7歳以降の犬や猫は歯に歯石が付着し、それが
歯周病を誘発しています。
この子は、Mダックスの慢性の鼻水とくしゃみで来院されていました。
以前から、歯周病のことはお伝えしていましたが、食べることに
問題が無いので、そのままにしていました。
ここ数日、鼻水・くしゃみが多くなり
飼主さんも心配になり、検査にいらっしゃいました。
検査の結果、鼻に病気は認められず、歯が原因であることが分かりました。
病名は『歯周病からくる歯槽骨の骨吸収』でした。
治療法は、抜歯もしくは、抗生剤のどちらかになります。
本院では、根本治療の抜歯を行うことが多いです。
イヌやネコの抜歯は人の抜歯と異なり、全身麻酔が必要なことが多く
局所麻酔で済むことは多くありません。
この子も、麻酔を行い抜歯を行いました。

抜歯は、今まで歯肉を切開し歯と歯肉の間にエレベーターという
器具を挿入し、靭帯を切り取ります。
さらに、抜歯鉗子を用いて歯を抜いていました。
臼歯であれば、1本10~30分くらいかかりました。
この超音波剥離装置を使うと、歯肉と歯との間に
こちらのチップを挿入し、靭帯を超音波で断裂していきます。
今までのように、歯を割ったり、歯肉を切開する時間も無くなりました。
また、出血も少なく、術後の痛みもかなり軽減できました。

こちらの機械は、超音波で歯の表面に付着した歯石を取り除くことも可能です。
本院では、別のスケーラーを使用し、こちらの機械で歯を抜いています。
こちらの機械では、乳歯も簡単に抜けることも可能です。
剥離チップを使用した臼歯がこちらになります。

このように歯を分割しないで抜歯が可能になります。
鼻水が止まらない、出血するなどの症状のワンちゃんは、歯周病が原因のことも
あるので、担当の先生とご相談してみてください。