新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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パピヨンの脊髄神経に発生した腫瘍の外科手術
 パピヨンが後肢を麻痺で来院されることは少なく、
Fブル、Mダックス、Wコーギーが多く来院されます。

 パピヨンの場合、関節疾患がほとんどで、
飼主さんは、後肢をかばうとか、足を上げているとおっしゃいます。

 この子は、以前から、眼の網膜萎縮症で来院されており、
見えないながらも、とても活発に生活していました。

 しかし、数日前からヨロヨロしたり、食欲が無くなり
飼主さんは心配になり、来院されました。

 診察では、神経学的検査で腰の異常を認め、
脊髄、脊椎の疾患を疑い、飼主さんとお話を行いました。
飼主さんも、確定診断を行いたいと希望されたので、
大学病院でMRI検査をおこなうことになりました。
検査は、初診から2日目のことでした。

 結果は、脊髄神経に腫瘍のようなものが出来ていることが
分かりました。
 どういった腫瘍かは、手術時に確認できますが、
術前に検査が難しい場所であることを飼主さんにお話しました。

 飼主さんは、ご夫婦ともに、手術、病理検査を希望され、
検査から2日後に、手術となりました。

 手術は飼主さんも別室でお待ちしていただき、
ラミネクトミー、ヘミラミの両方を行い、患部を開けました。

これがラミネクトミーを行っている術中写真です。

脊髄腫瘍 ベントラル

 この後、ヘミラミでさらに、脊髄神経を見やすくします。
今回は、神経の腫瘍を切除するのが目的なので、かなり大きく
切開、開創します。

 ヘミラミ

 この状況からさらに、拡大切除します。

 ヘミラミ 拡大

 脊髄神経が目視できる状態です。
硬膜を切開し、MRIでエンハンスしていた場所を確認します。

 硬膜切開

 硬膜を切開すると、炎症を伴う脊髄神経が確認できました。
腫瘍と思われる組織を一部取り、院内で、病理検査を行います。
その結果、やはり腫瘍が考えられました。
飼主さんに、手術で腫瘍をすべて
取り除くことが難しいですが、歩けなくなることが無いように
するため、部分切除を行うことを相談しました。

 飼主さんも顕微鏡を見ていただき、さらに、腫瘍の説明を行い、
納得されましたので、神経障害のないレベルで切除しました。

 腫瘍切除

 手術は2時間と長くなりましたが、
10歳とは思えないくらい、早く、麻酔から覚めました。
 飼主さんも覚めたワンちゃんと面会された後、安心され帰宅されました。

 術後は、モルヒネのような鎮痛剤を使用し、痛みを
可能な限り感じさせず、2日間の入院となりました。

 手術から2日後に、歩けるくらいまで、改善し
飼主さんも大喜びで一緒に帰宅され、現在は、自宅療養中です。
 自宅ではリハビリを行っていただいています。

 腫瘍は、病理の結果、抗がん剤や放射線療法が効果の少ない腫瘍でした。
今後は、飼主さんと相談のうえ、治療と経過を診ていくことになりました。

 初診から、手術まで4日で終わる、動物医療でも
人の医療でもないくらい、早期診断、早期治療ができた子でした。

 これも、飼主さんの協力と、大学病院の協力の賜物です。

 退院後、すっかり元気になり、元気な姿を病院に見せてくれるので
とても安心しております。
 
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