新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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犬の瞬膜に発症した腺癌の外科手術
 イヌやネコの目には瞬膜という組織があります。
瞬膜を御存知の無い方もいらっしゃるかと思います。

 瞬膜とは、第3眼瞼ともいい、まぶたの内側、角膜の外側にある
半透明の組織です。
 役割は、眼球の保護とくに、角膜の保護を担っています。

 この瞬膜が裏返るとチェリーアイと言われる疾患で
良く見かける疾患です。

 飼主さんから涙が多くなり、眼が腫れているという
症状で来院された、高齢のビーグルです。

 診察をすると、目頭の部分が腫れており、
涙も出ていました。
 おとなしい子なので、検査を実施しました。
検査の結果、涙の量、角膜の傷などはなく、瞬膜にイボがあり、
飼主さんと協議のうえ、病理検査となりました。

 病理の結果、異常所見は認められず、念のため
手術となりました。
 手術の際、飼主さまも立ち会っていただくことになりました。

 手術の際、再検査を行い、悪性の細胞も散見されたため、
飼主さまも拡大切除を行うこととなりました。

 こちらは、手術前の画像になります。

 瞬膜 腺癌術前

 瞬膜の中心にポッコリとできものが出来ています。
飼主さまも良く気づいたなと感心しました。

 手術は、半導体レーザーとバイポーラを使用し
可能な限り、瞬膜の切除を行いました。
瞬膜の欠如により、涙の分泌量が減ることが
予想されましたが、シルマーティアーテストにより
涙の分泌量に大きな変化は認められませんでした。

 瞬膜に発生する腺癌は極めて珍しく、
悪性の腫瘍であるため、早期の手術が良いとされています。
予後も、マージンのある外科切除により良好です。

 瞬膜の腫瘍の新しい所見はありませんでしたが、
術前検査でも、腺癌と診断が可能であり、
手術も、瞬膜の全摘で予後も良いようです。
犬種では、ビーグルが多いとありますが、今回の症例も
ビーグル犬でした。
 高齢のワンちゃんの瞬膜にできた腫瘍は
腺癌の可能性があるため、早々に検査をされた方が良いと思います。

 このワンちゃんは、心臓病も持ちながら、手術に耐えてくれました。
手術後、夕方には無事、帰宅となりました。
当分は、エリザベスカラーの生活ですが、
しばらくの辛抱です。
 ちょっと我慢してくださいね。

2007年のニューヨークのアニマルメディカルセンターの発表では、

 Management of Eyelid Neoplasms in the Dog and Cat

Eyelid neoplasms are common in the older dog and typically benign. Eyelid neoplasms in the cat are less common and more often malignant. Resection of eyelid masses may be curative; however, restoration of the eyelid structure after mass excision is essential for maintaining long-term ocular surface health. Surgical techniques and instrumentation for eyelid surgery are reviewed. Indications, benefits, and limitations of sharp excision, cryotherapy, and laser excision and ablation are discussed. Neoplasia of the third eyelid is also discussed.


 

 

 
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