新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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ソケイヘルニアから脱出した子宮蓄膿化した卵巣子宮の全摘出術(M、ダックス)
 
 下記には、手術中の写真を掲載しております。

 Mダックスのヘルニアというと
胸腰椎の椎間板ヘルニアだと思われています。

 この子は、鼠蹊部(ソケイ)のヘルニアです。
場所は、股の付け根に元々、小さな穴が空いており、
先天的に大きな穴が空いている場合をソケイヘルニアと言います。
 その穴から、脂肪のみが出ている場合、
特に大きな問題になりませんが、今回のような
後天的に、ソケイ部から子宮と卵巣が飛び出し、その子宮に膿が溜まっている場合は
とても危険です。

 最近、ソケイ部が腫れて来て
飼主さまは心配になり、かかりつけの病院で、診察を受けました。
ソケイヘルニアと診断され、手術は必要ないと言われ経過を見ていました。
 経過を見ているうちに、どんどん、大きくなり、
食欲も無く、元気も無くなり、心配になり
5日経っても食欲もなく、心配になり紹介でお電話をいただきました。
 飼主さまの事情で、往診で、お家にお伺いしました。

 初診時は、このように、かなり大きな、しこりになっています。
触っても痛くなく、ぐったりしています。
 これは、超音波検査の模様です。

 ソケイ腫瘤 術前

 手術前に、ソケイから飛び出ているものを
超音波検査で確認し、手術の術式を決めていきます。
 手術は、常法通り、正中切開を行い、
お腹の中から、飛び出しているものを確認します。

ソケイヘルニア 術中1

 その後、ヘルニア部の皮膚を剥離したうえで、ヘルニア嚢を
切除し、ヘルニアの中身を取り出します。
 ヘルニアの中身は、下記のように、子宮蓄膿症化した子宮と
卵巣と脂肪でした。
 幸せなことに、膀胱と、腸管は出ていませんでした。

ソケイヘルニア 術中2

 ここまで来ると、大きな血管もなく、尿管も確認し
卵巣と、子宮を切除します。
 切除後、ヘルニア嚢と膜を切除しました。
下記は、大きく開いているヘルニア孔と子宮の断端が見えています。

 ソケイヘルニア 術中 3

 大きく開いているヘルニア孔をPDSの吸収糸で縫合し、
血管と神経を閉じました。
 
 ソケイヘルニア 術後

 術後は、すぐに覚醒し、飼主さまと面会をされて、
2日後に退院となりました。
 術後から、とても元気になり、吠える元気も出てきました。
飼主さま2人とも、心配されていましたが、
現在は、飼主さまもビックリするくらい、元気です。

 ソケイヘルニアは、ずっと、その状態をキープしたままの場合もあります。
しかし、中には腸管、子宮、膀胱などが飛び出すこともあります。

 手術するべきかは、担当獣医師を御相談のうえ、
お決めいただけると良いと思います。
 ソケイヘルニアは、緊急性がある疾患ではありませんが、
悪化、もしくは、緊急な治療が必要なこともあります。

 その辺りを、獣医師をよく話合っておくことをお勧めしております。
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