巣も子宮も体の中から無くなるので、将来、卵巣や子宮の
病気にならないという利点があります。
もちろん、卵巣のみ取り除けば不妊にはなるのですが、現在の動物医療では
子宮疾患も怖い病気なので同時に切除するようになってきました。
実際の、手術法はというと、術前に健康診断をさせていただいております。
とくに、血液検査、レントゲンなどを行います。
問題がなければ、飼主さんと手術の概要、術後の注意点などをお話します。
その後は、手術当日になります。
手術は血管確保を行い、導入薬を投与し、全身麻酔となります。
全身麻酔は吸入麻酔で、今までのように気管チューブの挿入は行いません。
これには賛否両論があるようなので、その辺りに関しては
飼主さんと事前にご相談のうえ、納得していただき手術となります。
(挿管に関しては、また詳しくお話しいたします。)
手術は、注射、導入、麻酔を行い、お腹の毛を刈り、術部を切開しましす。
切開はお腹の真ん中(正中)を約3~5cmほど切開します。
その後、子宮、卵巣を切除し、出血を確認のうえ、お腹を閉じます。
この写真は、子宮のみお腹から取り出した状態です。

さらに、卵巣を切除し、体から切り離します。
この写真は子宮、卵巣を切除した状態です。

このように、卵巣子宮を切除し、出血を確認のうえ、筋層(腹膜)、皮下織、皮膚を縫合します。
皮膚以外は吸収糸を使用します。
これは皮内縫合を行った後の状態です。

この後、皮膚を縫合し終了となります。術後の翌日に帰宅となります。
術後、傷を気にする子にはエリザベスカラーやバイトノットを使用しますが、
傷を気にしない場合は何もつけず、そのままにしておきます。
うさぎはカラーなどを嫌い、ストレスになりご飯を食べなくなることが知られているからです。
抜糸は約7~10日後に行います。
もちろん、麻酔などの必要性はなく、1分くらい終了します。
金額も犬の不妊手術と変わらないくらいです。
若いうさぎさん(1歳未満)の不妊手術は子宮間膜に脂肪がつかず
子宮道静脈が明確にわかりますが、1歳を過ぎると明らかに脂肪が沈着し
わかりにくくなります。
不妊手術を考えている飼主さんには、若いころの手術をお勧めしています。
犬と違い、若いころに不妊手術をした場合の乳腺腫瘍の発生率はいまだ
良く分かっていませんが、発せ率が低くなるといった論文もあることから
将来の病気の予防につながるかもしれませんね。
不妊手術はお腹を開ける大きな手術です。
皮膚のイボをとる手術とは違うので、良く考えて、先生と相談のうえ、
手術に臨むことをお勧めしています。