新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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胆嚢・粘液嚢腫
 粘液嚢腫(ねんえきのうしゅ)とは
胆嚢の中に入っている、胆液(胆汁)がネバネバと粘調度を上げ
胆嚢自体が収縮出来なくなる状態を示しています。


 本院では、エコー検査の回数が多く、
血液検査で異常を認めない胆嚢疾患を数多く診察しています。
 この子も、以前から肝臓の血液検査では異常も無く、
レントゲン、尿検査でも異常が認められず、健康体と考えられていました。
 年に1度の健康診断で、腹部エコー検査を実施したところ、
胆嚢中に白いものが見つかり、胆泥(たんでい)と診断しました。
 胆泥があるから、すぐに手術などは行いませんが、
悪化し、粘液嚢腫になったり、胆石に移行したり、胆管肝炎に移行する場合もあるので、
内服薬をお出しし、経過観察することになりました。

 2ヵ月後、再検査でエコー検査を行い、
胆嚢が『キウイフルーツの輪切り状』と呼ばれるエコー像になっており、
飼主さんに、粘液嚢腫であることをお伝えし、手術の話も行いました。
 粘液嚢腫の手術は開腹して、胆嚢を全摘出します。
手術自体は、経験のある先生が行えば、問題はありませんが、
手術の難しさとは別に、術後の悪化が多いことが問題になります。
 
 手術の合併症、術後の経過、術後の最悪の事態も全てお話し
理解された上での手術となります。
 飼主さんと30分以上お話をし、しっかりと理解された上で手術となりました。
血液検査で、肝臓の数値、凝固系、蛋白などの手術に関する検査を行い、
また、手術の際、胆嚢を切除するだけでなく、今後の指標にもなるので、
肝臓の一部(ごくわずか)を取り、病理検査に出すこともご理解いただきました。

 手術は無事、終了しました。
お腹を開けた際の、胆嚢の写真です。


胆嚢切除
 
 カンシで摘んでいるのが大きくなった胆嚢です。
この胆嚢を切除し、半分に割ったのがこの写真です。


 胆嚢 割面

 このように、中は黒く、がちがちに固まっています。
こうなると、胆液は胆嚢から総胆管を流れなくなり、
肝臓に異常をきたします。
 粘液嚢腫が悪化すると、胆嚢破裂を起こし、最悪は死にいたります。

 手術は総胆管の開通を確認し、肝臓の一部を生検し
ドレーンを留置し、お腹を閉じました。
 術後、ドレーンからの排液もなく、黄疸も出ずに
軽度の肝数値の上昇を認めたものの、無事、3日後には退院されました。
 飼主さんも熱心で、毎日、お見舞いに来られ、元気になる姿を
喜ばれていました。
 現在、この子は胆管肝炎の合併症はあるものの、
元気に、過ごしています。
  
 胆嚢粘液嚢腫は珍しい疾患ではありません。
腹部エコー検査でよく見かける疾患です。
また、確定診断も難しくありませんが、いつ、外科手術を行うかは
議論されている点です。
 粘液嚢腫になっていても、ぜんぜん臨床症状にあらわれない子も多く
たまたま見つかるパターンが多いのです。
 今回は飼主さんとその辺りの事をよく話をおこない、
外科手術になりました。
 手術に関しては、簡単、難しいは関係なく、
しっかりと獣医師と相談してから行うことが重要なことだと思います。

 下記に胆嚢粘液嚢腫の論文を転記いたします。

胆嚢摘出術を受けた犬23頭を含む胆嚢粘液嚢腫の犬30頭での長期的結果を確認するために回顧的研究を行なった。23頭の犬には全身性疾患の症状がみられ、7頭には臨床症状がなかった。血清ALTとALP活性、血清総ビリルビン値、そして総WBC数の中央値は胆嚢が破裂していない犬よりも破裂している犬の方が有意に高かった。超音波検査が破裂を検出する感度は85.7%であった。全体的な周術期死亡率は胆嚢摘出術を受けた犬に対して21.7%であり、破裂のあった犬の死亡率の方が有意に高いということではなかった。退院した犬18頭全ての臨床症状は完全に解消されていた。12頭中9頭で1つ以上の血清肝酵素活性の持続的な上昇が検出され、12頭中6頭には、肝臓のエコー源性に関して持続する異常所見がみられた。平均追跡期間は13.9ヶ月であった。

結果から、胆嚢摘出術は胆嚢粘液嚢腫に対し効果的な治療法であることが示唆される。周術期死亡率は高いが、退院後の予後は優良である。胆嚢破裂は緊急手術を要するが、良好な結果の妨げとなるものではない。
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