新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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直腸に発生した平滑筋腫の外科手術
 犬の肛門の周囲にできる腫瘍は多くみられますが、
肛門の中、いわゆる、直腸にできる腫瘍は人に比べ
多くないといわれています。
 本院でも、人で多い、大腸がんは、2例しか見たことがありません。

 この子は、12歳のマルチーズで、排便時に何か出ていると
飼主さんが心配で来院されました。
 飼主さんは、「以前から出ていたが、ひどくなった」と
心配そうにお話をされていました。

普通に肛門を見ると、このように問題が無いように思えます。

 平滑筋腫 術前1

 しかし、飼主さんのいうように、肛門に指を入れてみると
結構、大きな腫瘍が触知でき、肛門の外に出してみました。

 平滑筋腫 術前2

 こんな感じで、かなり大きな腫瘍が肛門の奥の
直腸の壁にへばりついていました。
きっと、排便時に気にしていたのでしょうね。

 犬の直腸の腫瘍は、いわゆる人の直腸がんと違い、
良性のポリープや、炎症がほとんどだといわれています。

 大学病院でも、直腸がんは極めて稀と言われています。
飼主さんと、このようなことをお伝えし、術前の病理検査を
勧めましたが、鎮静をかけないと検査が難しいことから、
1回きりの麻酔での手術を望まれました。
 もともと、心臓疾患を持っているので、飼主さんも心配だったのでしょう。

 手術は、術前に酸素室で酸素化を図り、点滴を行い手術となりました。
飼主さんも、一緒に手術に臨みました。

 手術計画は、直腸引き出し術と言って、別名「プルスル」という手術を
計画しました。
この手術法は、大きく切らなくても、直腸にへばりついている
粘膜と腫瘍を一緒に肛門の外に取り出し、切り取れる方法で、
慣れれば、簡単な手術法です。

 平滑筋腫手術中

 平滑筋腫 術中1

 このように、粘膜面に糸をかけ、引っ張りだして、
腫瘍を切り取ります。
縫合はPDSという糸を使用し、手術時間は40分くらいで終了しました。
当日の夕方には、帰宅されました。

 腫瘍は、病理の結果、『平滑筋種』でいわゆる直腸がんではありませんでした。
マージンもしっかりと切り取れており、再発は無いと思われます。

 術後は、数日、お尻が気になり、うんちがしにくいこともありますが、
1週間くらいで改善します。
抜糸は行いませんので、お尻を痛くすることはありません。

 肛門、直腸の手術は、術後も痛いので、術前から
しっかりと痛みどめを使い、術後も抗生剤と痛みどめで
可能な限り、楽に過ごせるように心がけています。

 今は、自然に排便できるようになり、飼主さんも
排便のたびに、気になることもなくなったようです。

 
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