新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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猫の乳腺癌の外科手術
 乳腺癌は犬よりも猫で多く発症します。
犬の場合、乳腺の『しこり』の半分が良性の乳腺腫瘍で、
残りの半分が、『悪性』いわゆる、乳癌であるといわれています。

 では、猫の場合は、どうなのでしょうか。
猫の乳腺腫瘍の中に、悪性の乳癌が占める割合は
最近の論文での報告は少なく、古いもので80%とあります。
ということは、猫の乳腺のしこりのほとんどが悪性の乳癌になります。
 本院でも、約90%が乳癌で、残りの約10%良性乳腺腫でした。

 避妊手術を受けていると、犬のように発生率に変化はあるのでしょうか?
これも、明確には、報告されていませんが、証拠があるといわれています。
 その根拠は、7つの論文を合わせた乳癌を発症していた猫671頭のうち
避妊していた猫は307頭、未避妊の猫が358頭と微妙な結果になります。
 このように、報告の内容を見ると、さまざまな解釈が可能なので、
やはり、犬ほど、発生率を下げるとは言いにくいようです。
 論文関連でいうと、日本、アメリカなどでは、シャムネコの発症が顕著に高いことです。
このことから、シャムネコの飼主さんは、日ごろから、愛猫のおなかの触診を
心がけると良いかもしれません。
 
 乳腺腫瘍の治療は、今も昔も外科手術が一般的です。
外科手術以外には、化学療法もありますが、猫の乳腺癌においては、
あまり、行われていないようです。
 理由としては、手術で根治が狙えること、また、
乳腺腫瘍の手術自体が、簡便で、ほとんどが日帰りであることでしょう。

 しかし、猫の乳腺腫瘍は前述のように、悪性が多く、さらに
肺への遠隔転移が多いこともあり、早期発見早期治療が良いとされています。

 今回、来院されたネコちゃんは、以前から左側の胸にしこりがあり
だんだん、大きくなってきたと来院されました。
 初診時に、乳腺癌の可能性が高いこと、また、肺への転移の可能性があること
などをお伝えし、検査となりました。

 検査は、血液検査、胸部レントゲン検査、心電図検検査を行い、
異常がないかを確認します。
 この子は、高齢であったため、腎臓に異常が認められました。
しかし、手術に影響はないことをお伝えしました。
さらに、胸のレントゲンでも転移像は認められませんでした。

 術前の腫瘍の状態です。

 乳腺腫瘍

 このように、飼主さんが気づいていた部分以外にも、腫瘍がありました。
手術は、飼主さんも立ち会っていただき、腫瘍の切除術を行いました。
術前に、避妊手術も行うか相談しましたが、初めての手術なので、
心配が多く、避妊手術は行いませんでした。

 手術は、2か所、30分で終了し、その日の夕方に帰宅されました。
飼主さんは、手術前から、かなり心配され、手術中も、緊張されていましたが
手術に立ち会われ、出血が少なく、また短時間で手術が終わったことから
かなり安心されて帰宅されました。

 病理検査の結果は、2か所とも『悪性 乳腺癌』でした。
しかし、脈管侵襲もなく、完全に切り取れていると報告されました。
飼主さんもかなり、喜ばれ、安心されていました。

 今後は、腎臓の治療と、肺への転移が無いかを確認していく予定です。

 このように、早期に手術が出来れば、完治が望める腫瘍です。
しかし、直径3cm以上の乳腺腫瘍は予後が、期待できないという
報告もありますので、日ごろから、愛猫の触診をお勧めします。 
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